速報→「土星の端からはらはらと」タムチック
2009.5.30 19:00
岸浪綾香、吉岡友見、小林真梨恵のタムチック(未見)が初めて外部演出を迎えてのカフェ公演。中央に客席、ぐるりと囲む小さな舞台を首どころか体を向けて観る感覚も楽しい65分。31日まで荻窪ミニヨン。レコード盤が壁一面にあるカフェという場所の力も。これからご覧になるなら、入って右側のベンチの芝居が見える場所に。
つきまとう幽霊の少女、つきまとわれる編集者。関係はないはずだけど。
引っ越ししてきた女、手伝いに来た姉。線路のそばで電車の音がうるさい6畳一間、姉は電車の音が嫌い。
出版社の化粧室、女2人+1人、合コンの気持ち満々だったり、妊娠の噂があったり。
姉妹、喫茶店で少女に出会う。
作家の家、原稿を取りに来た編集。もらって、ゆっくりとした会話。梅酒も出てきて。
妹のバイト先はスーパー(パン屋に見える)。先輩は指導する気満々。
少女は引っ越しの姉に出会う。雨の中引っ張られるようについていく。
作家は次の作品の相談にくる
レジ打ちの夕方、新たな負い目を見つけると生き生きする先輩。
全体に女目線だと思う仕上がり、役者は全員女性、演出も女性なのだけど、作家は男なのだというのに少し驚きます。女性の作家の芝居も小説も大好きなあたしなのだけど、こういうまなざしのある男性作家というのは何人か居て、それに似たテイストで、あたしの好みにかぶるのです。
三人の女性のキャラクターはそれぞれにあって、観ていて楽しい感じ。初めての外部演出がクオリティを上げている感じはありますが、訓練されている女優ばかりの舞台を見るのは、オヤジのアタシには楽しいのです。広い広間の真ん中に客席、囲むように何カ所かで芝居をします。同時多発こそないけれど、首も体も左右に捻って芝居を観るのはまあ大変だけど時間の短さでそう問題ではありません。ともかく描かれている場所が何カ所もあって、それをカフェ公演でやろうという無茶の解決策としてはまあうまく廻っている感じではあります。開演前に前説として「あちこちに体を捻って芝居を観る予行演習」をやるのが微笑ましいけれど、結構実用的だったりします。
もっとも惜しい感じというか無謀さのようなものはあって、それは彼女たちのチャレンジということかもしれません。たとえば作家の物語はもう少し上の年齢に当てて書いてある感じはあるのだけど、役者が若すぎるとか、こんなにシーンが多い芝居をこのカフェでやる無茶さ加減とか。アタシはラッキーにも上手一番奥に座りましたが。高橋唯子・相馬佐江子演じる会社の二人、レジの二人のシーンが楽しい。物語の中ではどちらかというと賑やかしというポジションだけれど、「つめきり」時代を知るアタシには彼女たちを見られるのは楽しい。
全体に細やかなシーンが多いのだけど、 少女が見に行きたい男の子「眺めてるだけでいいの」というけど「見てるだけでいいの」がしっくり来きそうだなぁとか思ったり、三人の女優をそれぞれ主役に置こうとするためにバランスが危うい感じはあるのだけど、それでも、 全体のたたずまいはどこかアタシ好みの女性作家のよう。作家と編集者のシーンで「顔が熱いです」という台詞があって、シチュエーションもなにも全く違うのだけど、「センセイの鞄」みたいな雰囲気に感じられて。それは朗読公演に出てたりする原扶貴子だからという気がしないでもないですが。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「Yes Means Yes」serial number(2025.02.02)
- 【芝居】「飛び出せ!還暦」おのまさし(2025.01.22)
- 【芝居】「父と暮せば」酔ひどれ船(2025.01.19)
- R/【FORKER】遊気舎(1999.04.24)
- 【芝居】「gaku-GAY-kai 2024 贋作・桜の園」フライングステージ(2025.01.12)
コメント