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2009.05.05

速報→「3月27日のミニラ」渡辺源四郎商店

2009.5.4 15:00

ナベゲンの新作。教育の現場を一種の戯画的に描かせると圧倒的なちから。それに違わず濃密に切り取る80分。青森のあと、6日までスズナリ、そのあと秋田。

公立の中学校、校長室。定年退職の校長、転勤教員の離任・退任式の日。教室に行けずに校長室に入り浸る中二の生徒、「ミニラ」。わがままし放題だがそれをたしなめもせず、言いなりになっている教師たちだが、それには理由があって。

分類するならモンスターペアレントと教育の現場という感じですが昴に書き下ろした「親の顔が見たい」(1)とは違うテイスト。学校の現場を描いたときの畑澤聖悟は強い。ちょっと一工夫で笑わせる中盤、畑澤節全開で楽しいが、教師たちのもつ無力感と深い絶望をこれほどまでに端的に、しかし芝居らしく表現されるということは実にすごい。最初から思いついたことなのかなぁ。

が、作家の筆はその発想のワンアイディアにとどまりません。その無力感を前にした教師たちのあまりに人間くさい行動があきらかになるにつれ、もちろんそれは仕方のないことなのだけど、アタシは深く絶望するのです。 さらにそこから一歩進んで、モンスターペアレントに庇護される子供の行く末を心配する気持ちまでを物語は描ききりますが、それは子供にもおそらく親にも届くことがない、ということに絶望を極めるのです。

ミニラが徹底したヒールを貫くように少なくとも表面的には描かれているのが潔くて、演じた工藤良平もそれにきっちりと答えていて、物語が進むにつれてのこの憎らしさ加減がちょっとすごい。

タバコのシーンがあること、電子タバコであること、その行為を容認しようというものではないことをパンフレットに記載しています。 アタシ自身はタバコを吸いませんが、時節柄ヒステリックになりがちな嫌煙の多い昨今ですから自衛のためにはしかたのないことだけれども、物語のきっかけとなる真実がどこにあるか、ということが最初から見えてしまうのは、これだけの物語にとってはあまりにもったいないと思うのです。なにかうまい方法はないものか。

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