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2009.05.17

速報→「容疑者χの献身」キャラメルボックス

2009.5.16 18:00

東野圭吾の人気小説の舞台化。笑いはほとんど無くSKIP( 1, 2) のようなストイックな舞台装置が印象に残る135分。神戸を経て24日までサンシャイン劇場。22日夜に追加公演が設定されています。テレビの「ガリレオ」は観てないので、物語自体はじめて。

アパートに暮らす母娘。離婚した夫が金を無心するために現れる。このあともむしりとられると感じた娘が花瓶を降り上げ、母がこたつの布巻きコードで。
隣の異変に気づいた高校の教師、その母娘を助けるために緻密に犯罪を組み立てる。

外部の原作を使ったキャラメル、というのは定着した感がありますが、アタシは初めて原作を読んでからの観劇。たしかにそこに立体になった世界が広がります。時間も場所もかなり変わる上に、地の文がさまざまな人物の内面を描いてしまうタイプの原作なので実は舞台に載せるのは結構大変じゃないかと思ったりするのですが、何人かの役者に交代でリーディングのように読ませることで解決しています。 原作の地の文では西川弘幸演じる犯罪者・石神の心の動きを克明に記してある印象なのだけど、芝居ではさすがに巧くいかないと感じたかどうか、割と薄めの好意として語られながらすすみ後半でがっつり。

原作は笑いはありません。細かい部分を端折りながら、弁当屋の亭主を外したりアルバイトの女の子というキャラクタを設定したり、警察の中の会話など緩急をつけるために笑いを挟むという点では芝居を見る観客側には見やすさとして感じます。原作のタイトな感じは薄まる感じがないと云えば嘘になりますが、そのままやられてもたぶん観客としては見やすくないと思うのです。

しかし、と思うのです。物語の面白さに加え舞台としても完成度は高いのだけど、ほぼ商業演劇の領域に近い7000円というチケット代を目にすると、それはキャラメルがすべきことなのか、という感じはしないでもありません。どこにコストがかかっているかはよくわからないのですが。

西牟田恵を観るのはずいぶん久しぶり。ハスキーで甲高いという印象だったのだけど、年齢は進んでいても男がひと目で恋に落ちるという説得力。川原和久もずいぶん久しぶりなのだけど歳を取らない感すら。西川浩幸は笑いをとらず、衰えを気にする天才のという珍しいタイプの役。初めて聞いたときは合わない感じがしたのだけど、中心の役を確かにしていて、年齢を重ねた役者の重みすら感じさせます。

あたしの観た16日夜の回は西牟田恵の誕生日で終演後のカーテンコールで花を贈ったり挨拶あったり。ほどよく押さえたお祝い感が物語の印象を崩さなくていいバランス。終演後に隣のカフェで劇中に登場する「自分で淹れる湯川のインスタントコーヒー」なるものを売るのも押さえた洒落っ気で気持ちがいいのです。

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