速報→「神様とその他の変種」ナイロン100℃
2009.5.5 13:00
ケラリーノサンドロヴィッチの新作。休憩10分を挟み180分。17日まで本多劇場。そのあと名古屋、大阪、広島、北九州。
三階建ての古い洋館に住む家族。息子は三階から見える動物園、特に象が気に入っていて。新しい家庭教師がやってくる。息子は学校に行けず、家庭教師を週二回呼んでいる。近所では刑事が聞き込みをしていて、この家を訪れた人々に連絡が取れなくなっているのだという。
オープニング、洋館の外壁を使い、窓を効果的に使いながら実に見応えのある映像。特に窓を切り替えて見せたり、奥行き方向のパースを描き出したりして独特な空間をこの平面に作り出すのは、たぶん劇場でみないと実感できないけれどもちょっとすごい。
息子を守りたい母、妻を守りたい夫などぎりぎりのところでバランスしていて危ない橋を渡る人々。カミサマを名乗る男がでてくるけれどもそれを信じることに意味があるのかには懐疑的な作家の視点がっつり。 ホントに神様がいるなら、もうちょっと平和を、なんていうタイトルになってる曲にはそれも色濃く。 しかし、何かを信じ祈ろうととする人々の強い想いにはむしろ優しい視線で、こういうバランスは、あたしの気持ちにもぴったりはまりこみます。
登校できない息子のところに怒鳴り込んでくる学校の友達の両親。暴力を振るったのに謝ることすらしない家族の一方的なヒールかとおもうとその背景を見せたり、記憶を失った女の過去を見せたりと、それぞれ一筋縄ではいかない感じではあるのだけど、あたしの気持ちを激しく揺らすほどには至りません。それはこういう親子の物語から遠い場所に今アタシが居るということだけ、という気がしないでもありません。
それでも3時間という上演時間、笑いがものすごく多いわけでもない今作を飽きることなくしっかりと入り込んでみられるということは、この規模では実は貴重なことだったりするし、それをコンスタントに作り出す作家の確かな力がやはり再確認できるのです。
ネタバレかも
じゃあ人間てのはすごいのか、というあたりもちょっと懐疑的な作家の視線を感じます。裁判の話を通じての嘘とか騙しあいなんてこともとりまぜつつ、人間の姿を描いている中盤。サルの方がちょっと上にいってしまってる感じすら。
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