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2009.04.13

速報→「義弟の井戸」黒色奇譚カナリア派

2009.4.12 18:00

カナリア派の新作。15日までシアタートラム、120分。

妹が連れてきた恋人は、兄がかつて苛められていた相手だった。母親はあくまで護っていたが兄は家からほとんど出ていなくて。恋人は妹を貰いたい一心で通うが、昔のことがどうしても許せない。

いわゆるアングラ色いっぱいなのだけど、若い作家が元アングラ劇団系だとはいいながら、この年代にはリアルな感じがしない枠組みがたくさん。が、それはそ大きな問題ではありません。頭巾をかぶることで、役とは違う世間だったりするというこの芝居のルールを理解するのに手間取ってしまったアタシは少々出遅れてしまった感じはします。

後半、井戸のあたりから圧倒的に面白くなってきます。井戸の出来事の見せ方は広い劇場ゆえのフェイク感はありますが、この規模の劇場で見せる方法としては正しくて、印象を残します。

大沢健が出ているから完売だと思えばさにあらず。週末を迎えて予定を考えるアタシにはありがたい。ビッグネームを呼んでしまったために、小劇場の役者たちがそのポジションになるのは観客としては少々悔しいのだけど、全体にバランスは取れていて。片桐はづき、牛水里美(日曜夜は埜鈴役か)、中里順子くっきり。前半に出番が集中する中村真季子はテンションの高いままヒールになっているのだけれどきっちり。材木店の兄貴分を演じた沖田乱が印章に残ります。

イカダから鉄道という時間の流れに対して鉄道が禁止されることで困る人という視点が新鮮。物語の本筋としては大きなことではないけれど、その思案を納得させる感じがあるのです。

男はおしなべて意味のない拘りやら繰り返しをする繰り人形のような扱われ方で、女たちが考えているという感じに見えるのは面白い感じ。半面、背景をきっちり描こうとしていて特に前半を持たせるのに苦労している感じがあります。 「目の端で好きな女を見る」日常の楽しみを云う台詞がちょっと凄い。

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