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2009.04.05

速報→「さとがえり」KAKUTA

2009.4.4 18:00

桑原裕子の処女戯曲を改訂再演。12日までザ・スズナリ。90分。

合宿客を中心とした長野の宿。オカルトサークルの大学生や一人旅の男に混じって、父親の三回忌に集まり本家に泊まれなかった人々。大人となった子供たちが戸惑うのは、亡くなった夫の妻が、なぜかどんどん若返っていって子供たちの年齢より下になっていってしまっていることで。

あり得ない設定を最初にどかんと、その外側の細部や想いを詰めていく感じは、戦略を立てて書くということをこの最初の戯曲からきちんと作っていたということだと思うのです。カップリング上演されている朗読に比べると、笑いも多くて見やすい感じがします。特に前半、親戚づきあいの面倒くさい感じ、アウェイな婿の立場、子供の頃の喧嘩など要素には事欠きません。

初演が1時間強だったので、場面をいくつか増やしているようですが、物語が薄くなるということもなく大きな問題ではありません。この規模の劇場にあわせた改訂をきっちり作り上げていて、商業演劇のような見やすさを合わせ持った仕上がりで幅広い観客にリーチするような芝居になっています。東京以外のあちこちにも持って行けそうな感じはしますが、小品ながらしっかりセットを立て込んでいるために逆に持って行きづらくなってるような気もしてちょっと勿体ない。何せ朗読公演との僅かな間にかなり大がかりなセットチェンジをしています。

全体にほぼ女性の側の視点。女性の役の方がきっちり造型されていて全般に見応えがあります。「子供は子供だけれども、妻は(夫が)死んだら(夫側の親戚にとっては)他人だから」というのは女性が結婚した時のアウェイ感がこの短いことば巧く凝縮されて印象的。

序盤、桑原裕子が寝ながら夢を見ているようなシーンの表情の凄みは異質さもありますが、ちょっと凄い感じ。大枝佳織は線の細い役が似合うのだけど、見た目にギャップな中身オバサン、という見応え。 諫山幸治演じる婿は数少ない男の側のアウェイ感をきっちり。はらださほ演じる妻とのバカップル風新婚というのもコミカルで両者とも可愛らしい。異儀田夏葉演じる大学生ののちょっと露出高い感じは最前列に陣取ったオヤジのアタシには少々刺激的なのだけど、全体に静かめにまとまりそうな全体の雰囲気の中でテンションを強烈に上げるのに違和感がないのはたいしたもの。

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