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2009.04.30

シアターテレビジョン見てますか?

実はCSチューナーを買い換えそびれてしまってたのですが、それなりに芝居を流してくれていたシアターテレビジョンに契約しています。正直にいえば、NHKで放送してくれる方がハイビジョンだし嬉しいし今から思えば高画質とは云えないのもちょっと厳しい。

5月分の放送スケジュールも既に出ているのだけど、それが大幅に変わるようです。アタシ自身はCaramelboxは欠かさず観てはいますがシアターテレビジョンで見てはいないので、これ自体は大きな問題ではありませんが、既に出ている5月分スケジュールには載ってるのに放送はしないということのようで、なんかちょっときな臭い。どうせほとんど見てないしなぁ。スカパーごとごっそり契約切っちゃおうかなぁ。

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速報→「ショート7(Aプロ)」DULL-COLORED POP

2009.4.29 19:00

ダルカラの作家・谷賢一が他劇団などに出した短編を中心に7本立て「グランバザール」豪華版。Bバージョンと交互上演で、6日までpit北/区域。全体で120分。休憩10分。初日は満員、少々席はきつい感じで。

戦争で制圧された村で息子を待ち続ける「ソヴァージュばあさん」(1, 2) 。 OLの姉のところに転がり込んだ妹には秘密があって「Bloody Sause Sandwich」(1)。 帰宅しての私の時間「15分しかないの」(1)。 一人で風呂に入る時間は私にとっての贅沢な時間「アムカと長い鳥」。

全体的に繊細な仕上げ。細やかな表情に依存する演出という印象に作ります。初日時点ではこの劇場ではちょっと難しいとも感じます。客席がかなり変則なのに役者が手前側で対面する芝居が多いために、全員の表情が拾いきれないためにアタシの気持ちを十分に巻き込めない印象を特に前半の二本に感じます。もちろんもともと強度のある本を書く作家ですから、それは水準としたうえでのさらにその上を求めてしまうのです。

「ソヴァージュ〜」は4x1hでの上演を見ているためにやはり比べてしまうのだけど、わかりやすさに力点を置いた印象。ソヴァージュの解説をより明確に追加し、終幕の女の行動を逐一描くのも追加。アタシの好みは4x1hの方で、今作の演出では逃げてきた最後のシーンが蛇足に感じてしまうのがやっかい。役者も4x1h版がアタシには印象が強すぎるのだけど本作はイケメン指向な感じがします。ソヴァージュのゆがんだ表情はこちら側の独自でその女性に対する印象がまったく変わってしまうという点で独特です。

「Bloody〜」も初演を見ています。姉のところに転がり込んで一週間の妹が秘密にしていたこと。妹に見えているものの姿、なぞめいた白衣。白昼じゃなくて朝方というのが独特な感じも。妹の苦悩をもっとタイトに見たい。眼福ともかく、これも細やかな表情が勝負になっているようで両方の表情を観たい。しかしガザがどうとかという新聞と清水由貴子のワイドショーというのはニュースの時間軸としてあってるんでしたっけ。

「15分〜」は客席の特殊な構造を逆に巧く使って三人がうまくピンポンをしている感じになっています。3対1の電話が2対2になるところも視覚的にそういう形になるのも新鮮で面白い。15minutes made版ではもっと男が笑わせるような感じだった印象があるのだけど、具体的に思い出せないから嘘かも知れません。どの客席でも表情が見える。欲張って最前列に座ってしまったがために堀奈津美がむしろ視線の外に行きがちなのが残念ではあるのです。

「アムカ〜」は一人芝居、アタシは初見。正面を向いた芝居が多くて、劇場の構造は問題にならず、実力を見せつける感じ。風呂場とう設定からの女優の下着姿はもう眼福以外の何者でもないのだけど、その見た目にアタシがぼーっとしているうちに物語はアタシを息苦しいところにきっちり追い込んでいくのです。 結婚して地方に住む主婦の漠然としたしかし確実に迫ってくる不安な気持ちを知ることは多分一生ないのだけど、それを追体験させるような物語と、切迫する心的ストレスを丁寧に描いています。それは誰にでも起こりうる一人の女性のある状態をそこに出現させるという目的はきちんと達成しているし、それは彼女の物語かも知れないし、行く末の絶望感を暗示してるようなところはあるけれど、その先に何があるのかを観たい気はします。 ふつうの会話の間に挟まれる影の部分という落差とリズムを一人の役者がどれだけやりきるかというような勝負のところがあって、それはきっちり。

夜公演に設定されている「キャバクラードポップ」はトークショーを仕立てつつ(初日は中屋敷法仁と演劇が生き残れるかみたいな話)、キャバクラ風衣装(これが眼福なんだまた。スタイルのいい女優揃ってるし)で空気を読まずに突っ込むみたいなノリにしたいのだろうけど、不完全燃焼な感じも。このスタイルなら徹底的にふざけるべきじゃないかと思うのです。

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2009.04.29

速報→「グァラニー ~時間がいっぱい」キレなかった14才りたーんず

2009.4.29 14:00

キレなかった〜、岡崎藝術座の神里作品。75分。5日までアゴラ劇場。

子供の頃の思い出、パラグアイに引っ越して行った日のこと、帰国してのはじめの頃のことは忘れない。

稽古場でのあれこれの雰囲気では自分の本当のことなんか見せない、フェイク満載の作家という印象が強かったのだけど、今作を観る限りは、そのある種の照れは前半の男の語りにほとんどを集約した印象。かっこいい台詞とか良さげな言葉とかを冷静に見ている作家自身の視線が見えるよう。

白いドレスをまとった女優たちから、舞台を作り日常の衣装にとけ込んでいく流れは洒落ている感じ。中心にいる男が作家の姿だとするならば、それを抱くように囲む白いドレスの女性たちはなんだろう、と考えるのです。

飛行機でパラグアイに渡り、帰国したあとの母親との喫茶店での会話を挟みながら、音楽をベースにしながら恋心や移動教室の思い出を軽快に。緊張する気持ちから、その土地での暮らしにしっかり根付いた感じで前半は進みます。 帰国したあとだろう会社の同僚の話をはさみ、そこから一気に結婚・出産のようなシーンを挟むと時間はずっとすすみ、別の人を軸にして、「帰国した直後の子供」のシーンに。正直に言えば前半と後半を繋ぐものはサザンオールスターズ、という言葉ぐらいな感じで直接のつながりがなくて一筋の物語として追いかけようとすると少々戸惑います。

帰国し、教室で紹介され、興味津々の友人からの質問がひと段落すると支配する気まずさ。パラグアイと日本の違いみたいな会話じゃなくて、もっとふつうの会話がしたいのにと思うけど、その友人は「変わった子」のような扱いをしていて。別に帰国子女じゃなくたって、「ひとみしり道」への第一歩、あたしの自分の話に引きつけると、その気まずさとか距離感の取れ無さの気持ち、痛いほどわかるのです。

そのあと終盤にかけての母親の登場ってのがふるっています。そこを恐れるな、先へ進め、友達を作れという叱咤激励が実にいいシーンなのです。もしこれが実話からだとすると、その母親の強さのようなものが存分に感じられて、うっかり(失礼)感動してしまうのです。そういう期待をしないで無防備に見てしまったアタシはあっという間に撃沈。をを。

終演後のロビーでは学園祭のようなイベント。アタシのみた29日マチネ後には、白神版出演の池田義太郎による「デブ学」というトークイベント。人の良さがにじみ出る感じで、楽しめます。30分程度のふれこみを45分で。どうして太ったのかなんてことをつらつら分析。小劇場の座席では肩身の狭い想いをするし尻も痛い、デブにも優しくあってほしいと申し入れる、なんて気炎もほほえましい。

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2009.04.27

速報→「ビンカン/ドンカン/ブンベッツ(仮) 」快快(faifai)

2009.4.26 17:30

「五月病をのりこえよう」と題して、ドクトク編集というタイトルを冠してのイベントの一環。4つあるイベントのうち一本目。三・四本めを観ずに出てしまいましたので一本目を。20分ほど。5TNADA SONIC

女、朝起きて気持ちがすすまないまま、女友達の誘いに応じてでかける、一週間前のあたしの姿。

二人の女優。基本的にカラダが動く二人、寂しいという気持ちもあるけれど、構築する狭い世界の人々。あたしは芝居側からみていますから、(その後の45分に対して)きちんと物語が伝わる(それは台詞があるかないかということではない気がする)という点でこの20分の至福。

視点とというか語り手がぐるぐる移る気がしますが、それはそう大きな問題ではありません。 女の子が話好き、気分が乗らなくても、それでもつきあう感じ、よくない、なんていう気持ちの乗せ方、パブリックドメインな発車メロディをサンプリングしながらの序盤で持っていかれる感じ。ひといきれというぐらいの大人数をたった二人で表現するのです。 言葉で景色を表現するというのは作家の領域。身体表現でそれをやろうとするのは必ずしもうまくいくとは限りませんが、快快というユニットはそのバランスがきっちりできている凄みがあるのだなぁぁと思うのです。

決しててこの世界がハッピーという話ではないけれど、生き続けて行こうという気持ちを表明するというのは、ことあるごとにヒトの弱さを押し出しがちだし押しつぶされそうになりがちなのだけど、強く前に進む、と言う風に結びつけるのは、まったくもって個人的な気持ちの持ちようの受容の仕方の問題かもしれない、わけですが。

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速報→「シド・アンドウ・ナンシー」MCR

2009.4.26 15:00

26日まで駅前劇場、90分。

やくざの男、女に死ぬなといわれてはいるけれど、どうでもいいと思い始めている。突然現れた男は、高校の頃の友達で、痩せていた彼は一日300gずつ太っていて、もうすぐ死んでしまうのではないかという。あのころには何かあったはずだと、バンドをやろうと、再会を求めてやってきたのだった。

全編を通しての爆笑編。かみ合わない会話、カラダを張っての笑いだったりとさまざま組み合わせていきながら、高校の頃なにかがあったはずだと死期を間近にして振り返り続ける男と、あのときも今も自分の中には何もないし、友人だって面倒くさいとすら感じている男、二人の会話は実に「大人」ゆえのものがあって、ちょっとすごいなと思うのです。

ステロタイプにすぎるという指摘はあるかもしれないけれど、笑いをこれだけ交えてこの濃さで作れるのはそうそう簡単ではないと思うのです。

中川智明の圧倒的な安定、それに対する辰巳智秋の会話、若辰(若い頃役)の小野紀亮もきっちり。幸薄いというもの凄い役どころを一手に引き受ける伊達香苗がパンツ芸はともかく全体に、いちいち幸薄いという台詞に助けられつつも、それをきっちりしていてちょっと凄い。

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2009.04.26

速報→「リビング」カスガイ

2009.4.25 19:00

「柿喰う客」の玉置玲央のユニット・カスガイの旗揚げ。キリンバズウカの登米裕一脚本を玉置玲央演出で。110分、29日まで王子小劇場。

二人暮らしには少し大きなマンション、姉弟で暮らしているが、姉がレイプされた事件をきっかけに、家から一歩も出なくなり、弟のアルバイトの稼ぎだけでささえられている。姉も弟も他人を連れ込んで奇妙な共同生活が始まってしばらく。そこに「ハクアイノヒ」なる団体から派遣されて臨床心理士がやってくる。同居しながら、社会復帰を支援するのだというが。

当日パンフによれば、玉置玲央が尊敬するある女性を「救いたい」という気持ちがこの芝居の衝動なのだといいます。トークショーでも詳しくは語りませんでしたが作家・登米裕一との会話の中で出てきた「セックス(という行為)でヒトを救えると思っている」という玉置玲央の気持ちは彼ほどピュアには思えなくても、アタシですらちょっとはそんな気持ちが残っていたり。たぶんそれは男の側の一方的なファンタジーでしかない、ということも薄々判ってはいるのだけれど。高いテンションや、ことさらに刺激的な役の多い玉置玲央なのだけど、彼の作り出したこの世界も、トークショーで語る言葉にも嘘偽りはないのです。

ネタバレかも

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速報→「毛芸」内ゲバ

2009.4.25 15:00

むっちりみえっぱりの吉田麻生の一人芝居8本立て、60分。

目覚ましは鳴るけれどいかないと決めたけど「やめた人」
父親の葬儀をすませた出戻り女、父親のノートをふと見つけ「独りになった人」
新歓サークル勧誘、まったく集まらず「はじめた人」
一人自分を見つめる女優は「媚びない人」
教師、今日は遊びの時間にしようと生徒の意見を聞くが「振り返った人」
競演者が魅力的すぎて身が入らないとかいうが、振りとかめちゃくちゃで「ふわふわしてる人」
修道女は怒りにふるえて敵陣乗り込んで。どっかで聞いたことあるような「爆発した人」
赤いボーダー柄の男、探せない「悩む人」

始めてみたのはほぼ10年ぐらい前じゃないか、良くも悪くも舌足らず風のしゃべりが変わらないし、どんな役をやっても吉田麻生になってしまうというのも変わらない。巧いわけじゃないのだけど。

どちらかというと痛い人を、しかも薄めのオチでという構成は、それを一人芝居で1時間となるとさすがにおなかいっぱいな感じは否めなくて。彼女のキャラクタがそうだということを客ぜんぶが共有しているからこそ成立しているというのは小さなこの規模だからこそ成り立ってるのだけど、そのぬるさの中に身を置くのも悪くないとも思うのです。缶ビール一本ぐらいあけてからいったほうがよかったという気がするのはまあ、気のせい。決して知らない人には勧めないのだけど。

「やめた〜」はほぼ出オチ的なインパクト、それだけでなくそれでも出勤するモチベーションのあり方がおもしろい。「独り〜」はあからさまなノートの出現こそが肝か。 「はじめた〜」は陳腐なコント風のオチではあるけど、無駄に挟まるダンス風の無駄さが価値。 「媚びない〜」は意図がまったくわからないのだけど、ダウンロードとか通信費を揶揄するせりふがちょっとおもしろい。「振り返った〜」は仕事きらいーな気分に加えてケセラセラさがポイント。「ふわふわ〜」はあからさまに仕事をなめる感じを揶揄する他人視点。「爆発〜」はもはや学芸会の感じすらするけれど、ワンアイデアだけで突破する勇気に。「悩む〜」はものすごく短いけれど、ビジュアルとしてちょっと似てるように見えるのと、ぼやき漫才風になってておもしろい。

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2009.04.24

おんな三人の会話。

そらね、芝居を見はじめるおおもとのキッカケは自転車キンクリートの飯島早苗・歌川椎子・鈴木裕美の三人が川原とかで会話し続ける日テレの深夜番組でした。基本的にそういうフォーマットの芝居が好きです。ずっと。

でもそれはリアルと非リアルが半々と気づくのはそれから15年ぐらいかかるわけですが。

昼間とか夕方の人々の会話にもバランスと非バランスが。んん、なんてことを、会話を減らして取り調べだとかの男性ゲストのインタビュー時間が増えた最近のグータンヌーボを見て思ったりしながら。

GW前、休みはカレンダー通りなので、何時に何処を。

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2009.04.23

速報→「アントン、猫、クリ」キレなかった14才リターンズ

2009.4.22 19:30

「キレなかった14才リターンズ」の一本、アタシ的に初日は篠田版。出演者2名、50分。篠田版はあと26夜、27昼、5/3夜、4夕。販売している「雑誌」は綴じられてないので読みにくいことこの上ないけど、戯曲やおまけもてんこ盛り。

アパートの住人たち。毎日の繰り返しの中、猫が迷い込んでくる。撫でたり、えさあげたりしながら和んでいるけれど、猫が嫌いという人も当然居て。

稽古場で見た感じと前半は近いのです。もっとも、街をもっと描写したい部屋の空間を立ち上げたいといっていた稽古場の方向とは少し変わっている感じがして、景色の描写は気持ち減っている感じ。物語指向ではない作家なので、それよりはその場所の空気感を優先していきます。細かな言葉、動きを重ね続けて空気を作り出す方向。

後半にはいり、会話が切れ切れに聞こえるとか、雨の感じとか、コンビニ前の会話とかもきっちり空気を。

作家としての篠田千明は、その「気持ち」を描くことが真骨頂で、それを描くための空気の描写が楽しいのだけど、そういう気持ちについては薄い印象。その意味では空気は出来ているのだけど50分で楽しく見られるのはそう多くない会話だったり、気持ちの描写だったりします。洗濯物を拾って戸惑うあたりは実に絶妙。

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2009.04.21

【落語】「三之助をみたかい? vol.8」

2009.4.20 19:30

落語はほぼココでしか聴いていませんが。毎回楽しみで会社を定時に抜けるのを工夫してしまいます。次回は6月。

自分は酒が好きだと告白(みんな知ってるけど)しつつ。禁酒を誓った親子。息子が帰ってくるまでにちょっと呑んじゃおうと思って「親子酒」。
初めて落語を聞いたときのはなしから、寄席ってのは経済が廻ってないところの魅力と云いながら。新しもん好きの男が近所に出来た店が楽しみで楽しみで仕方がない「欠伸指南」
仲入りを挟んで、最近始めてはまってることはスキーだとか。食わず嫌いでは何事も「明烏(あけがらす)」。

毎度退館時間ぎりぎりまでやってしまうのだけど、今回は記録的に短く21:45終演。枕を振りながら、枕か噺かを曖昧にしながら導入していくのは多分そういう演出なのだと思います。それぞれの枕がちゃんと噺に繋がるように構成されていて一種のフォーマットにすらなる感じなのです。

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2009.04.20

速報→「穴姉妹―ANASUIMAI」お前と悪戯酒(わるふざけ)

2009.4.19 18:00

新宿でそのまま観ようと思ってた芝居が満員で入れず、王子に移動。いやいや、こういう出会いは捨てがたいのです。19日までpit北/区域。110分。

ダンスバトルのために呼び込まれる男。一人暮らしの女だと思うとさにあらず、母・長女は他界していてその下の三人姉妹が暮らす、北区北とぴあに隣接する地下の家。ダンスバトルの日は迫り。

2時間弱の時間、物語はダンスバトルを真ん中に大きく二つに別れます。前半に二つあるダンスシーンの迫力、ダンサーの肉体にはちゃんと力がありしっかり。対抗馬のマイクはYouTubeの感動動画(説明、関係ないけどリスペクト映像)を持ってきます。いや、これが好きなあたしは大画面でみて泣きそうになったりするのだけど、これは外部の映像というかレバレッジ。

映画やドラマにさまざまのリンク。観てないモノが多いけれど。

後半はその望みの綱が断ち切られた三人姉妹風の静かで次のパスファインダー、という意味では確かに「三人姉妹」。見たことあるのに中間の動画にやられてしまたアタシにはちょっと長い。

終演後すぐの次回予告。三姉妹が新宿、渋谷、池袋の街に飛び出していくのはちょっと面白くて、ちゃんとプロモ。

昼にみたのは切実に見えるけれども少し他人事視線も感じるのに比べると、 今作の視点は全くちがいます。これが正しいとはおもわないけれど、若くて地に足の着いた視点でたしかに彼らのものなのです。

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速報→「みんなの妊娠」La Compagnie An

2009.4.19 14:00

ラ・カンパニー・アンの新作。妊娠や出産にまつわる6つの物語を緩やかにつなぐ100分。19日まで雑遊。

カフェを開いた女のこころざしは、捨てられた子供を引き取り育てること。荒唐無稽と笑われても世界は変わるはずで「hanai-chimonme-cafe」
三年目になろうかというカップル。世間とか経済とかが気になって仕方がない女。ある日、男が妊娠したのだと騒ぎだし「36.7℃」
不妊に悩む女。もっと簡単に手に入ると思っていた幸せが簡単には手に入らない。段階を経て高額になっていく治療費もいまひとつ協力する気の薄い夫も気がかりで。「平らげないでよ」
フランス、両性具有で生まれ一度は女となったが性別適合手術で男となったデュボワの店に、パートナーの望みで子供を作らなきゃと決心した女が訪れる。「デュボワの場合」
江戸時代らしい。一度限りの不貞がもとで身ごもってしまった女。母姉は家のために産めと云うが、その相手は実は狸で化かされたのだという。「悪事千里を走る」
女が気づいた不思議な場所にはもう一人いて、そこはブラックホールなのだという。「ブラックホール」

妊娠とか女性の生き方ということだけにとどまらず、そこにつながるだろうさまざまをがっつり100分に凝縮。赤ちゃんポスト、不妊、アボガド、想像妊娠、少子化対策、熟年離婚、派遣切り(満了での終了を責める先はどこだ。政治か)、従軍慰安婦、両性具有、性的適合手術、大奥、望まれない妊娠、イエの制度、違う人種、子供は今の世に生まれてきて本当に幸せなのか。とか。

もちろんさまざま膨大な問題につながっているのです。それを無理矢理にではなくきっちり隙間なく高密度に詰め込んでいる印象。芝居を観る側にしてみれば、それは得策ばかりではありません。過剰なほどという感じは受けるし、台詞の一つ一つがあまりに重くて情報を持ちすぎているために、背景や社会を描いただけの書き割りのようで、人間の悩みさえも重みがみえづらくなってしまうきらいはあります。告発や報道やアジテーションとしては、この過剰感ゆえにいろんなフックがあったり、今の時代の感じを感じさせる効果は間違いなくあるので、それが狙いならば成功しています。

「36〜」の弱者ゆえに社会が気になる女という立場も男のある種の無邪気さも実は伝統的なジェンダー観からみるとひっくり返って見えるのがちょっとおもしろい感じ。自身に引きつけてみると、派遣社員のことは立場が違うとはいえ他人事ではないのがちょっと気持ちにフックします。

ブラックホールはどこか「遊◎機械」風の仕上がり。あの頃だって十分社会的だったはずだけど、時代が下った今の描き方としてはただしいのだけど、もっと切実で世知辛くてファンタジーにはなりえないのは悲しい。

彼女たちのジェストダンスは一層洗練された印象。転換をうまくつなぐのにも効果。

「悪事〜」で和服の衣装変化が間に合わない風になっていたけど、結局全員が最後はもとの洋服で、今の物語に引きつけていて。あれ、全部演出なのかなぁ。

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2009.04.19

速報→「寺洗」projectサマカトポロジー

2009.4.18 19:00

サマカトの再演。初演を見ている割にアタシがほとんど覚えてなかったのは秘密ですの70分、キャストはほぼ入れ替えでしょうか。シアターブラッツで19日まで。

都内から45分、寺洗という駅。ほんとに何もない、のどかすぎる小さな駅。そこから通う会社員たちだったり、目的が微妙にずれながら訪れる人だったり。

初演ではほぼオチになっていたと記憶している(間違いかもしれない)地名の音にまつわることは早々に明らかに。駅に居着いてしまうひと、というのはうっすら記憶がありますが、ほかはじつはまっさらな感じ。

細かくズレていく会話を繋いでいきながら積み重ねていきます。一時期はこういうスタイルの芝居ばかりみていた気もしますが、最近の感じでは意外なほど少なくて軸がない感じに最初は少々戸惑ってしまうほど。しっかりと役者に裏打ちされた仕上がりは徐々にしみてきます。

オフィスの会話がおかしい。新人のあの人の妙さ加減の噂、それに違わず澤唯演じる男の気持ち悪さがすごい。会話はあくまで静か、そう変なことをしゃべってるわけではないけれど、きっちり。その噂をしている側のOL(死語だ)たちも何をしているかさっぱりわからないプロ集団のずれ具合もたいしたもので。

密かに願いがかなう仏像とか、会社を辞めたらしい男の嘘とか、一目惚れのストーカーのささやかな嘘とかのさまざまの散りばめ具合、印象的。物語そのものがしっかり、というよりは細かなネタというかダイアログが楽しい。後まで残らない感じなのだけど、その儚さ加減も、芝居らしくてあるべき姿という気もします。

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速報→「シンデレラ」COLUMBA

2009.4.18 15:00

ペピン結構設計の作演・石神夏希のユニットなのだといいます。アタシは初見。70分。19日までBankART NYK。

自転車置き場で延滞38日目の自転車を引き取りにきた女の話を聞くうち、魔法使いの友達が居ながら舞踏会になかなかいかない女の話が交わってきて。

1Fのコンクリート打ちっ放し、大きな円柱がいくつか、天井も高くてものすごい反響音の場所。ちゃんと声が聞こえるのは不思議な感じ。自転車を使って走らせるのもこの場所ならではのつくりで、場所に立脚した芝居の作り方という点で印象的。

「選ばれる」という若い女性らしい視点を軸にしながら、シンデレラという一種ハッピーエンドの物語と、それとはまったく異質の無差別さを持った殺人事件をパッケージ。曖昧な感じで行き来しながら進みます。

正直にいえば、その二つの物語のつながりはこの一点だけという感じがして相乗効果を生み出すほどには至っていないというか、水と油のように分離している感じすらして、実はあまりいっていないように感じます。

それでも、アタシはこの舞台が好きなのです。選ばれる側の女性の作家らしいある種の切実さがどちらの物語にもきっちり書き込まれて、地に足を着けた感覚で物語を動かしているという感じがするのです。王子様に迫られて「どうしよう、この流れに乗っていいのかな」いうあたりの一瞬の感覚が抜群におもしろい感じで、大好きなシーン。

当日パンフにも、トークショーにもでてきた、物語が語られて伝承されていくのは本人ではなくまわりが語るから、という視点はおもしろい。芝居の中の何がそこに繋がるのかは今一つ見えないのだけど。

対面の舞台を設定しているのだけど、これからごらんになるなら入って右手をおすすめ。意識してかどうか、こちら側にはっきり正面を設定しているように思えます。アタシは反対側から。芝居そのものが見えないということはありませんが、裏側、という印象は受けます。

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2009.04.15

ネットに頼る

blogもそうですけど、「ネットの向こう側」にデータを置くだけじゃなくて、編集したり機能を持たせたりといわゆる「アプリケーション」を置くようになって、ますます依存度が高まったりする昨今。高速なネットワークを前提にしたら今までできなかったことができたり。

たとえば、旧聞に属しますがDrop Box (このへんの解説がわかりやすい)。インストールすると、ある決められたフォルダの内容をバックグランドでネットの自分用のスペースに置いてくれる、という機能をベースにそれを複数のPCの間で同期させることができるというオンラインストレージ。ちょっと凄い。

もうすぐサービスの始まるジャストシステムのinternet Disk Backup は有償だけどネット上にバックアップを取ってくれるサービス。

で、それに頼り切ってしまうと動かなくなったときに、どれだけ依存してたのかと思って唖然とするのです。CoRichのサーバーが先週末ほぼアクセスできない状態で、同じサーバを使っていたと思われるCoRichチケットの管理サーバにも入れずに大変だったと聞きます。 どういう構成になっているかは知りませんが、新規の予約が入らないだけならいざ知らず、もし予約済みのデータを入手出来なかったとなると、何か改善が提案されなかったら怖いと感じるのは自然な流れでしょう。

今のところは無償で提供されていて、おそらくは金にならないだろう小劇場を中心としたサービスをきちんと継続していくのは大変なことだろうと思うのです。使えないと言い放って思考停止にするにはあまりに惜しい。感想が読めない・書けないはともかく、チケットサービスの方はサーバーが止まっても売った分のチケットはちゃんとフォローできる仕組みのようなものだけでもせめて。サーバーの増強みたいなのはもちろん根本策として望まれるけれど昨今の状況ではなかなか思い通りにも行かないと思うので。

がんばれ。見切り付けられるとわりと簡単に乗り換えちゃうのがネットの常なのだけど、アタシは少なくとも今のところは完全に頼りにしています。いや、チケット売ったりする側はやってないけど。

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2009.04.13

速報→「義弟の井戸」黒色奇譚カナリア派

2009.4.12 18:00

カナリア派の新作。15日までシアタートラム、120分。

妹が連れてきた恋人は、兄がかつて苛められていた相手だった。母親はあくまで護っていたが兄は家からほとんど出ていなくて。恋人は妹を貰いたい一心で通うが、昔のことがどうしても許せない。

いわゆるアングラ色いっぱいなのだけど、若い作家が元アングラ劇団系だとはいいながら、この年代にはリアルな感じがしない枠組みがたくさん。が、それはそ大きな問題ではありません。頭巾をかぶることで、役とは違う世間だったりするというこの芝居のルールを理解するのに手間取ってしまったアタシは少々出遅れてしまった感じはします。

後半、井戸のあたりから圧倒的に面白くなってきます。井戸の出来事の見せ方は広い劇場ゆえのフェイク感はありますが、この規模の劇場で見せる方法としては正しくて、印象を残します。

大沢健が出ているから完売だと思えばさにあらず。週末を迎えて予定を考えるアタシにはありがたい。ビッグネームを呼んでしまったために、小劇場の役者たちがそのポジションになるのは観客としては少々悔しいのだけど、全体にバランスは取れていて。片桐はづき、牛水里美(日曜夜は埜鈴役か)、中里順子くっきり。前半に出番が集中する中村真季子はテンションの高いままヒールになっているのだけれどきっちり。材木店の兄貴分を演じた沖田乱が印章に残ります。

イカダから鉄道という時間の流れに対して鉄道が禁止されることで困る人という視点が新鮮。物語の本筋としては大きなことではないけれど、その思案を納得させる感じがあるのです。

男はおしなべて意味のない拘りやら繰り返しをする繰り人形のような扱われ方で、女たちが考えているという感じに見えるのは面白い感じ。半面、背景をきっちり描こうとしていて特に前半を持たせるのに苦労している感じがあります。 「目の端で好きな女を見る」日常の楽しみを云う台詞がちょっと凄い。

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速報→「アチャコ」ユニット・トラージ

2009.4.12 14:00

北村想書き下ろしの「アチャコ」公演のためのユニット・トラージ。12日までアゴラ劇場でこのあと大阪、名古屋。105分。

純文学を名乗るがその実アダルトというかポルノっぽい小説家らしい男。弟子が持ってきた習作もポルノまがいのところで止まっていたりする。編集の女やら、弟子入り志望の女も押し掛けてきて。

情報量が多いというか、蘊蓄がたんまり、一見敷居が低いようで、頭良さそうなというかある種の取っつきにくさが持ち味。すべてかどうかはわかりませんが、少なくともここ何本か観た印象はそういう癖があって、実はちょっと苦手だったりもします。その印象は大きくは変わらないのだけど、芝居を見ているという満腹感は確かに得られます。

ポルノまがいの小説を朗読する序盤からはじまり、ほぼ全編、エロだのなんだのという感じなのだけど、面白がるという感覚の方が強い感じで実は卑猥さは微塵もなかったりします。なんて云えばいいのだろう。当事者感というか切実感のない完全な部外者視点というか。もちろんそれが芝居としておもしろくないというわけではありません。

中盤の歌やら、終盤の数え歌から何かがあるんだろうなぁと思いつつそれが感じ取れない感じがして、それはアタシが抱えている知識やらなにやらが不足してるのだろうなぁと思いつつ。当日パンフで触れられている高橋鐵(をを、wikipediaにもエントリがない)を知れたのはちょっと嬉しい。

土居辰男の小説家が絶妙なぬけ具合で仕草を観ているだけで笑いがこみ上げる感じ。二番弟子を演じた 空沢しんかの朗読にもまして歌がちょっと印象的。

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2009.04.11

速報→「うそつき」ルスバンズ

2009.4.11 19:00

ひょっとこ乱舞の広田淳一のユニット、客演をそろえての4人という小編成90分。13日まで王子小劇場。

戦争から数十年、まだ傷跡の残る町、港と砂漠の間あまり賑わってないガソリンスタンド。暮らしている女二人と男。そこに訪ねてきた男。その住人の一人に金を貸しているのだというが、確認してみると顔が全く違っていて。

スライドで背景を説明、少しだけ遅いテンポの音楽をかけながら、その部屋の外、政治とか戦争という形で起きていることを見せる構成はナイロンのいくつかで観られるパターン。きな臭い、という属性だけで何処と特定しないですこし洒落た感じとしては正しい。

知り合いだと言い張るけれど、証拠がない人、ウソツキなのかもしれないとおもいながらもそのまま受け入れてしまって日常になる風景。そこへの疑いは終盤でも継続されるのだけど、むしろ終盤のメインはそこに住んでいる人々たちの何かの嘘だったりします。

役者に不安はありません。倉田大輔はかっこよくても線が細い印象だったのだけど、久し振りに観ると映像で鍛えられたか年をとったか、声や視線に厚みがあって印象的。金沢涼恵は独特の声や人の良さそうな感じというところは強みだけれど今作ではその強みで勝負しないという点でチャレンジしていて地の力。

本筋とはまったく関係ないのだけど、女二人の口喧嘩というシーンがちょっとおもしろい。 わりと作り込んでいる割にメインの話に何一つ絡まない感じがするのに舞台に乗せている戦略というのがあるはずだとおもうのだけどどうなんだろう。あるいは出捌けに枷をはめてあって、下手奥から上手奥に走ってターン、クルリと右回りに廻ると登場したことになり、客席側に捌けるというルール。観やすい感じではありますが、それを守るために無理している感じもあって少々窮屈。

上手高いところに窓を釣り、そこにスクリーン。舞台の高さは劇場の地、テーブルとソファがおかれていて床に座る芝居がないことがうまくいっていて、おそらくどこの席に座ってもちゃんとみえる芝居。細かいことだけれどそれだけで好感度はもちろんアップ。

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速報→「桜の園」青年団若手自主企画

2009.4.11 15:00

チェーホフ作品をFUKAIPRODUCE羽衣(未見)の糸井幸之介の音楽・振り付けを組み合わせた「妙ージカル」なる形式らしい。115分。15日までアトリエ春風舎。

基本的にはチェーホフ、桜の園。

舞台を丸く囲むように少し高い部分。地主・その娘・その養女の三人は舞台の中央に降りているのだけれど、ほかの役はほとんど下に降りることはありません。さらに舞台の中央を別室や別の場所と規定し、そこに移動するためにはその円周のすぐ内側を通っていかないといけない、という三層の舞台。下に降りるのは三人の女性の家族、という枠組みか。

よく考えたら桜の園自体ちゃんと観たことがないので、2時間弱でそれなりに物語を知ることができたというのはもしかしたらアタシのメリット。

中心となる役以外は複数の役者が入れ替わりながら演じていて、カツラや持ち物でそれを見せる努力はしているし、中心となる人以外は誰がだれでもということを見せてる気がしないでもないのだけど、今一つ効果的という感じには至りません。

それをいっちゃあおしまいよ、という気がしないでもないけれど、歌わせる手法を使う意図や、このスタイルのメリットを今一つ感じられず。チェーホフそのものがあんまり得意じゃない、というアタシの側の理由もあって、ついていくのは少々厳しいところもあります。

石村みか歌う二曲はちょっと聞き応えもあるしちゃんと見せる感じ。もちろん歌がうまいことに主眼はない手法だとおもうけれども、それにしてもこの中では突出して形になる感じで印象的。鈴木智香子はコミカルなパートが多いのだけど芸達者、間合いの良さもあって印象に残ります。

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暖かい。

春らしく今年度一年のために個別面談の前半、あるいは呑みに行きたかったけれども時間が合わなかった人と結構呑んだ一週間。今までは居る人でどうやり繰りするかを考えていたけれど、取捨選択しながらチームをどう作るか、考え始める一週間。ということをこの歳になるまで考えることもなく。←駄目なひと

濃密だったりして疲れない訳じゃないけれど、でも、人とコミュニケーションをするのは当たり前だけど重要なのです。暖かい週末、嬉しい。サンダルにしようかと思ってしまう。

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2009.04.06

【稽古場公開】「キレなかった14歳リターンズ」

2009.4.5 12:00

4月下旬からの6作品を上演するための公開稽古を一日かけておこなうイベント。関係者もそれなりに居たりするから、結構満員な感じで。横浜に住んでるわりには野毛界隈はとても久しぶり。「急な坂スタジオ」も初めて。この規模で使える稽古場ってのは確かにいいよなと思いつつ。幾らかかるかは知りませんが。

芝居をやる側、ってのはよく知らないので、完全に物見遊山モードのアタシ。公開だから気楽に。10分遅刻のおかげで演出席横のような特等席で。舞台の模型があったり、外でアニメーションの打ち合わせしていたり、舞台監督的な打ち合わせしてたり。雰囲気だけでも楽しい。全体としては一人70分。稽古を60分、質疑応答を10分、一番最後に6人揃っての会話と、その後花見(向かい側は野毛山公園なのです)

普段は日曜昼の芝居を見る前にご飯とビールかっくらっていくのですが、その時間は取れなくて。早い時間にしかも日ノ出町の京急スーパーの横(ウィンズもあるし、向こう側の川沿いには桜が咲き誇ります)からものすごく急な階段を昇って線路の上を越えてという尾道のように行くのが楽しい(EZ-web偉い)。夕方の休憩でも呑まないで見よう、と思うのです。

以下個別のメモ。

■柴・「少年B」
アタシの遅刻で10分ぐらいの遅刻で途中から。 14歳のちょっとした臆病さ、はよく出ている感じで暴れる側よりいじめられる側、みたいな視点の物語はちょっといい。役者の年齢でダブルスコア越えがあったりして、その上の側が近いのはどうなんだ、あたし。

■白神・「すご、くない。」
ダンス基本なのだけど。ストレッチ、大きさの確認に時間をとる印象。たしかにちょっと暴れる感じなので、真っ先に危険を避ける動きを確認するのはやるべきことです。自由な人々をぶちこんでいくところはちょっとおもしろい。

■神里・「グァラニー」
ホワイトボードを出してきて東京についてというのを15分ぐらい。ここで時間を使ってしまった感。神田・秋葉原が重要なのが何故かは結局わからず。 転校してきたこと、自分の思い出語りと母親、最初のシーンはわからないけど。 要所を見せてる感じはしますが、パラグアイ生まれじゃないのね。最後のトークでは公開用に嘘の稽古をするという策略をしたりするのだけど今回は違う、らしい。

■篠田・「アントン、猫、クリ」
既に30分通せる状態。たった二人だけれどそれをプレゼンテーションして悩んでいることを素直に打ちあけて、自分のやりたいことを云って、意見をもらうというスタンス。ものが生まれる瞬間を目撃できるというのを見られるだけでもお得感満載。 全体のスタッフがfaifai系という強みはあるけれど、他のグループの役者やスタッフを巻き込んで引っ張りだしてしまう強みというか。 呼び込まれた人々もおもしろい。ダンスは好きじゃないけれど、太ってるなら太いなりの動きがあって。平面になってしまうのはなぜだろう、どうしたら立体というか、空気感を立ち上げられるんだろうというのが、今回の悩みの骨子なのだけど、ならばその狭い場所を描写するよりは部屋全体を描くのもありではないかとおもいました。

■杉原・「14歳の国」
唯一外部の既存戯曲。すべて通す感じで。本ができている分だけ迷っている感じはあります。山崎皓司という役者をより所というか特異点として描くのは成功しているような気がします。

■中屋敷・「学芸会レーベル」
普段の稽古の流れをそのまま短縮してという構成。雑談(北海道公演のおみやげなど)から始まり、 三文字以上のことばを云いあうゲームを経て。 いつものとおりの「柿」風のテンション芝居。薄々思ってはいたけれど、演出は音を聞いて拠り所として演出しているということがちゃんと見えてきます。(最後のトークショーでもその旨の質問あり)

■全体として
イベント向けに使われるような短編と同様、こういうカタチで稽古場を見せるのは演出としての戦略に大きく影響される気がします。 もちろん、稽古場の公開を見せ物として成立させるかどうかということはあるのだけど、それを見に行く側としては、やはり見せ物になってる方が嬉しいのは事実で。笑いが多いというのは確かに観る側の緊張感に影響はしますが、それよりも、その場で何かが生まれているという感じを持たせることができた篠田(普段の稽古場の人数の少なさを逆手に取っています)や、特徴ある舞台が生まれる現場の空気を再現できている中屋敷はやはり印象に残ります。

最後に6人が出てきて、質問、復習をするのはこういうイベントとして正しい。昼から最後まで時間をきちんと測って例外を許さないというのも部外者の印象にプラスに働きます。 今日観た稽古場がそのまま舞台に載るとは思えませんが、何かが生まれる場所、何かを生み出そうとする場所というのは刺激的なのです。

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2009.04.05

速報→「さとがえり」KAKUTA

2009.4.4 18:00

桑原裕子の処女戯曲を改訂再演。12日までザ・スズナリ。90分。

合宿客を中心とした長野の宿。オカルトサークルの大学生や一人旅の男に混じって、父親の三回忌に集まり本家に泊まれなかった人々。大人となった子供たちが戸惑うのは、亡くなった夫の妻が、なぜかどんどん若返っていって子供たちの年齢より下になっていってしまっていることで。

あり得ない設定を最初にどかんと、その外側の細部や想いを詰めていく感じは、戦略を立てて書くということをこの最初の戯曲からきちんと作っていたということだと思うのです。カップリング上演されている朗読に比べると、笑いも多くて見やすい感じがします。特に前半、親戚づきあいの面倒くさい感じ、アウェイな婿の立場、子供の頃の喧嘩など要素には事欠きません。

初演が1時間強だったので、場面をいくつか増やしているようですが、物語が薄くなるということもなく大きな問題ではありません。この規模の劇場にあわせた改訂をきっちり作り上げていて、商業演劇のような見やすさを合わせ持った仕上がりで幅広い観客にリーチするような芝居になっています。東京以外のあちこちにも持って行けそうな感じはしますが、小品ながらしっかりセットを立て込んでいるために逆に持って行きづらくなってるような気もしてちょっと勿体ない。何せ朗読公演との僅かな間にかなり大がかりなセットチェンジをしています。

全体にほぼ女性の側の視点。女性の役の方がきっちり造型されていて全般に見応えがあります。「子供は子供だけれども、妻は(夫が)死んだら(夫側の親戚にとっては)他人だから」というのは女性が結婚した時のアウェイ感がこの短いことば巧く凝縮されて印象的。

序盤、桑原裕子が寝ながら夢を見ているようなシーンの表情の凄みは異質さもありますが、ちょっと凄い感じ。大枝佳織は線の細い役が似合うのだけど、見た目にギャップな中身オバサン、という見応え。 諫山幸治演じる婿は数少ない男の側のアウェイ感をきっちり。はらださほ演じる妻とのバカップル風新婚というのもコミカルで両者とも可愛らしい。異儀田夏葉演じる大学生ののちょっと露出高い感じは最前列に陣取ったオヤジのアタシには少々刺激的なのだけど、全体に静かめにまとまりそうな全体の雰囲気の中でテンションを強烈に上げるのに違和感がないのはたいしたもの。

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速報「帰れない夜」KAKUTA

2009.4.4 14:00

KAKUTAがサウンドプレイと題して続けるシリーズの新作はホラー・ミステリーテイストの4本にオリジナル1本で構成。125分。12日までザ・スズナリ。

引っ越しをきっかけに知り合い趣味の読書で繋がり古い家に住む男のところに通うようになる女。ここにずっと居たいという気持ちが「帰れない夜」(オリジナル)
別れ話をもちかけた男は、最後に女が差し出した手を取ってしまったがために、女のたくらみにはまりこんで「あなたをはなさない」(井上夢人)
家族を事故で失なって失意の日々を過ごしたが、残されたアパートのおかげで暮らしていけている大家。徐々に減ったが、最後に残った一人入居人は大学生で亡くなった息子の面影を持っていて。ある日その大学生が病気に伏せっていたことを知って、親代わりのように熱心に看病をして「生きがい」(小池真理子)
男と別れて訪れた京都でふと入った神社。一面の絵馬は別れを願うものばかりでその悪意に押されそうになる。帰ろうとしたとき目に留まった一枚の絵馬に、自分の名前があることを知って「縁切り神社」(田口ランディ)
息子と訪れた公園、息子はここにお化けがでるのだと脅す。小さい頃からこの公園で遊んでいた父親は子供の頃の友人との一日の光景を思い出す。いつものように遊んでいたのに、その直後に事故に遭って死んでしまったと聞いてあまりのショックで落ち着かない翌日、ふとその公園を訪れると「昨日公園」(朱川湊人)

もはや朗読ではなく、ふつうの芝居にト書きをつけたような独特のスタイルは、もはや彼らのものだといってもいいのです。 オリジナルの一本が、ほかの四本の間をブリッジする構成になっているのも、もはやスタイルとして確立している感すらあります。

タイトル「帰れない〜」は読書と出会いと別れと、一人で居ることと二人でいることと。細かいパートなのだけどしっかりと繋がるものがたり。

「あなたを〜」は離れたくない女の思いあまっての行動のワンアイディアでぞっとするけれど、その延長線上の終幕の怖さはそれを上回る凄みすらあります。たぶん文字で読むよりも絵として見せられるほうが怖さが伝わる感じ。

「生きがい」はあとから考えれば文字の上のフェイクをどう舞台に乗せるかというのはちょっと綱渡りな感じはあります。なくなった家族を想い残されてしまったひとの想いがある種の倒錯に落ち込んでいくのだけれど、その全貌は終幕近くになって明かされます。

「縁切り〜」は骨組みとしては一番ホラーっぽい仕上がりの小品。絵馬を掛ける腕の演出がちょっと凄い。これは小説では味わえない感覚。

「昨日〜」はどちらかというとミステリー仕立て。なんどもリピートしていく場面の行く末の不安は男に「見殺しにする」という選択を与えるのだけれど、そこでは終わらず、終盤で見えてくる大枠の構造がちょっとすごい効果をもっていて、もって行かれて泣いてしまうのです。圧巻。

いずれも読んだことは無い小説なのだけどきちんと。言葉をしっかり読み、伝えるというのは、声優とも繋がるKAKUTAという劇団の「ものがたりを声で伝える」力を育てているのです。

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2009.04.04

速報→「7歳の孫にジンを2杯飲ませた祖母」うさぎ庵

2009.4.3 19:30

うさぎ庵の新作、桜が咲き誇ったこの週末にクリスマステイスト満載で。アメリカで起きた事件の外郭を引き写し、その内側を作家の想像力で補完して。6日までアトリエ春風舎。80分。

イブの夜、ホテル夜勤のために母親は娘を祖母に預けて出かける。が、46歳の祖母も遊びに行きたいから7歳の娘にジンを飲ませて酔わせて出かけたが、匿名の通報で逮捕に至り。

トークショーによればネットで見つけたアメリカの実際の事件が発端。前半は翻訳劇のようなテイストで、しかし女ばかり祖母・母・娘という三つの世代の住む家の中で、娘が見える・見えないという祖母・母のズレの前半。よくある翻訳劇っぽいテイストも意図したもののようです。

トークショーでも感じた46歳の祖母、というところが最初の引っかかりなのでしょう。もちろん、7歳にジン、というのもあるけれど、どちらかというと祖母の年齢に近いアタシとしてはその側からの視点なのはよくわかります。が、その現実に対して芝居でいくつかの企みを仕掛けてはいるものの、現実の強さはなかなか手強い。

フレームを模したようなプロセニアムを春風舎の規模にきっちり。下の二世代に加えて序盤のADなど声質を強みにして担う鄭亜美の圧巻と色気。46ということはないだろう天明留理子の色香。含めて4人の役者の安定は実に安心。 毎日あるかどうかわかりませんが、劇場での呑み。ジンは普段呑まないので、挑戦。子供には無理な40度前後だけれども、ああ旨い。

ネタバレかも

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2009.04.03

はるー。

電車が微妙に混み、自動ドアの前でコートを脱ぐ人がいて、桜が咲いたりして。春ですねぇ。

気がつけばTHEATER/TOPSのお祭り公演には行けず&行かず。ポツは面白かったけど、それが最後でもなぁ。別にビル自体が無くなる訳じゃないと聞きますので、もいっかい劇場になるんじゃないかという予感。

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