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2009.03.21

速報→「光の帝国」キャラメルボックス

2009.3.20 13:00

元リキッドルームであるFACEは小さなエレベーター3機しかなかったり4つしかない女性用化粧室が長蛇になったり(そのわりに男性小用や訳判らないぐらい多い)と、勝手の違うこともたくさん。早めに行き、あるいは備えて。65分。29日まで。

15年ぶりに再会した男と姉弟。あのころ、引っ越しを繰り返し友達ができなかった弟。一家は、あらゆる文章を記憶し忘れない不思議な能力を持っていた。その不思議な能力ゆえの迫害を恐れ、常野(トコノ)として在野に目立たないように生きてきたが、弟は、そらんじている平家物語をきっかけにある老医師と「友達」になってしまう。

記憶力がやたらに優れていると紹介されている冒頭から、人の記憶を「しまって」自分のものとしてとりこんで「ひびく」こと、というところへの展開は少々観客に対して誠実さに欠ける感じがしないでもありませんが、1時間の濃縮感はたしかな力。若い役者を核にしてもしっかりとした物語。笑いはそれほどは多くなくて軽快さよりは重さの方を感じがちになってしまうのは、恩田陸(原作「大きな引き出し」/「光の帝国」所収)ということを、アタシがことさらに意識してしまっているというだけのことかもしれません。

今作は畑中智行演じる不思議な能力を持つ一家の末っ子の成長譚と、大内厚雄演じる息子が父親の想いに気づく親子の物語の二つの軸。わずか60分の中に無理なくきっちり詰め込んではいますが、アタシの気持ちを乗せる視座に困るところはあって、そこが印象の弱さになっている感じはします。

小林千恵演じる同級生は弾けていて楽しい。坂口理恵演じる母親はこの座組の家族の中では圧倒的すぎることを自覚してかどうか、出しきっていない感じが惜しい。

親の想いの深さ、それに気づいたときの子供の気持ちの激しい揺れの感覚はあたしの気持ちに響きます。親を厳しく憎むぐらいになってる、ということならばこれは感動なのだけど、アタシはそこまでではなくて。でも、想いの深さに気づく瞬間は確かに。

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