速報→「インテレクチュアル・マスターベーション」パラドックス定数
2009.3.28 15:00
下北沢・スズナリの横にあった映画館を改装した本多グループ、下北沢で7番目の劇場、演劇としてのこけら落とし。エイプリルフールまで711。110分。対面に設えられた客席、常設側が正面、裏側になるパイプ椅子席は裏の表情が楽しい。
明治、社会主義というか無政府主義を掲げる男たち。世間はきな臭くなり、その自由も怪しくなってきて。幸徳秋水、堺利彦、木下尚江、山川均、大杉栄、荒畑寒村、内山愚童
史実に嘘を巧みに織り込むパラ定の新作。大杉栄のような歴史上の有名人を登場させるスタイルは実は結構珍しい気もします。匿名の誰かを登場させるスタイルはあたしの好みにぴったりだし、実在の人物でも史実を知っていれば楽しいのです。が、この実在の人物となると、じつはその知識というか印象が物語を読み進むために必要な感じがします。例によってこの手の知識に疎いアタシは、大杉栄や(登場しないけど)田中正造の名前ぐらいは知っていても、登場人物たちのキャラクタというか、どんな背景の人々かは知らないまま。知っていれば、人物の造型をいきいきと感じることができそうなのだけど。この規模の劇場でずっと張り続ける声。時代の熱さを感じさせるという効果とともに、裏側で芝居を観てもセリフがちゃんと聞こえます。戯曲を買って読むと、役者のセリフがそれほどはしっかりしていないことに気づいたりしますが、それは大きな問題ではありません。 張った声は人物の格好良さ。お互いに軽口をたたきながら、命すらなげうちそうな熱さを持った人々を丁寧にしかしダイナミックに描くのです。
屋上での集団での演説はまるで遊園地に遊びに来た男たちのようで乾いて明るく楽しい。あるいは軍人500名を前にしての演説シーン。これが記録に残っているものかどうかはわからないけれど、けっこう圧巻。「おなじものを見ている間は幸せだけど、ずれたら戦争」というくだりはちょっといい。。そういう具合にこまごまいい断片が書き込まれてるのだけど、それが有機的につながっておおきな物語に感じさせないのは史実を知らない自業自得。
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