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2009.03.02

速報→「愛の渦」ポツドール

2009.3.1 19:30

抽選に当たらないアタシには多分最後のTOPS。ポツドールの三浦大輔、岸田國士戯曲賞を再演。140分。15日まで。アタシは今作を初めて観ます。

マンションの一室を使った裏風俗の乱交パーティの一夜。見ず知らずで集まった男女は最初こそぎこちない会話だが。

セリフもさることながら、TOPSの中にきっちり作り込まれる空気。賞を取るだけのことはあるなぁと心底しみる芝居なのです。

とはいえ、 全編ほとんどバスタオルを巻いただけの姿での上演。不思議と色気は感じなくなりますが役者には相当な負担のはず。なるほど、終演後にTOPSの名物である階段一杯に溢れる関係者と出演者が皆無なのは珍しい。時間が遅いだけかもしれあませんが。

最初にいる8人がぎこちなく相手を選び、ロフトになっているベッドに向かう、という序盤から徐々になれていったりする盛り上がり、さらに少々の諍いもあったりして。よがり声だったり、そのもののシーンだったりも挟まれたりして刺激をちりばめていて眼福なのは間違いないのだけど、そこに含まれた想いに気持ちが揺らされます。

一夜だけのセックスをするためだけの場所、電話番号の交換など関係をつながり続けることを禁止すらされている関係。その中である一組が深く愛を育んでいくのだけど、台詞では愛情が生まれていることはほとんどふれられず、台詞の上ではむしろ愛情ゆえに反発してたりしている部分だけが描かれます。もちろん、舞台をみている観客には台詞がなくて単に手をつないでたりロフトにあがる過程をみているだけで、そこに想いが生まれることは明白なのです。なるほど、作家がセリフというものを信用していないと感じさせるのだけど、それでも芝居というのは力強くそこに立ち上がるのだなと感じるのです。

携帯の番号が交換できそうでできなかったり、カーテンを開いてそれまでの一夜の関係があっさりと流し去られたりしているような日常への戻りがの一瞬など、よくできたシーンがたくさん。こういう場所というだけではなくて、所詮ひととのつながりは、どんなに愛していたとしても一瞬でなくなってしまうという無情感のようなものすら感じさせます。 これを観てしまうと寒い夜が本当に寂しくなってしまうわけで、ついついビールに手を出したりするのですが。

amazonのアフィリエイトを張ろうと思って検索したらたかだか3年前の戯曲がマーケットプレイス(古書店)でしか入手できなくなってることにちょっとびっくり。

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