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2009.03.01

速報→「トワイライツ」モダンスイマーズ

2009.2.28 15:00

鶴田真由をヒロインに迎えての新作。120分。1日まで吉祥寺シアター。そのあと福岡、鎌倉。

病気の父親を抱えた娘。その兄は粗暴で近所でも評判がよくない。隣に暮らす少し年下の男は、小学生のころから女に恋心を抱きつづけている。やがて父親は死に、莫大な借金を抱えても兄は何も助けてくれない様子を見て、隣の男かかねてからの恋心から結婚を申し込む。金がなくても幸せ、とは時間がたつにつれていえなくなっていき...

評判はいいのにモダンスイマーズを見るのは間が空いてしまうアタシです。いままでの印象とはずいぶんちがう、ゆるやかに螺旋を描く床面とそれに沿った高い壁で構成される抽象でシンプルな舞台。

視点というか、これは誰の物語なのだということに少々戸惑いがないかというと嘘になるのだけど、なんかとても芝居らしい芝居を見たな、という気がして印象に残るのです。

鶴田真由は、序盤こそ「きれいな人であればだれでも」という印象なのだけど、そのきれいな人ゆえの何かというのは物語が進むにつれてでてきて納得感があります。

あきらかにネタバレ

夢を見ていてもういちどやりなおす、夢なのかデジャビュなのかわからないままにゆるやかに螺旋を描きながら別の「生き方」を繰り返す構造は、シンプルな舞台のカタチにもつながっていて、きれいな印象を与えます。

巧く行かない結婚生活。それを夢の中に押し込んでもう一度やりなおす「のび太」ことカオル。金がないことが女との幸せな生活を阻害したと考え、まるで「進化の過程をもう一度経るように」金に執着し、莫大な資産を持ち女と暮らすようになるが、友人も女も自分のもとを離れてしまう。再度の夢は嫌われないことが優先順位になるが、その人生すらも。

シンプルな恋心と、要所要所の台詞や設定は重なりながらも全く違う過程を経る人生。小学生から大人という時間の経過をほとんど同じような黒一色の衣装で見せるのを違和感なく見せるのはたいしたもの。こういう構造を作ったらおもしろそうだということはわかっても、この構造にどうやって「落とし前」をつけるのか、固唾をのんで見守る観客にごく短い時間で、しかし圧倒的な役者のチカラでそれこそ腕力にものを云わせて「切る恋の物語」に落としこむのです。

それまで観客が見ていた物語とまったく違うところに落とし前をつけるというのは、一歩間違えばとってつけた感じになってしまうのだけど、ぐるりとまわった「スピンの違う」螺旋になるのは痛快ですらあるのです。

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