速報→「15 MINUTES MADE VOLUME 5」Mrs.fictions
2009.3.15 18:00
定期的に開催されるショーケースイベント。6団体各々15分に休憩を挟み130分ほど。15日までシアターグリーンBOXinBOX。
田舎を飛び出しての成功譚フィクション「松任谷由実物語」(Mrs.fictions)。会社が倒産するその日、ビデオカメラを廻してたり原因の一端となる女が乗り込んできたり「私たちの考えた終わる会社の終わり」(ジエン社)。ダンス「case_1」(MOKK)。保険の外交員が前の担当者と交代して訪れた家には若い妻が何人も居て「恋女房」(青☆組)。死の淵の女は埋めて下さい百年待って下さいといい「再会」(東京ネジ)。家に戻ってきた女は寝る前の15分を自分を高める時間に生かすことにしていて「15分しかないの」(DULL-COLORED POP)。
いままでに比べると美術も照明も大幅なパワーアップ。ここが引き締まっているだけで、全体の印象はぐんと上がります。
この手のショーケースは名刺代わりとなるコンパクト短編が次々と観られる面白さ。劇団のことはやはり生の芝居をみるしかないわけだけど、本公演を観るリスクに比べたら15分で終わるということがはっきりしているこういうイベントはいいのです。「なんとかワングランプリ」でとかく順位を付けたがる昨今なのだけど、そのままを見せるだけ、というのがむしろ重要な気がするのです。
「松任谷〜」はあからさまなフェイクの芝居をことさらにフェイクを強調し少々泥臭く。意図してやってるとは思うのだけど、この路線で行くなら破壊力のある爆笑が欲しい。大澤夏美の表情、オーディションの無音のシーンはちょっと洒落てる。
「わたしたちの〜」は女がらみで潰れた会社、そこに居るのはなぜかかぐや姫となのる女と外からもう一人。末期的な感じでモラルハザードぐちゃぐちゃな感じのすれ違い感、で全体が崩れていく感じ、なのか。
「case〜」はほぼコンテンポラリー。狭い舞台できっちり動いたり、お互いに支え合いながらのシーケンスはちょっと楽しい。でもやはり台詞と物語があたしは欲しい。15分という区切りがわかっているから、こういうのが観られるのは正しい。
「恋女房」は短編アソート集の中の一本。使い回しと云うよりは元々このイベントのような短時間の場所で作れる芝居の必要性を感じてということのよう。全体の中では圧倒的にわかりやすくて、しかもエンゲキ的でイベントでいろんな客層にリーチする強さがあります。若い作家なのだけど、このドロドロ感はどうしたもんだ。
「再会」は夏目漱石の「夢十夜」(青空文庫)の第一夜からの引用、待ち続ける人の話へ。100年待つ、とかから母を訪ねて〜だったり、幼なじみ4人のうち、アルゼンチンに行ってしまった一人を想う気持ちなんかちょっといい。前半の幻想的なところよりも、後半の素にちかい感じのほうがアタシの好みだったりするのです。若い彼女たちだけど、どこかに80年代っぽさが出てしまうのはどうしてなんだろう。
「15分〜」15分を逆手にとって、帰宅後のたった15分の間に自己啓発的なこと考えたり、元彼からの電話があったりと、その「自分だけの時間」の重要なこと。気持ちのぶれがまるでロウソク足のように上下に振れた3人になるのが楽しくてエンゲキ的な感じ、見せ方も洒落ています。
アタシの好みでいえば、「恋女房」「15分〜」が好きな感じ。15分という時間で何を見せたいのかが明確な戦略になっているのか、というあたりがポイントになる気がします。名刺代わりの短編というのをどの劇団も一本か二本持ってるといいよなぁと思うのです。
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