速報→「ブラジル」ラッパ屋
2009.1.18 14:00
ずいぶん久しぶりの感じがします。これからの人生、なんてことを考えてしまう枯れた領域に足をつっこむラッパ屋の新作は、移民100年を迎えた、ということとは何の関係もないボサノバ音楽サークルの話130分。25日まで紀伊國屋ホール。そのあと、北九州、大阪を経て東京も予定。当日券ならば見切れといわれる最前列上手端は避けてむしろ後方を。
千葉の海辺のペンション。大学の軽音楽サークルのOB.OGたち。音楽業界で活躍する創設者の還暦祝いをきっかけにして、久しぶりに会う人々。三十代後半からの人々は結婚していたり、離婚していたり、不倫していたり、成功していたり、挫折していたり。
ラッパ屋は結婚申し込むだの何だのというのを題材にしていたのはついこのあいだのことだと思うのだけど、一気に人生の残り時間が気になってしまう人々の話。結婚していても喧嘩していたり、いつの間にか離婚していたり、長く続く不倫だったりと、それこそショーケースのようにここ十年を過ごした人々。どろどろ生々しいところもあるし年齢が離れているところもあるけれど、連帯している仲間というべき人々のゆるゆる。
健康診断とか人間ドックで再検査なんてものの経験、大したことないだろうとわかっていても、なにかあったらどうしよう、残り少ない時間をどう過ごそうなんてことを考えてしまう、この年代の感覚はもちろんあたしの気持ちにもぴったり。もっとも、それよりもアタシに引っかかるのは40歳乙女座A型で勝負しない体質だと連呼される男の名前だったりするわけですが。何度も連呼されるし。(^^)
アタシが好きなのは、離婚再婚した女を囲んでのかしましい話とかあるいは、再検査に揺れる男が元カノにちょっと焼けぼっくいな気持ちを抱いたり、それに目ざとく反応しちゃう妻の話だったり。あるいはこの旅行を成功させようと空回り気味でもがんばる男の姿だったり。介護、というキーワードも全体への影響はないけれど、この年代なりの説得力があります。
物語全体から見渡すと明らかに乖離しているのだけど音楽業界で成功している男の、しかし音楽というものに夢がもてなくなってしまったという独白、ネットでよく見かける論調ではあるけれど、木村靖司の有無をいわさぬ説得力が印象的。三鴨絵里子の応援する気持ちは声質もあって印象に残ります。終幕のインパクトもちょっといい。石橋道子は不倫だの悪女だのが多い役者ですが、その彼女がもう40、という台詞を喋るのも感慨深い。
当日券であたしの座った最前列上手側端側では、奥のソファーに座って話すシーンのほとんど、役者の顔が上手側ソファーに遮られて見えません。これは時間としては「すこしの見切れ」といえても、物語の体感としては半分ぐらいになってしまっている印象。料金は変わりませんから、選べるならせめて下手側、あるいは後方を。3列以降なら問題ないでしょう。もっとも、あの広さの舞台ですからあとほんの少しソファーを前に出すなり、下手側のソファーを背もたれのないものにするとかなんとか、彼らほどのキャリアならば何とかできる、と思うのですが。
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