速報→「蒲団生活者」あおきりみかん
2009.1.18 17:00
10年目を迎える愛知の劇団、あおきりみかんの新作。シンプルな舞台にアイディア勝負の95分。東京千秋楽はセルフパロディ10分「抱き枕生活者」を終演後イベントに設定。名古屋からスタートし、18日までシアターグリーンBOXinBOX。
5年前から「すべて布団の上で生活する=蒲団生活」を始めた男。恋愛やブランド過食などさまざまな依存症を、蒲団の上でゆったりすることでやる気が起きないことによって解決するセラピーのような集会を始めている。ある日、オヤツの豆大福に薬が仕込まれていると気づいた男は母親のたくらみではないかと考え、蒲団に乗ったまま、家を逃げ出し支援者の家に向かう。
チラシによれば、作家自身がいっとき自宅ではほぼ蒲団の中で過ごしたのだといいます。物語の方はもっと進んで蒲団に依存している、とでもいうような状況。蒲団に入ることでその依存しているものに向かう欲求をやらわげる、とはいっても、結局のところそれぞれの依存からは逃げられず戻ってしまったり、肝心の蒲団生活者の創始は、もともとの依存がよくわからないままだったりもしますが。
蒲団から片時も離れないために蒲団の端に両足を乗せ、もう片方を両手で持ち、ぴょんぴょんとはねながら移動する、というジンジャーならぬ蒲団に乗って状態はちょっとコミカル。八百屋に作られた舞台をこの移動だけで前編乗り切るのは10年選手の劇団としてはこの体力勝負、無茶な感じはありますが、まあ楽しい。もっとも、そのワンアイディアだけで押し通すにはさすがに無理があって、劇中の小説家の女、男を観続ける視点の少々の切なさは作家の視点を思わせてちょっとひっかかりが残ります。
シンプルでなにもない舞台に蒲団の出し入れ、一面に敷き詰めたりと、ある種のフィジカルシアターみたいなおもしろさがあって、その間もドリフターズのようなテンポの良さがあって、観続けさせます。物語の方はアタシにはぴんとこない感じもするのですが、語りたいことを舞台に乗せる確かな力。
イベントでのセルフパロディーの方は、本編のあれこれのシーンをつまみ食いして、タイツマン扮する抱き枕男とそれに依存してしまった話。本編の直後でなければ成立しないぐらいにつまみぐいなのだけど、勢いをかってこれをやってしまうのは正しい。
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