速報→「虎☆ハリマオ」横浜未来演劇人シアター
2009.1.11 14:00
北村想の30年前の初演作、横浜未来演劇人シアターとしては初めての上演。18日まで相鉄本多劇場。130分。
戦後すぐ、貸本屋に毎日のように通う少年。貸本屋の奥に眠る地下のトンネルを冒険しているうち、檻に閉じこめられた「虎」を発見する。祖母の葬儀の日、戦時中、マレーの虎として知られたハリマオの活躍の末期に祖母が活躍していた記憶をたどるうち..
昭和30年代のテレビヒーローだというハリマオはさすがにアタシには記録の向こう側にだけあるもの。芝居の物語は、その骨格だけを使い、少年と祖母の記憶のつながり、のようなところを描き出すところに主眼があるようです。
特に中盤ハリマオ最後の活躍、といった場面の冒険活劇風のあたりはわくわくするシンプルな感じ。アタシはこの芝居を、少年の夢想と読みとったのだけど、そうだとするとやけにエロな感じもあって、ちょっとつじつまは合わない感じもします。
なんというのか、作家のスノップさ加減の見え隠れは少ない反面、「サラマンダの種」をめぐるさまざまなど、女性の見方について少々しつこいまでに悪ふざけにすぎる感はあって、その危うさは作家らしいと思う反面、好き嫌いは分かれてしまうかもしれません。女性はどう思うのかなぁ、この芝居。
とはいえ、特に前半は圧倒的な物量で隙間なく物語を勧めている感じはあって、芝居らしい芝居としての仕上がり。ファンタジーであってストレートに進む物語という感じではありませんから、誰にでも物語を追いやすくはありませんが、美しいシーンはいくつもあって。
ネタバレかも
貸本屋の奥の謎のトンネルとか、謎めいた男たちなど、少年の想像力を刺激するものはたくさんあって、貸本に連載されていたハリマオの骨格に自分の祖母に重ねて夢想している少年の姿は、その想像の中で過ごした一日は、芳醇ではあるけれど、そうして過ごした少年の一日に少し気持ちが揺れるのです。
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