速報→「パイパー」NODA MAP
2009.1.11 19:00
シスカンパニーを離れて初めての野田地図。文字の多い有料パンフ(1000円)もちょっと嬉しい。120分強、2月28日までシアターコクーン。「新潮」に戯曲も載っています。50人に及ぶアンサンブルも珍しい。
地球からの本格移民が始まって900年経ってだいぶ荒廃している火星。ストアに暮らす父親と妹。父親が新しい女と所帯を持つと言い出すので姉を呼んで止めようとする。父親は「死者のおはじき」という小さな円盤をため込んでいる。火星移民たちに俯瞰して一生を記録するために肋骨に埋め込まれる装置で、死後取り出され、他人がその装置を自分の肋骨に当てると記録された映像が見えるのだという。新しい女の連れ子と共に記録を見る。それによれば、火星移民の時に一緒に来たのは「パイパー」というロボットようなもので。
あたしは観てないのですが、遊眠社時代を観ていた複数の知人はそのころの芝居に似ているのだと云います。いわゆる言葉遊びや人数の多さで空間を作っていくのはそういう感じがします。若い役者たちがうねるように空間を作っていくのは確かに迫力があります。
ここ何作かに近いのは、いわゆる社会的なメッセージの厚さ。たとえば、点数という一つの尺度で全体の幸せを測ろうとする馬鹿馬鹿しさ。とくに最近はアンケートを低コストで取るのは楽ですから、さまざまな点数があるにもかかわらず、それを意味があるとおもってしまったりするわけで、アタシだってmixiニュースのいろいろ、読んでしまいます。
たとえばもう一つはシュリンクしていく社会の道筋。環境、戦争、食べ物。許せること、許せないことがそれに縦横に組み合わさって物語を厚く作ります。更にパイパーという従順なロボット(だと思う)が、暴力は排除するというルール絶対で、それ以外の点ではその人間の幸せを追求しようというワガママを増幅する方向に働いた結果。
芝居の出来、という点では初日に近い現時点では完成している感じではありません。もちろんセリフだって動きだって問題はありません。テキスト自体は少々説教臭さはあるものの、きちんとアタシの頭に残ります。ならば問題はそこでもありません。言葉遊びやさまざまな動きが「こなれて」いない感じがするのです。二ヶ月近く及ぶ公演期間の後半には全く違った印象になる気がします。
小劇場好きなアタシにはアンサンブルも嬉しい。あるいは特に前半でのパイパーの動きを支えるコンドルズの凄さ。宮沢りえという女優が圧倒的に凄い感じがするのも新鮮な発見です。
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