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2008.12.08

速報→「SOLITUDE」SPIRAL MOON

2008.12.7 14:00

作家によって、公演によって色を変えるスパイラルムーンの新作。寡作なのだという乾緑郎の手によるハードボイルドというよりはミステリー仕立ての90分。公演は7日まで。

コンセントに繋がったドライヤーをバスタブに放り込み夫を殺した女。殺人を認め罪を償い出所してきた。罪を犯したときにお腹に居た子供を姉に預けていたが、再会を果たせない。殺人の理由もつかめないままだったが....

DVらしいことは示されても、口をつぐんだまま、殺人に至った理由を探すように進む物語。並行して娘に見えてしまうある風景が謎めいて語られます。

ネタバレかも

デジャブと対比される、「まわりのものすべてが見慣れたものとは異なる」と感じてしまう疾患と、娘から見える風景が、殺人を選んだ妻の心情を描きだす、という一点をまっしぐらに目指します。現場となったバスルーム、外のどこか、預けられた姉の家の居間という三つの場所と、その殺人の現場と、19年後の風景という二つの時間を描いていきます。劇小劇場の規模に立て込むにはかなり盛りだくさんなのだけど、混乱せずうまくみせています。

ある疾患があるという事実が明らかになる課程を描いていて、それが実在のものなのかどうかはわかりません。が、そういうことがある、ということを丁寧にすぎるほどに丁寧に描いていると思うのです。でも、その事実を描くというところにとどまってしまった感じがして少々肩すかし。アタシはそのもう一歩先、そういうことがあるという芝居の世界での事実の上に、物語が欲しい、と思ってしまうのです。

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