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2008.12.07

速報→「Post-」女道xxx・サラダボール

2008.12.6 15:00

サラダボールと、女道xxx(未見)の共同形式での公演。チェーホフの「かもめ」からの短い断片を間に挟みながらオリジナルオムニバス5編。7日までアトリエ春風舎。

ライバルの女との戦いに勝つラストチャンスをモノにする秘密を手に入れた女が友人と話している。めくったカードを当てられるその秘密は「オープニング 女道xxx」。
深酒で昨晩のことをなにも覚えていない人々。一人姿が見えず、探しに行くと死んでいて「カワタ」。
カラオケボックスの男三人、財布を忘れていて支払いに窮している。隣の部屋の黒人たちに借りるか、あるいは近くの知り合いに電話して持ってきてもらうか「カラオケ」。
床に寝そべって枝を描いている人々。作業が間に合わず泊まり込みで締め切りに間に合わせようとしているようだが、その間にバカ話とか、噂話とか「ループ」。

ギャラリーらしい場所、久しぶりに再会した男女。今でも撮ってるんだと聞く女に、バイトで生計立てていると答える男のバイトとは「ペットボトル」。

独立した短編の間に「かもめ」のテキストをひいたごく短いシーンを挟みながら。市松模様に仕立てられた床の上をチェスの駒のように動きながら出捌けしながら、あるいはいすなどを出し入れしながら。

時間や記憶や関係や言葉が自在にいじられさまざまに変化していく感じ。物語そのものというよりは、その構造というか構成を楽しむ感じは、短編ということもあって、気楽に楽しめます。

「オープニング」は以前の公演で似たモチーフのものを観た気がしますが、携帯をからませてコンパクトに上演できるスタイルで、洒落ています。

「カワタ」は記憶の曖昧さ、ほんとにカワタなんて人が居るのかな、どうなのかなと脳内がぼんやりしてくる感じが楽しい。

「カラオケ」はこの短い時間の中で張りまくった伏線がするするとつながる感じで、ものすごい事件なのにあっさりその嵐が過ぎ去ってしまう感じは爽快ですらあって。

「ループ」はほかのひとすべてが時間の無限ループなのに、ひとりだけその繰り返しを自覚している視点。単なる繰り返しではなくて、恋だの告白だのが微妙に変化していくのは面白い。

「ペットボトル」はものがたりそのものよりは、テキストに特徴。台詞の単語の文字が欠落していくテキストは徐々にその度を増して、最後の方ではなにを喋っているかはほとんどわかりません。それでも男女のシンプルな会話だろいうということはわかるわけで、その欠落感にワクワクします。

間に挟まる「かもめ」はほとんどがオーソドックスな台詞で演じられますが、最後の「私は女優」だけが、さまざまな演出で繰り返されます。これもある種の実験っぽい感じ。

全体としては好きな芝居なのだけど、後半のいくつかで「テキストを信用していない」感じがあって、それが作家の今の気持ちだとすると、それはそれでちょっと寂しい感じも。小気味いいテキストが彼らの持ち味だと思うのです。「女道」は初見。第三エロチカ出身というのもうなづける安定感。

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