速報→「君の心臓の鼓動が聞こえる場所」キャラメルボックス
2008.12.23 14:00
キャラメルボックスの成井豊17年ぶりの小説を舞台化。黒川智花を客演に。札幌神戸、名古屋を経てサンシャイン劇場で25日まで、120分。
テレビのシナリオを書いたりしてそこそこに食べられるようになった作家。かつての教え子と二人で作った事務所で仕事をしている。ある日、夜遅く帰宅した男の家に若い女が訪ねてくる。14年前に離婚して以来一度も会っていない娘と名乗り、自分が初めて書いた小説を読んでほしい、出版したいのだという。
会いに来た娘と父親を巡る少々謎めいたファンタジーを軸に。男の仕事であるドラマ執筆の現場を散りばめながらの構成。せっかく会いに来た娘に時間を割いてやらないという男を描き出すために使われている感のあるドラマ周りの話しは、今の同居家族たちの場面と併せてコミカルなつくり。
ネタバレかも
軸となる話、突然娘が来ること、でもその小説は彼女が書いたものとはどうしても思えないこと、執拗に料理を作り食べさせようとする、という話のシンプルな軸は王道でがっちりアタシの気持ちを掴みます。それに比べると添えられたほかのシーンが相対的に弱い感じ。
劇中語られるテレビドラマ脚本、「火斗美ふたたび」は真柴あずきが脚本参加したNHKドラマ「七瀬ふたたび」のタイトルとキャラメルボックスの過去公演「ヒトミ」の一場面という構成ですが、まあ、前のめりにキャラメル好きなアタシには楽しめるものの、これだけ手をかけたわりには主人公に課せられた困難な障害、という意味付けしか与えられていないのはもったいない感じ。
家族のシーンも、そういう場があることは正しい。祖父もせっかくの仕掛けなのに、伏線だけなのは肩すかしでもあって。もっとも、それは力の入るはずのキャラメルの冬ツアーだからこそ期待しちゃうから、なのですが。
食べ物をめぐる執拗な感じはあたしの気持ちにすとんとはまる感じ。「7つの目標」も想いの強さや、一種のファンタジーの裏付けをスマートな感じでとりいれていて巧い。
男が娘と過ごした5年のうちの後半2年の、ほぼ西川浩幸の独り芝居は、さすがにきっちりと、しかも年齢なりの味。
なんだかんだいっても、安心して楽しめるものがたり。目に涙だったりもして、やっぱり見続けてしまう、アタシなのですが。
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