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2008.12.15

速報→「プリンで乾杯」競泳水着

2008.12.14 19:00

競泳水着が今年続けてきた三部作( 1, 2) の最終編。すべての物語は独立していますから、これ一本でも楽しめます。120分。16日まで王子小劇場。前売りは完売しているようですが、当日も出るようです。

ルームシェアする男女四人、引っ越しの日に集まった友達たち。就職していた一人の配属は札幌で早々に出ていくことになる。家賃をシェアするためにもう一人を呼ぶことにするが、それはこの残り三人の一人の元カレだった。その近所、バーもあって。

アタシの観る限り、もっとも見やすく洗練された印象。たくさんの場所を用意して切り替えていく手法が得意な作家ですが、今作では固定した場所はたった二つ、もうひとつは屋外というだけの場所。その三カ所を人間を入れ替えることで「同じ場所を違う場として」作り上げるちから。

いろんなフックがあるのもおもしろいのです。アタシの前の列の主婦風の四人は物干しの話をする和歌子に笑い、頷くのです。客席全体ははバーのシーンに仕込まれた仕掛けというか役者の絶妙なテンションに笑い。もっとも、50シーンを超える細かな会話に過去の何かを見てしまうのは、アタシだけかもしれませんが。

アタシ的には男女七人とか101回目とかW浅野とかのトレンディドラマというのは結構すごい発明だというのを再発見。例えばヒロインの今の生活を支えるバイトは語られなかったりとシンボリックにアイコナイズをすることで、見ている人々が同じ恋愛体験を共有できるのだ、ということだったのだということがこの芝居を見て腑に落ちるのです。作家が最初からその特性を狙って始めた手法かはわかりませんが。

細かな設定や場面の雰囲気こそどこかのドラマで見た感じはありますが、せりふも大筋の設定も、物語の構造もオリジナルを感じさせます。雰囲気はあたしの知る限りでは、のだめ、的だったり。

バーのシーンはわりとコミカルパート。それでもその場所があることがクッションになるシーンがいくつもあって、場所の設定が絶妙なのです。その場を支えるのはマスターを演じた永山智啓、バイトを演じた辻沢綾香。ゆるやかなテンションで力の抜け具合も含めて気持ちいいのです。

確実にネタバレ

終幕の一瞬、この三年何していたんだ、思い直したら離れるというこのシーンが、泣く気など微塵もないあたしの気持ちをきちんと揺さぶり、アタシは戸惑います。がやられた、という感じも。そうだよなぁ。作家はこの一点を作ろうとして、全てのお膳立てをしたのではないかとすら思います。

昼に観た芝居も男性の作家で女性を描くというのも一緒。しかしアタシにはずいぶん違って感じられます。昼の芝居は、アタシにはどうしても頭で書いた感じが拭えません。今ある感じを俯瞰するような視点。もちろん、それは高い完成度でした。それに比べると本作はもっと地に足の着いた感じで、リアルを感じさせるのです(が、まあ、あたしはこういう感じの場面の経験はほぼどれ一つとして無いわけですが、これも体験した気になるトレンディドラマ効果か)

デートのときの格好で見違える、という「女の子の技」というような細かいシーンが好きです。そのあとに結果がみえるところが実にいい。このシーンでワンピースを薦める叔母を演じた境宏子が実にいいのです。

あるいはコミカルパートで天才が見えてしまい、無条件で恋に落ちる。なんて「おかしさ」のさじ加減が絶妙。こういうシーンはやはりテレビドラマにはならない感じで、芝居ならではと思います。

エロ単語に微妙に反応しつつも、それをさっとかわすような軽快さ、あるいは「生身でかわいい女の子というだけで奇跡だ」なんていう明らかにセリフだけでは怪しい感じ満載だけれど、それを喋らせるキャラクタを戯画的に作り出すことで無理矢理リアリティを持たせてしまうのもちょっと面白い。

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