速報→「雨と猫といくつかの嘘」青☆組
2008.12.21 19:30
青年団演出部の吉田小夏の新作。シンプルな舞台に、演劇的な企みも沢山ある75分はわくわくします。23日までアトリエ春風舎。22日夜の当日券が厚いようです。
アパートに一人で暮らす初老の男。誕生日に訪ねてきた娘や婚約者。話し始める不思議な話。かつて男が経験した風景が重なりあってくる。
チラシにもありますが、「100万回行きたねこ」(wikipedia)をモチーフに。 一人で暮らす初老の男と訪ねてくる娘、その初老の男の6歳ぐらいのころの風景、同じ男に幸せな家族があったころの風景。役者も入れ替わったりして、このままの形では映像にはできない、という演劇的な企みが満載で、わくわくする感じで見られるのが全編を通じて保たれます。
ネタバレかも
たとえば、「悪いお母さん」をめぐる中盤の風景。それまで自分が感じ取っていたのとは逆の視点に鮮やかに切り替わる驚き。別のシーンでいえば、外に出ようとする猫をめぐる場面の印象深さ、ある種のリフレインなのだけど、その微妙な場面の違いがあたしの気持ちを揺すります。
急遽設定された日曜夜のトークショーによれば、作家はこのまま独り暮らしのまま歳を重ねるとどうなるんだろう、という着想だといいます。彼女に比べればその男の姿が年齢も性別も近いアタシの気持ちにはもっと刺さるように、きっちりと作り込まれているのです。
時間が前後するためかどうか、いままでの具象をやめて抽象度の高い舞台装置は印象的でシンプルに美しい。奥にそぼふる雨、あるいは全体にベージュや白の舞台に映えるいくつかの赤色。
気楽に笑って観られるシーンも沢山あってバランスがいいのです。また、イマ的な設定があったりもしてよく考えればけっこう盛りだくさん。それをたった75分に詰め込んでも、ゆったりと流れるように感じさせるのはどうしてだろうと思うのです。
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コメント
素敵な芝居でしたね☆
>彼女に比べればその男の姿が年齢も性別も近いアタシの気持ちにはもっと
・・って、性別は近いのじゃあなく、男ですよね?アタシとあるから女性ですか?
今日は釜風味ごはんでした!(^0^)
投稿: みさ | 2008.12.30 01:37
コメントありがとございます。
そうですね、男か女かしかないわけですから、近いと書くのはまあ、オカシイですね。
男の姿が重ねられる度合いは、彼女よりアタシのほうが近いはずだ、みたいなことを思いました。
アタシ、って書くのはこのblogでの自分の文法みたいなものなので、はいお気になさらず。
投稿: かわひ_ | 2008.12.30 11:05