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2008.12.07

速報→「レモンスター」散歩道楽

2008.12.6 19:30

散歩道楽、一年ぶりの新作。外部演出を経ての客演陣の厚さか、立ち見まででる満員の土曜夜。7日までシアタートラム。115分。

ある村。美しい娘と駆け落ちをした悲しい物語を持つ伝説がある。ある日、見慣れない男が村に現れ、奉納されているお守りを盗んだとして巫女にとらえられる。村の外から来た別の女はその男を預かることにする。

いわゆる芸能人をはじめ、小劇場領域からも多くの客演を主要な役にあてる勝負の公演。とはいえ、その芸能人たちに媚びることはなく、あくまで劇団の公演という形を貫きます。10年目なのだという彼らの想いの深さは、有料の公演パンフレットにもにじむのです。

外から来た見慣れない男、その男にどこか惹かれる女、村の伝説、あるいは村に居つづける女の影の部分、そこに関係する男。さまざまな伏線を張るのに少々手間取る感じは否めない前半。すべてを明確につなぐわけではないのだけど、張った伏線をきちんと回収するのは作家の強みで、アタシの信頼するところなのです。無駄だとおもえるほどさまざまな会話の断片をおいていきます。人数を出すためかどうか、少々傍線を増やしすぎている感じはありますが、大きな問題ではありません。

ネタバレかも

村に不穏な空気が流れ始める80分ぐらいからが本領発揮。電話ボックスに閉じ込められるコミカルから始まるものの、伝説の物語が再現するかのような空気の中、男が気づくのは「この村は自分自身なのだ」ということ。その村に居るそっくりの、そして美しい彼女の姿は、自分の記憶のなかにある残像。その残像を断ち切る、少々ダサい男の姿は、アタシにとってのヒーローのように感じられてしまう、先を走る男の姿。でも、それは決してわかりやすくなく描くのも洒落ています。

笹野鈴々音のこういう役は意外に珍しい。決して器用な役者ばかりではない散歩道楽 なのだけど、きちんと見せるシーンも多く。植木まなぶのコミカルは飛び道具だがしっかり。鉄炮塚雅よの婚約者の想い、しっかり。ヒルタ街のグラマラス感が眼福。竹原千恵を美しい娘とする配役も素敵。

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