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2008.12.29

速報→「proof」コロブチカ

2008.12.28 19:00

柿喰う客の女優・コロの立ち上げたユニット。何度か上演されている翻訳劇のようですが、アタシは初見です。29日まで王子小劇場、休憩 10分を挟み150分。

天才的数学者の父親が亡くなった。ここ数年はずっと精神を病んでいて、姉妹の妹が介護していた。姉が葬式のためにシカゴを訪れる。父親の元教え子が、遺されたノートを整理するために家にこもる。介護していた妹にも数学の才能はあって、しかし介護のために学業は断念していて。葬式の翌朝、妹の渡した鍵は引き出しの一番下で、そこにはノートが一冊遺されていて。

数学でいう「証明」をタイトルに。数学者の話しではあるし、単語のそこかしこに数学をちりばめているけれど、物語はびっくりするぐらいに人間の物語。やりかたは全く血がうけれど、故障して復帰できなかったり、衰えを自覚していたり、見守っていたり、ある種のアスリートに近い感覚で物語を進めます。

中盤、妹が男に語る、数学者ソフィ・ジェルマン(wikipedia)の女性ゆえに研究が進められないというあの時代のある種の「かせ」は、年月を経た今、必ずしも女性だからじゃないけれど、介護や病は今の時代の「かせ」をみせるように感じられます。

妹を演じたコロという役者はホームの劇団では決して見せないのだけれど、脆さと一夜の想いからくる色気の真っ直ぐにやられるアタシ。もちろん、役者としての確かなちから。姉を演じたこいけけいこは、こういう強いGirrishな感じ、理屈よりも想いが優先する感じの役をやらせると実にはまる感じて安心して、きちんと。

役者は総じてきちんと丁寧に。アタシがみられなかった時間堂版に比べると具象の分だけみやすいようです。

初めて朝を迎えた男と女の会話の安心に包まれた会話が好きです。帰りたくない感じ、帰したくない感じ、緊張が解けて笑いを生める会話ができ余裕も好きです。 あるいは、父親の「研究」を読む娘のシーンの絶望感。 姉が妹を守るシーンも気持ちに残ります。

全体としては自然な会話にはなっていますが、序盤の台詞の翻訳臭がアタシの気持ちにひっかかります。もっともそれは、翻訳者の特色という気もしますから、意識してなされていることなのかもしれませんが。

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速報→「あれから」KERA MAP

2008.12.28 14:00

新しい出会いを、と云っていたKERA MAPだけど、ずいぶんと有名どころ、手堅い座組で、カーテンコールによればケラ初のハッピーエンド。休憩15分込み180分。世田谷パブリックシアター。

高校生の時以来、30年ぶりに再会した二人の女。一人はカメラマンの妻。もう一人は絵本の翻訳を始めて夫は大人の玩具メーカーの社長だったり。高校の時に二人があこがれていたかっこいい先生は事故で亡くなっていたが、そっくりな若者が、翻訳の事務所の隣にあるカウンセラーの助手で。そんなとき、カメラマンの妻はカウンセリングに通い始め。

かっこいい先生にあこがれる、という高校生の時の親友だったはずの女たち。物語が進んで行くにつれて、それは無邪気なあこがれだけではなく、駆け引きめいたものがあって云わないことがあったり。それでも二人はそれぞれの夫と歩んでいく人生、という感じのラストシーンはほろ苦さがちょっぴり。映画のようにきれいにできすぎている感はあって、多少物足りない感じがしたりもしますが、3時間という時間を飽きずにみさせる、しっかりとしっとりと。

年齢がそれなりに進めば、積み重なる人生もあって、感じる痛みの蓄積もあって。でも、それをことさらに云わないのも大人なのであって。あちこちに仕掛けた「いえないこと」を終盤で一気に吐き出させるのは巧い感じがします。 更に過去を表す「それから」と、未来を表す「これから」というあたり、あのころの私たちには「これから」しかなかった、なんていうト書きのスライドも洒落ています。

愛することを理解することだ、少なくとも理解しようとすることだというあたりの枠組みは素敵な感じで。アタシはそれを実感として感じるべき年代に来てるはずなのだけど、頭で理解できるだけの感じは、年末の寒風堪えます。

もっとも、 子供を4歳で亡くした日のケーキ屋が今のカメラマンだったり、そこかしこが相当無茶な関係だったり、というのも、ここまで行けば箱庭のような感じもしてちょっと楽しい。

赤堀雅秋演じる叔父さんと、植木夏十演じる娘は実は親子なのだけど、というちょっと複雑さとは別にこの二人の造型は腑に落ちる感じがします。文字通り、ガサツで下品な叔父との距離間、その想いの深さのようなものが感じられる病院のシーンが実は一番好きです。

愛人が別れを決め、妻と話すシーン。「アタシ、歯を磨いてあげるんです」という趣旨のせりふがあるのですが、あたしの友人によれば川上弘美の近刊「風花」収録の短編(87ページぐらい)にほぼ同様の数行のせりふがあって、立ち読みしてみればシチュエーションこそ違えど、ほぼ同じシーンといっていい。これ引用の記述のある映画が元ネタなのかなぁ。どうなんだろう。

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2008.12.26

年末だ年末だ。

いつものとおり、クリスマスなんてものにこれっぽちも巻き込まれないまま年末がやってきます。あ、毎年何かは観てますが。まあ、それもまたよし。

そしていつものとおり、年賀状はなんとかなってても掃除の類はからきし。がんばらないとなーと思いながら、人が来ないとそういう癖も付かないから、ふりだしにもどる。

今年最後の週末。

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2008.12.25

【落語】「三之助をみたかい? vol.6」

2008.12.24 19:30

柳家三之助が続ける一人会。日暮里サニーホール・コンサートサロン。仲入りを挟んでの二本。終演21:45。( 1, 2, 3, 4)

与太郎が叔父に言われて道具屋の露天商に挑戦して、あれこれ売ろうとしたり売れなかったりする「道具屋」(wikipedia)。
旅籠の大掃除で家宝の御神酒徳利を通い番頭が大切に水瓶に沈めて隠しておいたのを忘れて大騒ぎになり、言い出せずにいると、番頭の妻の入れ知恵でそろばん占いで徳利の行方を占い見つけたことにすると、その評判を聞きつけて大阪の大家の娘の病気を占って貰いたいと云われ、大阪に行くことになる。「御神酒徳利」(wikipedia)。

12月はこの日しか空いてなかったのだという「特異日」だと云いながら開演。どうしても退出時間ぎりぎりになる毎回に反省して、その特異日だから早く帰れるようにいつも三本のところを二本にするとか。といいながら、客の中の五人を抽選で選び、一人一人一言を添えた色紙を、というプレゼントっぽい趣向。これが思いの外時間を食ってしまったため結局いつもの時間まで。この緩い時間の感じはそれはそれで嬉しいけれど、色紙を書いてる時間は当然喋りは薄くなるわけで、そこに「特異日」的な過剰な期待をしちゃって乗り込んだアタシには少々肩すかし感。あえてこの日に来てるからこそ、がっつり聴きたい感じも。

道具屋は小咄の集積、というような体裁なので、イキオイが欲しいところ。ちょっと色紙に気力が取られちゃった感じも。御神酒徳利はアタシは初めて聴いた噺だけど、物語自体が独立して面白い感じで良くできてて、巻き込まれ型の亭主、なんてのをやらせると巧い三之助によくあっている感じ。

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2008.12.24

速報→「日本語がなくなる日」北京蝶々

2008.12.23 19:30

北京蝶々の新作。時代をみる目の確かさは初めての下北沢でも、ちゃんと健在。初日は満員、29日までOFF OFFシアター。100分。前半に設定されているトークショーは20分ほど。[CoRich ticket]

基地。越冬隊の交代の時期、白夜。しらせが到着し、船に乗っていない後発隊が後からくる。日本語が通じない何人かが持ち込んだものは。

作家が様々に観たり読んだりしたことを集約して物語に。いろんなものが滅びるように緻密に組み立てて行きます。序盤の新聞の下り、政治家の家族へのずるさ、君が代、日本人のアイデンティティの様々の断片。

根幹になるのは、ウイルスのない南極の基地の話。そこにもちこまれたもの、助かる方法、人間たちの。そこに通じない言葉、なければ身振りしか使えないという無力感。通じない言葉ばかりがあふれる場の伝達の方法をきちんと。

それに加えて、中年にさしかかる男、あるいは女の関係をスパイスに。そこには思春期のような、というセリフもあったりするような、ふれあうことの暖かさ、触れ合えないことの寂しさをを丁寧に描きます。 人々が通じあうこと、通じあえない理由。たしかにクリスマスという時期は人との会話や寂しさを自覚する時期というのは確かです(泣)。

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速報→「君の心臓の鼓動が聞こえる場所」キャラメルボックス

2008.12.23 14:00

キャラメルボックスの成井豊17年ぶりの小説を舞台化。黒川智花を客演に。札幌神戸、名古屋を経てサンシャイン劇場で25日まで、120分。

テレビのシナリオを書いたりしてそこそこに食べられるようになった作家。かつての教え子と二人で作った事務所で仕事をしている。ある日、夜遅く帰宅した男の家に若い女が訪ねてくる。14年前に離婚して以来一度も会っていない娘と名乗り、自分が初めて書いた小説を読んでほしい、出版したいのだという。

会いに来た娘と父親を巡る少々謎めいたファンタジーを軸に。男の仕事であるドラマ執筆の現場を散りばめながらの構成。せっかく会いに来た娘に時間を割いてやらないという男を描き出すために使われている感のあるドラマ周りの話しは、今の同居家族たちの場面と併せてコミカルなつくり。

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2008.12.22

速報→「雨と猫といくつかの嘘」青☆組

2008.12.21 19:30

青年団演出部の吉田小夏の新作。シンプルな舞台に、演劇的な企みも沢山ある75分はわくわくします。23日までアトリエ春風舎。22日夜の当日券が厚いようです。

アパートに一人で暮らす初老の男。誕生日に訪ねてきた娘や婚約者。話し始める不思議な話。かつて男が経験した風景が重なりあってくる。

チラシにもありますが、「100万回行きたねこ」(wikipedia)をモチーフに。 一人で暮らす初老の男と訪ねてくる娘、その初老の男の6歳ぐらいのころの風景、同じ男に幸せな家族があったころの風景。役者も入れ替わったりして、このままの形では映像にはできない、という演劇的な企みが満載で、わくわくする感じで見られるのが全編を通じて保たれます。

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速報→「サンタクロース会議」青年団

2008.12.21 14:00

青年団の新しい試み。子供を参加させる45分。23日までアゴラ劇場。

サンタクロースとクリスマスにまつわるさまざまを話し合う会議。専門家の博士やお母さん、お父さん、おじさん、先生たちが話し合う。

席前方をマットのフラット席にして子供、その後ろのいす席は前半を保護者たち、最後方の2列のみが大人だけの観客の席という配置。携帯電話などの注意に加えて喋らないこと、トイレのことなどを強調して開演。

青年団がいくつも上演している「会議」のフォーマットを使って、プレゼントに何をもらうか、サンタクロースは居るか、どうやってサンタクロースに会うか、煙突のない家はどうしたらいいかについての議題を細切れに会議にしていきます。が、会議は結論が出たんだか出ててないんだかわからない感じで進みます。

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2008.12.21

速報→「『鱈。』の(は)」Hula-Hooper

2008.12.20 20:00

ライブのできるダイニングでのシリーズ。大映ドラマ風味の仕上がり、しっかりと音楽。土曜夜は後に別のライブがある、とのことでゲストライブを間に挟んでそれでも150分。21日まで7th floor。

。 少年院帰りの少女が戻ってきた町。父親の残したドラムスティックでロックをやりたいと思うが、入れてくれるバンドなどない。自分でバンドを始めることにするが。

大映ドラマ(wikipedia)に着想というのは嘘偽りはありません。コピーではなくその風味だけを使って全く別の芝居に仕上げようとしていきます。ここしばらくの時代の文脈でいえば、大映ドラマというのは笑いやパロディの対象だというのが定番なのだけど、今作そうはいきません。序盤こそ笑いをいれているものの、リアルタイムに放送されていた時期はそういう笑いではなくて素直に感動してたはずで、そのリアルタイムな素直な見方の印象。それはわかりやすくはなく、茨の道だと思うのですが。

まじめにこういうドラマをライブに作った場合の見方に戸惑ってしまうのです。パロディではなくまっすぐに描こうと決めた場合、作家・演出・役者の力ということとは全く別にこの構造で泣かせるのは相当に厳しいというのはメディアの差から明白なのですが、それにも関わらず、きっちりと描き続ける度胸を買いたいと思うのです。

バルーンアートでさまざまを作るのは、可愛らしい感じもでていて、すてきな感じ。坊園初菜はしばらくぶりにみるとあまりにイメージが違う素敵な感じでびっくり。ザンヨウコが青年を演じても、そうみえないのは、まあしょうがないわけでキャラクタを楽しむのが吉。菊川朝子はドラムまできっちり、一人でバンドができるぐらいにさまざま。服部弘敏はついこの間まで舞台があったはずなのに、この安定。まあ、小林旭風なんですが。 短縮版なのかどうか、安田奈加のオリジナルが当パンフのものがすべてはないのがちょっと残念。ポータブルヘブン、とか好きだったんだけど、なぁ。

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速報→「リアリティ・ショウ」虚構の劇団

2008.12.20 14:00

鴻上尚史が若い役者たちと立ち上げた劇団の第二回公演。120分。20日まで紀ノ國屋ホール。

動員500が越えられない小さな劇団「祝祭の草原」。起死回生をねらって、ネット番組への出演を決める。隅々までテレビカメラとマイクが設置された一軒家に共同で住み、24時間のリアルタイム中継を4週間行い、4週間後に公演を打つ、という企画だった。世間で評判のタレントを一人加え、ロミオとジュリエットの稽古が始まり、中継も同時に始まった。

ロミオとジュリエットの物語を稽古中の劇中劇として組み込み、それを稽古している劇団員たちの想う気持ち、というよりありていにいえば恋愛模様を二重の構造にしていきます。 抗争している二つの家の間の二人の若者の禁じられた恋を描いたロミジュリに、原作ではせりふとしてしか登場しないロザラインをオリジナルの役として登場させ、ロミオとジュリエットの二人の間に補助線として見せ、「想いはあるけれど恋人にはなれない」と考え恋人にならない/なれない二人の姿が見事な感じなのです。

しかし現代の現実の三人の男女は、そんなに簡単ではありません。好きだという気持ちの一徹だけでは物語としては完結できません。カルト宗教、そこからの脱出の困難さを軸にした終盤の物語運びは、アタシには遠い昔のリアルを感じさせる一面があって、気持ちを揺らしてしまうのです。

更に、「世間の目」に見られていること、世間体に縛られる人の姿。監視カメラに晒されることを自覚していることが逆に自由に感じられてしまういう象徴的なシーンがアタシに腑に落ちる感じで、このあたりの「少し先の時代の気分(軽い言葉だ、我ながら)」を確実に吸い上げるのは鴻上芝居を観る醍醐味なのです。

正直なはなし、役者こそ若いものの、演技の形とか、ダンスが挟まる感じとか、古さを感じないことはないのですが、まだ伝統芸能というのには日が浅い小劇場演劇の一つ形ですから、これはそういうものだと想ってみるのが吉。

ずっと劇団の話ばかり、というのは確かに作家の特性なのだけど、芝居と恋愛と孤独であることだけを延々に見つめ掘り下げ、こねくりまわして物語を作り始めるこの作家がアタシはとても愛おしいのです。ネットワークとか、人と人のつながりにうだうだと考え続ける鴻上節はあたしの気持ちを揺らすのです。「監視カメラを監視する会」なんていう過去公演のネタが顔を出すのもちょっと楽しい。

ふらふらと買った当日券は後ろ2列目。訓練された若い役者とはいえ、奥行きのあるこの劇場でのこの場所は少々厳しい感じ。確かにパソコンの画面の向こう側でくりひろげられる他人事の世界という感じにはなりますが、ある種の没頭感がほしいところ。もちろん、優柔不断に前売りを買わなかったアタシが悪いわけですが。半透過のスクリーンを使って、舞台をスクリーンに見せる方法はおっと思わせるし確かに効果的なのだけど、セリフと役者だけでそういう「場」を立ち上げて欲しい感じもします。

渡辺芳博の安定は物語を運ぶ心となる感じで安心。大久保綾乃の想いの伝わる感じが好き。小沢道成は、コミカルの軸だけれども隅々まで押さえられている感じで、その場所を愛してやまない作家の視線を強く感じさせるのです。

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2008.12.19

年末にむかって。

世界金融危機、なんてことと無関係ではなくうっすらと世知辛くなってくる昨今。

せわしなくなってくる年末、みんなが休めるころまでもうちょっと。焦る余りにきついこと云わないようにしなきゃ、と自戒しつつ。

23日分までをまとめて。

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2008.12.15

速報→「プリンで乾杯」競泳水着

2008.12.14 19:00

競泳水着が今年続けてきた三部作( 1, 2) の最終編。すべての物語は独立していますから、これ一本でも楽しめます。120分。16日まで王子小劇場。前売りは完売しているようですが、当日も出るようです。

ルームシェアする男女四人、引っ越しの日に集まった友達たち。就職していた一人の配属は札幌で早々に出ていくことになる。家賃をシェアするためにもう一人を呼ぶことにするが、それはこの残り三人の一人の元カレだった。その近所、バーもあって。

アタシの観る限り、もっとも見やすく洗練された印象。たくさんの場所を用意して切り替えていく手法が得意な作家ですが、今作では固定した場所はたった二つ、もうひとつは屋外というだけの場所。その三カ所を人間を入れ替えることで「同じ場所を違う場として」作り上げるちから。

いろんなフックがあるのもおもしろいのです。アタシの前の列の主婦風の四人は物干しの話をする和歌子に笑い、頷くのです。客席全体ははバーのシーンに仕込まれた仕掛けというか役者の絶妙なテンションに笑い。もっとも、50シーンを超える細かな会話に過去の何かを見てしまうのは、アタシだけかもしれませんが。

アタシ的には男女七人とか101回目とかW浅野とかのトレンディドラマというのは結構すごい発明だというのを再発見。例えばヒロインの今の生活を支えるバイトは語られなかったりとシンボリックにアイコナイズをすることで、見ている人々が同じ恋愛体験を共有できるのだ、ということだったのだということがこの芝居を見て腑に落ちるのです。作家が最初からその特性を狙って始めた手法かはわかりませんが。

細かな設定や場面の雰囲気こそどこかのドラマで見た感じはありますが、せりふも大筋の設定も、物語の構造もオリジナルを感じさせます。雰囲気はあたしの知る限りでは、のだめ、的だったり。

バーのシーンはわりとコミカルパート。それでもその場所があることがクッションになるシーンがいくつもあって、場所の設定が絶妙なのです。その場を支えるのはマスターを演じた永山智啓、バイトを演じた辻沢綾香。ゆるやかなテンションで力の抜け具合も含めて気持ちいいのです。

確実にネタバレ

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速報→「ロゼット」Habaneraプロデュース

2008.12.14 14:00

女優のため、と銘打ったプロデュース企画。14日までシアターグリーンBASE THEATER。90分。

観葉植物の販売・レンタルを行う小さな会社のオフィス。代表の女と、高校生からの親友でパート勤務している女。ポインセチアや観葉植物のリサイクル事業など、互いの意見は今一つあわず、業績も厳しい状況。ある日、二人の同級生の男に偶然出会い、オフィスを訪れる。従業員の元職人、その妹にもそれぞれに悩み、いえないことはあって。

小さな会社のごく小さなコミュニティ、出入りする人々もほぼ固定、口論はするけれど、お互いを完全なまでに思いやり、でも自分のしたいこともあって。まるでモチベーションやコミュニケーションに関する教科書のように場があり、言葉が相手に作用し、自分に戻ってくるという小さな場面の積み重ね。破綻も無理もなく、やさしい人ばかりが出演するこの芝居の世界はとても愛おしく、雨上がりの午後のアタシの気分をやさしく包み込みます。

女性のため、と謳うプロデュース公演。しかし、若い女性の恋愛と家族との関係、仕事と自分の生き方、突然の病気、夫との冷えきった関係、子供を巡る夫の実家との駆け引き、主婦と社会とのかかわり、本人は気づかないけれども恋されていることなど、ある年齢層の女性たちを取り巻くキーワードをすべて放り込んでいる感じ。それをほぼ一本の物語にまとめて破綻なく90分に作り上げています。

反面、あまりに広げすぎたがために全体をさらりとなでている感じはあって、綺麗すぎる感じではあります。一人の人物や物語に深く入り込んでみられるか、といわれるとダイナミズムとか意外さとか、あるいはあたしの気持ちを激しく揺るがすかといえば、その点では物足りない感じもするのです。

とはいえ、たった5人、90分でこの世界を作り出すというのは大したものだというのは間違いなくて、役者も物語も、次にまた観てみようという気にさせるのです。

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2008.12.14

速報→「キミは癌」ろりえ

2008.12.13 19:00

二回目公演、ろりえの新作。アタシは初見(イベントでは見てますが)15日まで、早稲田大学新学生会館B203。120分。

一つの部屋、ルールを決めてあって、訪れる女たち。曜日を決めてあって、ゴミはもって帰るとか。毎日のバカ騒ぎ、でも、その平和は続かない。

ネタバレかも。

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速報→「もっと見る」殿様ランチ

2008.12.13 14:00

殿様ランチの新作。14日までサンモールスタジオ、95分。

検査入院した作家。精密検査で余命が宣告される。残りの時間を過ごす娘、編集者、友人たち。

豪快な感じのキャラクタで、大衆向けのエンタテイメント小説を書いてきた男。余命が宣告されて、日々訪れる編集者や弟子、娘たち。すくなくとも表面的には死をおだやかに受け入れているのだけど、無縁だった賞を弟子が取って穏やかでなかったり、テレビの密着取材のカメラの前での態度の差など、若くして余命わずかな作家の姿を実に丁寧に描いていくのです。

自分が消えたあとの世界、自分の後継となる弟子の存在などに対してのある種の諦観。この劇団の若い作家なのに枯れている感じで味を持ちます。もっとも、静かなまま進む話は、ある人物を巡る空気はつくっているのだけど、物語を語るという感じは薄い仕上がりに感じさせます。それでも最後までこんな静かな芝居を見続けさせる何かがあるのだろうなぁと思うのです。

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2008.12.13

速報→「軋み」ブラジル

2008.12.12 19:30

予約していたのより前に時間が空いて予定変更。ブラジルの新作、芸達者なドリームチームの座組、しっかり見せる物語は隙がありません。14日までTHEATER/TOPS。120分。

漫画家の妻、別居状態の夫が頼まれた買い物を持って行くと、妻、編集ともう一人、アシスタントの女が死んでいる。編集は漫画家を守るために夫に自首をすすめる。

一回だけ時間が戻りますが、そうわかりにくいわけではありません。全体としてほぼ時間通りの流れ、笑いも多くて実に見やすいのです。ブラジルの特徴である、あたまオカシイ人、というのは余り登場しませんし、ましてやその前の特徴だった白濁液もありません。スタンダードとでも云えるような仕上がりで映像でも作れそうに思えます。

ひとそれぞれ、何年も生きていれば個々人の拘りどころは様々だ、というのはアタシが最近受けた研修のテーマでした。それを思い起こさせるようなところがあります。愛情なのか、連載という仕事なのか、嫉妬なのか、作品への圧倒的な憧れなのか、登場人物たちはそれぞれに異なる拘りどころがあります。それはみんながみんなばらばらで、交わらないことから、ズレが生まれていきます。

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2008.12.12

研修。

何年かぶりの、会社の研修。いままでは年齢に応じたライフプランのような研修ばかりだったのだけど、久し振りに職能に応じた研修。当然エンジニアじゃなくなったあたしに技術研修ということはなくて、人間相手にどうするか、というワークショップのような研修。

芝居のワークショップの類にはもちろん参加したことなどないアタシです。この手の研修、やればけっこう楽しいし、身になる感じがするのだけど、参加前はついつい億劫で。他人がどうやって考えて行動しているのか、ということを体験を通して見つめていくというのは新鮮な体験で、なんか身になる感じ。でも、まあ、すぐに使える何か、というわけには当然いかないわけですが。景気厳しい昨今、選択する研修申し込みたい、というのも、まあなかなか骨の折れることで。

年末モード濃くなりつつ。週末。

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2008.12.10

速報→「飴をあげる」こゆび侍

2008.12.9 19:30

俳優陣の客演で注目を集める、こゆび侍の新作は短編3編+超短編1つの120分構成。14日までルデコ4。座面がすべてフラットな6,7列の客席、低姿勢の芝居もけっこうあるので、迷わず先方、できれば奥の側面壁際ではない席を。

最初の人類たちの中の一人が動かなくなる、動かなくなった男を背負って女が氷の国にやってくる「亡骸をめぐる冒険」(25分)。
オフィスで並ぶ男女、お菓子のやり取りの一瞬の「幕間」(5分)。
きらきらと輝く飴と同じぐらい、酔っぱらった人間に光る涙もキラキラしてて、キラキラしているものはカラスは大好きで「飴をあげる」(30分)
絶対に外に出ないと革命をなしとげた蝉たちの生活「うつせみ」(60分)

全体に詩的な印象。作家の考えた頭の中の空想だか妄想だかの人間じゃない(最初の人類、ってのもありますが)さまざまの語る物語。かといってファンタジーではなく、もっと静かに見つめる感じでもあって、体感時間は少々長めで見えづらさがそれに拍車をかけます。

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2008.12.08

速報→「フルチョア」げんこつ団

2008.12.7 19:00

女性ばかりで少しばかり毒のあるコントを続けるげんこつ団の新作。120分。7日まで駅前劇場。

とりたてて風刺がきついわけではないのだけど、バランスがいい印象。ブックオフ店内のあの連呼は何なのだろうとか、ビッグイシューが見えてしまうとホームレスに近づくとか、セスポとか、ハイテク化した漁業の2chっぽさと化、時代の感じをよく表していて、いいまとまりの感じ。うまいなぁ。 キャスト、長老の跡を継いだ男を演じた望月文がカッコイイ。ジャンプキャラの父親役も高いテンションがちょっと凄い。背丈のある津波恵も不思議な雰囲気で目にとまります。

ネタバレというか、ネタ。

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速報→「SOLITUDE」SPIRAL MOON

2008.12.7 14:00

作家によって、公演によって色を変えるスパイラルムーンの新作。寡作なのだという乾緑郎の手によるハードボイルドというよりはミステリー仕立ての90分。公演は7日まで。

コンセントに繋がったドライヤーをバスタブに放り込み夫を殺した女。殺人を認め罪を償い出所してきた。罪を犯したときにお腹に居た子供を姉に預けていたが、再会を果たせない。殺人の理由もつかめないままだったが....

DVらしいことは示されても、口をつぐんだまま、殺人に至った理由を探すように進む物語。並行して娘に見えてしまうある風景が謎めいて語られます。

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2008.12.07

速報→「レモンスター」散歩道楽

2008.12.6 19:30

散歩道楽、一年ぶりの新作。外部演出を経ての客演陣の厚さか、立ち見まででる満員の土曜夜。7日までシアタートラム。115分。

ある村。美しい娘と駆け落ちをした悲しい物語を持つ伝説がある。ある日、見慣れない男が村に現れ、奉納されているお守りを盗んだとして巫女にとらえられる。村の外から来た別の女はその男を預かることにする。

いわゆる芸能人をはじめ、小劇場領域からも多くの客演を主要な役にあてる勝負の公演。とはいえ、その芸能人たちに媚びることはなく、あくまで劇団の公演という形を貫きます。10年目なのだという彼らの想いの深さは、有料の公演パンフレットにもにじむのです。

外から来た見慣れない男、その男にどこか惹かれる女、村の伝説、あるいは村に居つづける女の影の部分、そこに関係する男。さまざまな伏線を張るのに少々手間取る感じは否めない前半。すべてを明確につなぐわけではないのだけど、張った伏線をきちんと回収するのは作家の強みで、アタシの信頼するところなのです。無駄だとおもえるほどさまざまな会話の断片をおいていきます。人数を出すためかどうか、少々傍線を増やしすぎている感じはありますが、大きな問題ではありません。

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速報→「Post-」女道xxx・サラダボール

2008.12.6 15:00

サラダボールと、女道xxx(未見)の共同形式での公演。チェーホフの「かもめ」からの短い断片を間に挟みながらオリジナルオムニバス5編。7日までアトリエ春風舎。

ライバルの女との戦いに勝つラストチャンスをモノにする秘密を手に入れた女が友人と話している。めくったカードを当てられるその秘密は「オープニング 女道xxx」。
深酒で昨晩のことをなにも覚えていない人々。一人姿が見えず、探しに行くと死んでいて「カワタ」。
カラオケボックスの男三人、財布を忘れていて支払いに窮している。隣の部屋の黒人たちに借りるか、あるいは近くの知り合いに電話して持ってきてもらうか「カラオケ」。
床に寝そべって枝を描いている人々。作業が間に合わず泊まり込みで締め切りに間に合わせようとしているようだが、その間にバカ話とか、噂話とか「ループ」。

ギャラリーらしい場所、久しぶりに再会した男女。今でも撮ってるんだと聞く女に、バイトで生計立てていると答える男のバイトとは「ペットボトル」。

独立した短編の間に「かもめ」のテキストをひいたごく短いシーンを挟みながら。市松模様に仕立てられた床の上をチェスの駒のように動きながら出捌けしながら、あるいはいすなどを出し入れしながら。

時間や記憶や関係や言葉が自在にいじられさまざまに変化していく感じ。物語そのものというよりは、その構造というか構成を楽しむ感じは、短編ということもあって、気楽に楽しめます。

「オープニング」は以前の公演で似たモチーフのものを観た気がしますが、携帯をからませてコンパクトに上演できるスタイルで、洒落ています。

「カワタ」は記憶の曖昧さ、ほんとにカワタなんて人が居るのかな、どうなのかなと脳内がぼんやりしてくる感じが楽しい。

「カラオケ」はこの短い時間の中で張りまくった伏線がするするとつながる感じで、ものすごい事件なのにあっさりその嵐が過ぎ去ってしまう感じは爽快ですらあって。

「ループ」はほかのひとすべてが時間の無限ループなのに、ひとりだけその繰り返しを自覚している視点。単なる繰り返しではなくて、恋だの告白だのが微妙に変化していくのは面白い。

「ペットボトル」はものがたりそのものよりは、テキストに特徴。台詞の単語の文字が欠落していくテキストは徐々にその度を増して、最後の方ではなにを喋っているかはほとんどわかりません。それでも男女のシンプルな会話だろいうということはわかるわけで、その欠落感にワクワクします。

間に挟まる「かもめ」はほとんどがオーソドックスな台詞で演じられますが、最後の「私は女優」だけが、さまざまな演出で繰り返されます。これもある種の実験っぽい感じ。

全体としては好きな芝居なのだけど、後半のいくつかで「テキストを信用していない」感じがあって、それが作家の今の気持ちだとすると、それはそれでちょっと寂しい感じも。小気味いいテキストが彼らの持ち味だと思うのです。「女道」は初見。第三エロチカ出身というのもうなづける安定感。

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2008.12.06

散歩。

本格的に寒くなる前に、何か急かされるように続けて散歩を。

学生の頃バイトしたりしてた、久し振りに訪れた町、川沿いを歩いて、カフェっぽいところでごはん食べたり。あるいは行こうと思ってた映画がそろそろ終わりだと思って市内だけど行ったことない街、こっちも学生の頃ずいぶん通ったけどあれは何年前だ、こんな凄い街にとか。

物心ついた、どころか大人になってからもずいぶん時間経ってしまったのだなぁと思いつつ。久し振りに行く場所は楽しい。

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2008.12.05

【ライブ】「AQUA NOMEの夢」EPO

2008.12.4 19:30

EPOが数年来続けているアコースティックというか声や言葉を楽器のように操るユニット。9月のポップ仕立てのは観られなかったけど、これは何とか。

最初からすこしローテンションな感じではあったのです。涙声という感じの歌ということは今まであっても、涙が止まらない感じは珍しい。「今日はこんな日なんです」といっても、何か思い通りにならない感じのもどかしさが溢れて。全体にしっとりしてるナンバーが多いこともあるのだけれど。それでも終幕近くやアンコールを中心にポップな曲も。

AQUA NOMEとしてのアルバムはやっと来年初めてなので、曲名がわからないけれど、聞き慣れたものが沢山。アルバム未収録のものは表記不明です。

2008.12.5追記 アーティスト自身のセットリスト掲載されましたので反映。。..タイトルけっこう違う..

  • 聖き彼の人
  • ベルラーシの泉
  • AQUA NOME
  • 本当はね*
  • 12月のエイプリルフール
  • Super Natural
  • マグノリアの香り*
  • (休憩)
  • M
  • いけないことかな*
  • それでも私は生まれてみたい
  • どうしてかしら?
  • NONANE
  • (ゲストとの、歌い語り-曲名不明)
  • こどもの国*
  • たったひとつの
  • もう僕らはどこにも行かない*
  • 君と僕
  • 老後の歌

正直に言えば、9月のを観たかったなぁとも思うものの、わりと早い段階からAQUA NOMEも聴いてると、アルバムが出るのも楽しみ、と素直に思うのです。

STB139は雰囲気の実にいいスペース。料理も満腹指向にはしってもちゃんと満足。反面、スチル撮影がライブでも必要という事情は理解できますが、サイレンサーすらなく10m離れてもシャッター音。それだけじゃなくて、液晶画面を確認しながら客席を動き回って撮影するのは、ホントはどうなのかなぁとも思うのです。

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2008.12.01

速報→「アイツなら哀しくないわ」バナナ学園純情乙女組

2008.11.30 19:00

中学生の女子たちの話を描き続ける(中屋敷台本)桜美林大学の劇団、バナナ学園純情乙女組(長い。どう略そうか、「バナナ組」?)の新作公演。2日まで、かもめ座。90分。

修学旅行の説明会をする教室。集まってきたのは一癖もふた癖もある奴ら。その学校の修学旅行はテロ地域に行ったりして、いままでほぼ一人も生還していない。なのでほとんど参加者は居ないが、それでも行こうと思う生徒は居て。学内は騒がしく、生徒の代表たる生徒委員と、学校側の傀儡の風紀委員の対立は厳しさを増していて。

血で血を洗うような抗争の現場。信頼されない教師、信頼されている教師とか、恋人の会話とか、いたずらとか、騒がしい教室のばらばらな感じとか。最近のリアルな感じ。基本的には学園の中学生たちの話というのが基本なのは旗揚げから一貫しているけれど同じ学園の話ではなくて。(あんないろんな軸の抗争だらけの学園なんかあるわきゃない)

公演を重ねるたびに物語の強度は増し、軸が見えるようになっています。それなのに、唐突だったり危なすぎる動き(あんな倒れ方して客席最前列の少しの段差に頭が収まる倒れ方は怖すぎる)など、収まりきらずに弾けるような瞬間も沢山。

多くのセリフを無機質に重ねていくことで人物を成形していく「柿」での中屋敷台本に対して、今作はもっと人物の形が最初からある感じ。怒鳴るようなつか芝居だったり、静かな演劇的だったりとごちゃまぜな感じも楽しい。

中学生の頃に一番重要だったのは何だろうと思うのです。ほとんど女性役(男の役者は全員スカートかホットパンツだ)のこの学園の中ではオンナノコたちにとっては恋心だったり、心配する気持ちだったり、色気づくことだったり。社会というものが形成される途上の時期だから、対立したり一番大事な関係は何だろうとか、友人を最優先にしたりというさまざま。それは成長の差が激しいこの時期ゆえの多彩さ。

終幕ちかく、修学旅行に行きたいと思い続ける一人。外から見ると、明らかに話を聞いて居ないということなのだけど、その想いの強さが沁みるのです。

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