速報→「proof」コロブチカ
2008.12.28 19:00
柿喰う客の女優・コロの立ち上げたユニット。何度か上演されている翻訳劇のようですが、アタシは初見です。29日まで王子小劇場、休憩 10分を挟み150分。
天才的数学者の父親が亡くなった。ここ数年はずっと精神を病んでいて、姉妹の妹が介護していた。姉が葬式のためにシカゴを訪れる。父親の元教え子が、遺されたノートを整理するために家にこもる。介護していた妹にも数学の才能はあって、しかし介護のために学業は断念していて。葬式の翌朝、妹の渡した鍵は引き出しの一番下で、そこにはノートが一冊遺されていて。
数学でいう「証明」をタイトルに。数学者の話しではあるし、単語のそこかしこに数学をちりばめているけれど、物語はびっくりするぐらいに人間の物語。やりかたは全く血がうけれど、故障して復帰できなかったり、衰えを自覚していたり、見守っていたり、ある種のアスリートに近い感覚で物語を進めます。
中盤、妹が男に語る、数学者ソフィ・ジェルマン(wikipedia)の女性ゆえに研究が進められないというあの時代のある種の「かせ」は、年月を経た今、必ずしも女性だからじゃないけれど、介護や病は今の時代の「かせ」をみせるように感じられます。
妹を演じたコロという役者はホームの劇団では決して見せないのだけれど、脆さと一夜の想いからくる色気の真っ直ぐにやられるアタシ。もちろん、役者としての確かなちから。姉を演じたこいけけいこは、こういう強いGirrishな感じ、理屈よりも想いが優先する感じの役をやらせると実にはまる感じて安心して、きちんと。
役者は総じてきちんと丁寧に。アタシがみられなかった時間堂版に比べると具象の分だけみやすいようです。
初めて朝を迎えた男と女の会話の安心に包まれた会話が好きです。帰りたくない感じ、帰したくない感じ、緊張が解けて笑いを生める会話ができ余裕も好きです。 あるいは、父親の「研究」を読む娘のシーンの絶望感。 姉が妹を守るシーンも気持ちに残ります。
全体としては自然な会話にはなっていますが、序盤の台詞の翻訳臭がアタシの気持ちにひっかかります。もっともそれは、翻訳者の特色という気もしますから、意識してなされていることなのかもしれませんが。
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