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2008.11.09

速報→「テキサス芝刈り機」クロムモリブデン

200811081530

青山円形劇場のフェスティバルの二つ目。110分。9日まで。

電車で痴漢に間違われた男たちと、言い張る女たちがさらわれるようにきた場所は、木を伐採し芝生となった場所で、痴漢冤罪やら予備軍やらが芝刈りをしている。そこに電車脱線事故唯一の生き残りとそれを取材する記者もやってきて

当日パンフで書かれているようにゴルフはイメージとしては多用されているのだけど、物語は列車脱線事故の話を枠組みにして、そこにいる人々を痴漢だの痴漢されただのという構成にしています。脈略なく次々と出てくるキャラクタが話を拡散ばかりさせていく感じなのはいつものとおり。

青山円形という劇場はそれほど広い劇場ではありませんが、不条理な物語そのものではなく膨大な音と動きで空間を制圧することが身の上の彼らの初戦としては少々手間取っている印象はあります。ふつうの芝居としてみればちゃんと空間を埋めているのだけど、物語に頼り切ることができない彼らの芝居は、もう一段上のハードルになるのです。

痴漢だのなんだのと脱線事故は電車にまつわる話だということ以上には無茶な繋がり。観客を引っ張るためには相当に大変なわけで。役者陣は新たに加わった幸田尚子(歌声がいい、男装の麗人。)も含め安定しています。でも、空間のせいかどうか、劇場を制圧しているというところまではいけてない感じがするのも事実で。

電車の脱線転覆、その中でしばらく生きていたらしい人々の話なのだけど、そこに何かの救いがあるかというと今一つ見えてきません。当日パンフのように、神戸で脱線転覆でとなるとどうしても現実の事故へのリンクをしてしまうわけで、決して悪意はない作家なのはわかってるのだけど、この手の軽い感じの仕上げにして作るには現実が重すぎるなとも思うのです。当日パンフで作家が危惧していた「フザケている」という印象になってしまうのです。もちろん今までの彼らの芝居からそういう気持ちで作るような人々でないことはわかっていますが。「ボーリング・フォー・コロンバイン」に題材を求めた「ボウリング犬エクレアアイスコーヒー」ではそうは感じなかったわけで、それはつまり身近に感じる話なのかどうか、ということだけなのかもしれません。

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