速報→「天神開拓史」ギンギラ太陽's
2008.10.9 19:30
福岡の「地産地消」劇団、ギンギラ。思えば今年三回目の来福。110分。開演前の撮影タイムもいつものとおり、カーテンコールの言葉も楽しい。1ヶ月1万人公演で11月3日まで、西鉄ホール。
栄華を極める西鉄。天神の商業施設を集めるソラリア・デビル。が、「西鉄さん」が彼を過去の天神にタイムスリップさせる。当時は田んぼの中にある駅の赤字路線だった。当時はやり始めた百貨店、玉屋や松屋。岩田屋と手を組んだりしながら。
東京(=地方公演)に持ってくるYS-11や新幹線の話は日本国内ならば通用する話なのだけど、福岡の流通まわりの話はさすがに部外者には歯ごたえ。それでも3回訪れ、街を歩き、建物をみて、天神前のバスの群れを見て、壁のようなソラリア、今の岩田屋の二つの建物、大丸、エルガーラなんてものを眺めて歩くのは楽しい体験なのです。
戦前の弱小民鉄のターミナル、そこから百貨店やバスであの手この手を使いながら「賑わい」を作り出す過程。が、時代の流れで鉄、食料、衣類と逼迫していく日々の中。競い合う百貨店が助け合ったり。終幕の焼け残った二つの建物の写真は圧倒的に力があるのは、事実だからなのだけど、かぶり物の作り物はそう簡単にこの事実には勝てない感じがしてしまうのはもったいない感じ。100周年を意識してか、西鉄をことさらに持ち上げてしまう感じに見えるのも、そりゃそうだろうけれど。開拓史というタイトルですから開拓していく日々を描くということなのでしょう。ならばあたしの好みはたぶん「流通戦争」だ。
平日夜の公演、さすがに満席とはいきません。水曜や木曜という中途半端な日だからかもしれませんが。あたしの観た回はそんな感じでしたが、観客の盛り上がりは一段と。なんせかぶり物作ってきてかぶってる客。すごいなと思うのは大塚ムネトがそれをコントロールして、芝居が始まる前には脱がせるようにしているのはたいしたものなのです。
カーテンコール、地産地消を持ち出しながら地元の、ということの強調。一歩間違えばえらく鼻につく感じになりかねないのですが、その笑顔の奥にあるだろうまっすぐな気持ちにやがてあたしは巻き込まれるのです。
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コメント
初のギンギラ、堪能してきました。
福岡県民ではなく、福岡市民にしか通用しないような、まさにローカルなネタ。
私にとっては、社会科の歴史的な物語。
岩田屋が中心になるのは、やっぱり福岡市民のノスタルジーです。
旧岩田屋本館の前で、私も『お前はパルコになるのかなぁ』とつぶやきましたよ。
なんか、ビル達に愛着が湧いてきました。
一人で作、演出、出演、ってシステムには、ちょっと不安を感じるのですが、大塚ムネト氏の笑みを見ると、なんだかもういいやって気持ちになります。
投稿: Buchi | 2008.10.13 17:39