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2008.10.06

速報→「三億円事件」パラドックス定数

2008.10.5 18:00

パラドックス定数初期2002年作品の再演。アタシは作品初見。5日までOFF OFFシアターでの公演は終了。110分ほど。

三億円事件から六年半が過ぎ、時効までの三ヶ月。府中署の捜査本部。二百人近く居た本部は八人に減らされる。所轄、警視庁、公安。縄張りと隠し事と、策略とそれぞれの視点と。

ある年代以上ならば、リアルタイムで事件やあるいは時効前後のあれこれを体感していて楽しめる感じ。それぞれの人々にはそれぞれの視点からその事件に繋がる思い出があったり。映画・小説・テレビドラマとさまざまに描かれることの多い戦後の大事件の一つ。その犯人について描くのが王道なのだけど作家は捜査のしかも一室を舞台に描きます。史実に基づく大枠を持ちながらも、作家の妄想というか想像を大幅に足し、その場所にいる人間の思いや想いを強固に描き出します。もちろん犯人は捕まりませんから、それをどう収拾するかも作家のセンスの良さ。

おそらくは週刊誌ネタであろう、奪われた銀行と四つの企業と総会屋。筆跡と支店長の繋がりみたいなネタは様々。

先輩と後輩、教育する側とされる側。表立っては云えない役割、公正ばかりではない捜査の現場。人の繋がり、想いがストイックに。序盤で本庁と所轄の会議、いがみ合っていた二者がかみ合う瞬間になぜかアタシは大泣きするのです。物語は終盤に向けてそういう綺麗な物語ではないところに入り込んでいってそれはそれで見応えするのですが。あるいは終盤、時効まで三週間に迫った捜査本部の焦りの緊迫。こういう現場ならば証拠をねつ造してでも逮捕に結びつけようとする人の気持ちもしっかり。もちろん史実にはありませんから、ねつ造されたりはしないわけですが。

「踊る大捜査線」で主軸に描かれる本庁と所轄の確執。もちろん昔から事実としてあったのでしょうが、ドラマの5年もまえにコレを初演。単にその二項対立ではなく、警察の中のもう一つの立場、公安を入れての文字通り三つどもえ。もちろんドラマは好きだけれども、それよりも数段上手な物語。

スーツにメガネ男子というのはここの劇団のウリだけれども、ぐぐって見付かる捜査本部の昔の写真もスーツにメガネ(男子じゃなくてオジサンたち)というのは、時代の感じに良くあってるのだと思います。他にもググってみれば地図も出てくるし、写真も、映像もさまざまが手元に。それで妄想逞しくしてしばらく楽しめる感じも、ここの良さ。わずか一ヶ月後の再演作にも緩やかに繋がる物語。ならば会場での予約を入れてしまって、この週の公演の濃さに頭を悩ませるわけですが。

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