速報→「JANIS」DULL-COLORED POP
2008.10.13 14:00
27歳で世を去った女性シンガー、ジャニス・ジョップリン(wikipedia)アルバム「Pears」(amazon)の制作時期と重なる生涯最後の数週間を描く130分。13日まで、タイニイ・アリス。
スターにのし上がったジャニス、何度かの変遷を経て初めて理想と思われるバンドに出会い、それまでおぼれていた麻薬から離れ、「いい状態」でレコーディングを続けていた。が、婚約している男や別の恋人の女との関係はかならずしも幸せではなく。
タイニイアリスの入り口導線まで変えてしまい、バーカウンターを設定し、ウィスキー・ジャックダニエルや彼女が好きだったというリキュール・「サザン・コンフォート」もサービスする盛り上げ。バンド演奏も本格的で、なにより主役のジャニス役自身にきちんと迫力があって、説得力があります。
もっとも、名前ぐらいは知っているけれど、ほぼアタシの生まれたぐらいの時期に活躍した彼女の何かを知っているかというと数曲に聞き覚えがある、という程度のアタシです。 そういう立場で観ると、まるでライナーノートのごとく、一歩間違えばウンチクぷんぷんに描かれ出された断片が彼女の深い孤独の姿がアタシの中に像を結びます。
ヒットしている割にはデビューからあまり恵まれた感じではなかった彼女が、メンバーをとっかえひっかえして探し求めた「理想の」バンド、婚約もしていて自身では「最高の状態」なのだというのだけど、曲が出来ない、絞り出すようにしてあるいは恵んで貰うようにしてやっと作り上げたアルバムの最後の一曲を未完にしてしまうというあたりの実話の凄さ。フィクションではこうはいきません。
音楽だけでは(あるいはスポーツでも)あまり感動できないアタシにとっては、補助線のように引かれた彼女たちの背景をある種のリアルをもって描き出されたこの舞台は重要で、それに演奏と迫力が気持ちを揺さぶるのです。歌だけで感動できる、というのならばライブハウスにいけばいいわけで、それだけではないことこそが、アタシにとってのこの芝居の意味なのです。
とかなんとかいいながら、オーディションで選んだキャストは歌も演奏もちゃんと迫力。JANISを演じた武井翔子は表情が可愛らしすぎる感じが、と思っていたけどネットで探したジャニスもなかなかに愛らしい表情もあったりして。
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