« 2008年9月 | トップページ | 2008年11月 »

2008.10.30

速報→「ハイバイ オムニ出す(星/落)」ハイバイ

2008.10.29 19:30

オムニバス公演の残り2本。「輪廻TM(SF=星)」(前田知大作)。「男の旅〜なつこ編」(岩井秀人作)休憩を挟み90分。11/5までリトルモア。

実験台として呼ばれた男、寺に住み込んでいる2人が作った車いす型のタイムマシーンのようなもので、前世・後世が見られるのだという「輪廻TM」。風俗に連れ立っていく3人の男、別々の個室に消えてその部屋の中から始まるあれこれ「男の旅」。

「輪廻〜」は車いすに座った男が何を見てるかわからないままに表情で察するのが全体の流れ。わけのわからない説得力ってのはあるもので、岩井秀人が説明し、金子岳憲がする表情にはそれがあって。

「男の旅〜」は、その一言の為にこういうフォーマットの芝居を作ったのかと思わせてちょっと凄い。大部分を占める、噺家の上下の切り分けを最初ひとりから、それが複数の人になったり、複数で演じられたり入れ替わったりと目まぐるしく楽しい。トークショーを聞いた方によれば、「3人いる」に源流があるよう。たしかにアタシもこの目まぐるしい入れ替わりは落語より3人〜だよなぁと思うのです。

そういう手法の楽しさでも成立してるのに、それをばっさりとやってしまう最後の一言の破壊力というか奥深さは凄い。風俗を題材にしたからか、R18指定の感じの変にリアルな腰や口がちょっとやり過ぎ感はあります。まあ、確かに今の落語でこれは出来ないよなぁ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.28

【落語】「三之助をみたかい? vol.5」

2008.10.27 19:30

柳家三之助 の一人会。ふたを開ければ最長記録、終演21:45。日暮里サニーホール。

江戸の夜の二八そば、巧いこと支払いを誤魔化した男のやり口を真似しようとした男の「時そば」(wikipedia)。
殿様が外に出て空腹を覚えるが弁当の用意はなく、近くの農家で焼いていた秋刀魚を「目黒のさんま」(wikipedia)。
失明した男は医者にも見放され、神仏に願掛けに行くが悪気を起こしまったく見えなくなってしまう。もういちど信心しろとたしなめられ通うが、その満願の日になっても治らず「景清(かげきよ)」(wikipedia)

気がついてしまって不安でしょうがないことから始まり、雨男(夕方にゲリラ豪雨だった)、絵本寄席や新刊(オールフライトニッポン2)の話、近所のたこ焼き屋だったはずの店の変遷などをまくらに。ここがかなり長いのはいつものことだけど、ゆるゆると噺家の思ったこと考えたことやったことを近況報告のように聴きながら過ぎる時間もまた贅沢で。

「時そば」は「いま何時でぃ?」っていうセリフは有名だけどちゃんと噺として聴いたのは初めてかも知れません。思いつきの面白さとそれを真似した男のうまく行かなさ度合いが楽しい。細いつるっとした蕎麦と太いごわごわの蕎麦の食べ分けの誇張も楽しくて。

「目黒のさんま」こちらも「さんまは目黒に限る」っていうセリフばかり知ってても聴いたことあったかしらん。三之助としては初めてやる噺なのだといいます。脂の乗った秋刀魚の描写にごくり、てな感じで。食の安全ってのは、何をどうやって作ってるか見えてることだよなぁとぼんやり思ったり。殿様が城で所望したときに出てきた方の秋刀魚は、美味しく無さ加減というよりは安全だのなんだのに行きすぎた感の不気味さすら。めずらしく政治家だの歌謡曲だのを引用してくるくすぐり満載。

仲入りを経てもう一席。

「景清」は半年を経ての再登場。軽めの前二つに比べるとがっつり噺にとっくみあう感じ。妻への想いが収束していくあたりにわしづかみ、なのです。

続きを読む "【落語】「三之助をみたかい? vol.5」"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.27

速報→「クツシタの夜(ドラマリーディング)」猫の会(番外公演〜猫のサロン)

2008.10.26 18:15

来年1月の本公演を控えてのリーディング。26日までOMEGA TOKYO。90分。

郊外に暮らしているらしい夫婦。野良猫を守るボランティアをしつつ街の電気店勤めの夫と、自主制作映画の元女優の妻。家には映画の仲間が頻繁に出入りする。妻はほかの男と時々出て行ってしまい何日も戻らないこともある。夫は気にするそぶりもないが、野良猫の世話にはただならぬ労力を割いていて。

アタシには未知の領域の夫婦と猫好きの話。夫と妻はのんびりと仲良さげな夫婦だけれども、ほかの男と出かけてしまっても意に介さない。終盤でそれは猫の行動にどこかにているようなことが示されるのだけど、「あたしに興味がない」ということが結果的な溝になりうるあたりが人間との差ということかと思ったりもします。

どういう演出までがリーディングか、というのは難しい問題ですが、今作では本は手に持ち、立ち位置はある程度ついていますが、ほかはほぼ素の状態。本公演はまったく別のキャストで演出も異なりますから、それに向けてということではなく、別バージョンとしての仕立て。

男女の組み合わせが頻繁に変わったり。リーディングでは生々しく見えないけどかなり色っぽい背景に感じられるのだけど、物語はごくごくドライに、当たり前のものとして語られていきます。なかなかそうもいかないだろうなぁと思いながら、それにあこがれてしまう感覚もだめ人間なアタシです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

速報→「たんぽぽ」猫の会(番外公演〜猫のサロン)

2008.10.26 18:15

作家・北村耕治のユニット。第二回公演を前に企画公演二本立ての一本。作家の初戯曲なのだと云います。アタシは初見。55分。OMEGA TOKYO(松濤アクターズギムナジウム)での26日までの公演は終了。

絵本作家の男。書けずに悩んでいるが、ユウタと名乗る男の子が入り込んで来て、ひらめきを授けるという。うとうとして目が覚めると、絵もテキストも完成していた。勇んで出版社に乗り込むが。

絵本作家ってのは何かの流行かとおもうけれど、これは前に書かれたわけなので流行に乗ったわけではなさそう。となれば、書けない作家の夢物語のよう。売れてもいないのに書けないといっていていい歳して夢を追い求めている男と、苦労しながら伴走している妻が物語のベース。 大傑作の筈なのに「つまらない」と一刀両断になったり、支えていてくれた妻が出ていったりと散々。それでも長い時間をかけてがかかってやっとこさ半歩を踏み出した感じの一本。やけ酒でフィリピンパブというダメ男の短絡な造形の加減もファンタジーの一種かとも思うのだけれど、ちょっと自分に刺さる感じで痛みは感じます。ホステス二人のから騒ぎは全体が静かに流れる中でテンションを上げて楽しい感じで単純に眼福が楽しい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

速報→「重要なことは棚に上げて話す」play unit-fullfull

2008.10.26 14:00

初の(作演の出身の)名古屋公演も控えるフルフルの新作。90分。28日までサンモールスタジオ。

ダムに沈む村の古い蔵。全戸退出を控えて仲間内を集めてのパーティの日。長男は突然蔵に残ると言い出し、招かれた友人は訳ありで。

兄弟とか姉妹と強く意識した話。いい年になってもすねるような気持ち、嫉妬する気持ちなんてのは、異性ならば環境なのに同性ならば消えないようで。作家自身も双子の妹だったりするのだけど。

不安定な弟に振り回された家族、長男だからと我慢していてもどこかで家族に見ていてほしいと思う気持ち。話の主軸となる蔵の持ち主の三兄弟たちの、姉と長男、長男と次男の関係と、不倫で天秤にかけられていた姉妹たちの三つの兄弟関係の確執を織り込みながら進む物語。

実はごくごくシンプルな想いで描き出されている話。世間に反抗して耳目を集めたいという幼い想いはあとから思い返せばそれなりに背景はあるのだけれど、唐突にすぎる感じ。その無茶を終盤の種明かしまで引っ張るのは厳しいと感じたかどうだか、その間の不倫の鞘当てとか、オヤジのアタシは勿論それなりに楽しいわけ。

よくわからないのは「チョウバン」。蝶番(ちょうつがい)の符丁というか慣用の読み(らしい、wikipediaによれば)なのはともかく、梁と柱の間らしい場所を指さしてその場所に蝶番は、多分ないんじゃないかと思ったり。もっとも、そういう「細かいところが大好き」なマニアが何かのチカラを持ちうるというのは、ネットがチカラを持った昨今の世間の描き方としては全く正しいので、そこにどうこう云うのは野暮というもの、という気もします。

根津茂尚がかなりモテモテの役で、ちょっと口惜しいというより羨ましい(←そこかい)。山本美月の過剰な色気感が楽しい。杉木隆幸は真ん中に立ち続ける位置をしっかりと。広瀬喜実子は見守る感じが美しく。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.26

速報→「1K~部屋とYシャツと、時々、ワタシ~(道玄坂編)」ギリギリエリンギ

2008.10.25 20:00

ギリギリエリンギのもう一本、「道玄坂編」。70分。26日までルデコ5。

一部屋に詰め込まれた三人。新入りと呼ばれる女はその場所のルールになかなか慣れられそうもない「ラチカン」。
アイドルグループの追っかけらしい三人。日本中どころか海外にまで追っかけていく三人で今後のチケットとスケジュールの確保に余念がないが、いつまでもこうしているわけにもいかないことも判っていて「いつかいつものいつのひも」。
ルームシェアしている部屋。一人が不在の時に高校のクラスメートと名乗る女が訪れる。貰ったはがきを頼りに来たというが、その顔は8年ぶりでずいぶんと変わっていて「あなたに似た人」。

「ラチカン」は拉致監禁された女たちの話。異常な状態だけどそれに慣らされてきた人々。「ご主人様」に従順な人だったり、反発する人だったりも居るが、でも根底の部分ではこの「ご主人様」の家の中のルールに自ら望んで縛られている状態で。新たに来た「新入り」で観客の「普通の世間」の視点からのギャップを明確に示すのは基本的なことだけどわかりやすい。従順と跳ねっ返りのキャラクタをこの人数の中でちゃんと用意する深みもちょっといい。反面、「調教」という言葉で端的に言い表してしまうのはそこまで物語を積み上げてその言葉を避けていた感じがするのに、ちょっと勿体ない感じも。

「いつか〜」アタシも含めて身の回りにけっこういる「ライブなもの好き」で、追いかけて予定を埋め続けずには居られないというある種の脅迫観念で動いていて、いわゆる同好の士が集まった状態。「双眼鏡で覗く」というのは、コンサート前後ではない平常期に一人の部屋に集まる状況づくりに巧い感じ。好きなモノを追いかけているだけではいられないというのはわかっていて、合コンやってみたり、やってみたりなんてことを絡めつつ、そこに居ない人の悪口を散りばめて。物語というよりは状態を描いているだけなのだけど、その台詞がいちいちチカラを持っている感じがするのはリアルさなのかどうなのか。

ただでさえ女三人のグダグダ会話劇が好きで、アタシに近いと思い込める状況だからかどうか、「茶色くなっていくリンゴ」がアタシの気持ちに刺さります。 アニメ系のネタで作りそうなものをアイドルの話に踏みとどまって描いたのも抑えた会話になっていて効果的。「イナバの物置」って台詞が凄い。これよく思いついたなぁ。 なにより役者の腕っ節が凄くて、キャスト陣の中ではベテランに近い菊池・内山の二人の会話はぞくぞくする感じ。若いキャストだと思われる三輪もよく食いついていてバランスはいい感じ。

「あなた〜」は、ホラーテイスト。一人の苛まれる気持ちに起因する誤解かと思わせておいて、というホラーっぽさはさすがに巧い感じで物語そのもので面白くなる感じ。あとから思い返せばブックオフを知らないとか、女優の卵とか不自然な言動が多くて、ああ、そういうことだったのかと巧く仕込んであります。真実はどうなのかさて、というところから一歩踏み込んでの種明かしっぽいラストシーンは出入りの場所を変えるだけなのだけど効果的。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

速報→「1K~部屋とYシャツと、時々、ワタシ~(宮益坂編)」ギリギリエリンギ

2008.10.25 17:00

1Kという一室での物語シリーズ。はじめて女優ばかりで6バージョンのうち3つの「宮益坂編」。26日まで、ルデコ5。90分弱。

夫の浮気を知る妻が単身赴任先のマンションに抜き打ちで訪れ動かぬ証拠を目にする。そこに留守電を聞いた娘二人が合流するが「夫のトイレ」(作 平田侑也)。
OLのところに突然転がり込んだ10歳下の妹は何かの詩をつぶやき、食事もとらず。が、妹には秘密があって「Bloody Sauce Sandwich」(作 谷賢一)。
四人の友人が久し振りに集まり飲み会をする。二人がコンビニに行ってる間に一人がもう一人を包丁で刺しているが、救急車はなかなか来ず、気持ちを落ち着かせるために(!)UNOをすることにしたが「裏切りのカード(原題 THE DRAW)」(作 広瀬格)

「夫の〜」は当日パンフにあるとおりの家族愛の話に帰着。動かぬ証拠を自分で見つけに来て見つけながらも、現実を直視しない母親を演じた内山奈々が幸薄そうに見えるのも含めて役者のチカラを見せつける好演。たった四人なのに不倫する側される側のバランスがおもしろくて、見せ続ける力が確かにあります。

「Bloody〜」は会話をまったく拒絶している妹に手をやく姉の空回りっぷりは楽しい感じもあるのだけど、血の扱いが殊更に露悪的に過ぎる感じで、姉の作った「朝ご飯」も含め、らしいキーワードをちりばめてシンボリックにしてはいても、長い時間のわりに物語がいくら待っても立ち上がってこないような感じ。詩に似てる感じもあるけれど、それが迫ってくる感じにならないのはアタシが男だから、という単純な理由じゃない気がするのですがどうだろう。

「裏切り〜」はおもいついたもの勝ちのワンアイディアを仕掛けにして(だと思う)カードゲームを制御して物語を動かしている感じ。もっともゲームのあとにもう一波乱あるわけで、それならばここまで一ゲーム最後までやることにこだわらなくてもいいのではないか、という気はします。もっとタイトな感じで見たいところ。土曜夕方の回ではハプニングがあったようで、ゲームが緊張感とグダグダに行き来してもちゃんと押さえつけるのは役者のチカラ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

速報→「氷」メタリック農家

2008.10.25 14:00

ファンタジー色たくさん。程良い人数の空気感も気持ちいい105分、27日までOFF OFFシアター。

山をいただく村。離婚した女が自分探しと称して山に登り偶然写り込んだのは雪男の風体の男だった。寒いところでなければ生きられず、しかし高山には居られなくなった彼は村まで降りてきて、冷蔵庫の中にかくまわれる。

低温でなければ生きられず、しかし高山には居られず、様々な病気をもち、人との接触もままならない、という「雪男」とそれに心引かれる女、しかも娘が回想として聞き取るという「フォーマット」はパルコプロデュースに引用される後藤ひろひとファンタジーを思い起こさせますが、ものがたりはちゃんとオリジナル。細かいところの詰めが甘い感じはするものの、「パコと魔法の絵本」が映画になるのと同様の、ある種の万人受け良さと奥行きを感じるのです。

雪男を演じた嶋村太一の無口な感じが気持ちを揺らします。終盤が幸福を感じさせるのはファンタジーの必須。古市海見子の溢れる愛情の表情が素敵。酒場にもう一人いる女の今城文恵の無表情あるいは「人見知り顔」が印象に残ります。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.10.24

うめる。

マンションの点検のために、一日休み、ならば役所の用事があったかと思い出して平日に休みを一日。思いのほか早く終わったのでならば電車に乗るでしょとかで横須賀あたりを歩いたり呑んだり歩いたり。

会社に出社した木曜は、定例が詰まりまくりなので、時間自由にはならないけれど、隙間を少しずつ埋めながら進んでるんじゃないかなと思えるところがいくつか。それは自分への原動力になります、ちょっと嬉しい。

週末。公演が多すぎて観客業界でブーイングの嵐になる激戦の嵐の今週。

続きを読む "うめる。"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.23

速報→「ハイバイ オムニ出す(常/仏)」ハイバイ

2008.10.22 19:30

ハイバイが4本のオムニバス公演。「ヒッキー・カンクーントルネード(いつもの=常)」四演90分+休憩5(実質10)+「コンビニュ(「テンプルトンペックン」からタイトル変更。フランス人演出家風味=仏」40分+22日はトークショー付きで終了22:30。2演目ずつで11/5までリトルモア地下。売り切れ回も多く、追加公演も有るようですが、公式ページには情報がありませんので劇団に問い合わせを。コの字型の客席はサイドブロックだとしてもなるべく正面寄りの席を。サイドブロックは表情が見えやすい入り口側がよりオススメ。席を見た感じでは前売り40程度、当日10程度だと思います。

10年間引きこもりの兄と、同居する妹・母親。母親が相談した「出張お兄さん」も少々癖有り"とびこもり"で、一緒に部屋に籠もってしまう。おなじ団体の「出張お姉さん」が連れ戻しに来るが「ヒッキー・カンクーントルネード」(1,2)。
コンビニで買ったタバコの間違いに気づいて大雨の中コンビニに赴くが、店員は謝るでもなく怒りがこみ上げて「コンビニュ〜または謝罪について」(「親族代表」に提供した脚本の一部1)。

三回目にして、ちゃんとストーリーが憶えられた気がする「ヒッキー」(どんだけ記憶力がダメなのだ>アタシ)。今までは60分程度だったのだけど、90分に。トークショーによればそぎ落としを避けるために稽古期間を短くしたら間とか台詞のリズムが自由になったから伸びたのだといいます。確かに段取りっぽさは抜けていますが、それだけで1.5倍になるのかしら。芝居自体は間延びした感じがしないのは不思議。作家自身が演ずる引きこもり男が絶品で、これもトークショーで彼が気に入っているという「ビデオテープ又貸しで切れる」シーンが実に。

ネット依存ではない引きこもりという題材自体には少々時代を感じたりもしますが、それでも彼らの原点となる作品なのは確かで、余裕すら感じる確かなチカラ。

一度つくったものを壊して、最終版になったのは初日昼だったという「コンビニュ」は、ホンをもとにして役者にかなりの部分を委ねたよう。これもトークショーでは「怒ってた?」なんて質問を出演者同士でするなど、固めていない部分もあるようですし、舞台奥に設置される白い紙に描かれる絵も初日とは異なるようです。アタシの観た回は、その会話する人々が小さな箱に入っているような感じの絵。

どこかで観た話だと思ったら他への書き下ろし作。でも、観ている最中、アタシが感じていたのはfaifai色という感じで、ハイバイリミックスだった「霊感少女ヒドミ」(1)のような空気感。人が入れ替わりモノにもなったり、コンビニ店員への怒りというごくごく小さな出来事が意味もなく宇宙に敷衍してしまうような見せ方がちょっと似てるなと思ったりするのです。

親族代表版よりは粘着質度合いが格段にアップ。飽きるといえば飽きる感じもあるけれど、こういう視点が作家の真骨頂だとも思うのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.20

速報→「紫式部が言う前に!」ユニット美人

2008.10.19 18:00

アタシは初見です。劇団衛星から派生した女優二人+制作のユニット美人の本公演前と銘打つコント公演。19日までの公演は終了。55分。

照明が落ち、挨拶しても一人こない「また黒木が遅れてくる」
金髪、娘と母親。それぞれに喋り倒したいのだけど「私の話を遮ってくる娘」
脱いでブルマになる二人、しゃべり方がおかしくなり、世界が曲がり。腋を。「チュ点」
私たちなりの前衛、パッションが足りない「ユニット美人解散の危機」
イス、スカート、めがね。ブルマあげつつ。アメリカのテレビドラマ風の喋り。30代の壁について「2831inNY」
制作が出てきて、撃たれた女優は続けられないので、返金措置を。 ひとつの銃弾かひとつのチーズバーガーがつなぐ関係、ロードムービー的な、途中に暗闇もありつつ「夕焼け?いいえあれは朝焼けよ」
学生服の子供と母親。オカンとか喋る。ココ座りぃとか。「母と息子の話」
そうして「情熱と情熱の間」

基本的には30前後の女性たちの微妙な感覚の会話の芝居が大好きなアタシです。ならば行かねばなりません。 本当のところはともかく、彼女たちの気持ちは微妙に感じられる気がします。が、それは「春やすこ・けいこ」の昔から(古いねしかし)漫才のネタの感じだと思うのです。ちゃんと歌える踊れる彼女たちの真価がここで出ていた感じはしないのだけど、ガーディアンガーデンフェスでの彼女たちのネタ(髪結いの女たち)の凄さ(未見)を聞くと、もう一回期待しちゃおうかな、と思ったりもするのです。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

速報→「あなたと私のやわらかな棘」ジェットラグP

200810191400

明日図鑑の牧田明宏の脚本、柿喰う客の中屋敷演出で。26日で公演終了、THEATER/TOPSで90分。

床屋の主人が殺された。容疑者としてあげられたのは同居していた女。夫が居るにもかかわらずこの家に転がり込むように来て。が、刑事の家でも問題はあって

ごくシンプルな舞台。外枠となる部分に通路に、その内側に緩やかな斜面。役者の動きは時に見得を切るようだったり、時に漫画的だったり。意識してわざと薄ぺらな人物に見えるようにしているという感じがあって、そこに生きているリアルな人物というよりは、書き割りで人型を配置してるよう。それは確信犯ですから確かに機能しています。カメラワークののような視点の切り替え、内面の声を役者が裏表にひっくり返ることで見せるのは落語の上下のような見せ方。

脚本というより、それは中屋敷演出の色だという感じもあります。演出自身の作ならばもっと膨大に詰め込まれたせりふなのに対して、それに比べれば普通の脚本である本作では結果としてスカスカになってしまっている感じになってしまいます。が、このような脚本でも同じ演出手法でやり通すという心意気には感心しますが、それは頑固なのか、他に手法を持っていないのかという気も。

明日図鑑をかなり長いこと見てないアタシにはこういう持って行き方は忘れていました。が、女たちがそれぞれに持っていた棘は腑に落ちるプロットですが、初音映莉子、町田カナ、深谷由梨香という妻たち、山口奈緒子、中林舞たちの女性たちに芸達者をこれだけ配置したのにと思ったり思わなかったり。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.19

速報→「どんとゆけ」渡辺源四郎商店

2008.10.18 19:30

ナベゲンの新作。陪審員制度の先をいく死刑執行員制度の近未来、重い話ですが、笑いも多い90分。青森公演のあとの東京は19日までアゴラ劇場。

畳の部屋、チャイムが鳴る、出て行くエプロンの女。ひもでつながれた男二人。しばらくして男女。死刑判決を受けた男の執行をこの家で、被害者家族の手で行うという時代。

現実の裁判員制度というのが法的にどういう意味を持っているかはよく知りません。が、裁くということを一人で背負わず、多くの人の合議で薄めるという効果なのだと思っています。さらに進んだ本作の時代は死刑執行を関係ない他人にはできなくなった時代、ならば仇討ちの時代に戻るのだけれど法律も整備されていて。

被害者家族はまっすぐそこにヒールとして立ち続けなければいけないのだけれども一枚岩ではない、獄中結婚した女にも理由はあってと、ここにいるさまざまな人にちゃんと理由があるのは確かなホンのチカラ。

真ん中に居続ける保安課長は笑わせるパートも多く大黒柱。津軽ローカルらしいトランプ(コントラクトブリッジ的なゲーム)のシーンの父親の実況は巧くて当日パンフの解説を読み損なってもルールがわかる感じで楽しい。

近未来の今とは違うキマリの中で畑澤聖悟脚本はさすがに巧い。召命や「俺屍」といったその世界独自のルールというのを徹底している感じは、確かに見続けさせます。

獄中結婚をした女を演じた工藤由佳子の包み込む怖さ。何かのプレイかと思う出オチ的メイド服も楽しい。被害者の妻を演じた工藤静香はヒールとして重要だけどただ一人で立ち向かい続ける役の位置はちょっとたいへんな感じ。保安課長を演じたささきまことは困った顔が絶品。被害者の父親を演じた牧野慶一の存在感。

ネタバレかも

続きを読む "速報→「どんとゆけ」渡辺源四郎商店"

| | コメント (2) | トラックバック (0)

速報→「光る女 」Hula-hooper

2008.10.18 14:30

フラフーパーの新作。番外公演を除くとしばらく公演の間が開くのだというその直前公演。75分。20日までOFFOFFシアター。

砂漠のような何もないところで倒れている二人の女。ほかを偵察にいった風で戻ってくる女を合わせ三人で旅の途中で今の状態。他に人を捜し続ける女、何かにとりつかれた風の女。

チラシのSF(少し不思議)思いついたモノ勝ち、巧い。当日パンフではSFには興味がない、現実や演劇がっつりなのだと言い切ります。SFに限らず何かの物語を期待すると確かに肩すかしになってしまう感じはあって、思わせぶりな言葉がちりばめられてはいても、何かの物語に像を結ぶという感じではありません。芝居について彼女たちが真剣でしかしまじめ一辺倒ではなく取っ組み合っていることは今までのさまざまを観てわかるのだけど、この一本でその真剣を感じ取るのは難しい感じでもあって。

種なんかあるかどうかわからない、とりあえず耕してみるか、なんていうあたりから始まり、書くだの書けないだのという言葉は、いわゆる「書けない節」だとおもうとさにあらず。それすらも物語になっている感じではありません。何かを表現したいのだということは見え隠れするのだけど、欲求だけを取り出して観るわけにはいかない観客は、そこに物語だったりあるいは突出した何かを見いだしたいと思ってしまうのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.17

Macは好きですか

いろんな意味で大きな声じゃ云えませんが、自分の稼いだお金で初めて買ったのはMacintosh Plusでした。今にして思えばかなり割高な買い物ですが、それがアタシのその後のさまざまを決めてしまったといってもいい感じなのです。それでバイト代を稼ぎ、入社直後の仕事もちょっと近い仕事で。何代目かのiMac G5を現用。

新しいMacBookが発表されてちょっと気持ちは動くけど、持ち歩く気はさらさらないのでiMacは何時買い換えたら。Macストアのカートには入れてあるけど、最後のポチッ、に踏み切れないチキンなアタシは人生にも以下略。

秋は、さすがに公演も多く。

続きを読む "Macは好きですか"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.14

速報→「YAMANOTE ROMEO and JULIET」山の手事情社

2008.10.13 18:30

ロミジュリをモチーフにした3部構成。120分とのアナウンスですが、観客移動があるせいかアタシの観た回は140分弱。19日までにしすがも創造舎特設劇場。

一人の役者がロミジュリエッセンスを語る「抄本・ロミオとジュリエット」。
ロミジュリから発想したしかし原作にはないシーン四つをせりふのないパフォーマンスで「妄想・ロミオとジュリエット」(舞踏会前夜のロミオ、ヴェローナの街に漂う殺気、一目惚れ、ジュリエットの墓)。
ロミジュリのごぐごくエッセンスを山の手の手法で抜き出した「印象・ロミオとジュリエット」(舞踏会のキス、バルコニー、嘆く女たち、ティボルトの死、ジュリエットとパリスの結婚、二人の別れ〜恋愛の死)。

十時形にくまれた舞台。自由席の客席は四つのブロックに分けられます。シーンによって見える見えないがあるにはありますが、正面を作らずに芝居を構成している感じで、おそらくどのブロックでも不満はなさそうな感じ。役者の方は正面が作れないからえらく大変なことをしてる気もします。

当日パンフに作演が書いている通り、「物語を伝えたい」「物語から逸脱したい」「原作を再構成したい」という欲求に従ってる感のある三本立て。先に物語をかいつまんで説明してしまい、そのあとでエッセンスや見せたいところを見せていくという方法。確かにわかりやすく、今回は短いシーンを重ねていることもあって、有効に働いている感じがします。

一本目は丁寧に語り、きちんと物語。そういえばちゃんとしたロミジュリ観たことないやで得した感じ。語る一人がロミオ役もジュリエット役も。床から人間が土塊のように立ち上がる感じがあって、東京デスロックの「ソラリス」を思わせますが、役者のカラダは圧倒的に山の手に軍配なのは致し方ないところか。

二本目は美術館よろしく四隅に作られた小ステージをツアー形式で巡る趣向。「一目惚れ」は思いつきの勝利という気もするけど、インパクト大で突然感がよく出ていて面白い。よく見てるといつ「それ」が起こるかは事前にわかっちゃいますが。「殺意」は眼福わくわくだけれども、日常と殺意が隣り合わせ、観客も巻き込まれていく後味の悪さが○。「墓」はどんなに愛していても越えられない一線が歴然とあることがしっかりと。「舞踏会前夜」は男の妄想脳内シミュレーションが楽しい。

三本目は、それぞれが独立して一本に見せられるように構成されています。それが何本か並べられているので結果的に何回も同じ場面(表現は全く違うけど)を描くところがあって結果的には長く感じてしまったりします。それでも恋に落ち、苦しみ、妨害を受けという過程を繰り返し何度も、ということで舞台上の役者たち、アタシにとってはジュリエットを演ずる女優たち全てが愛おしくなってしまうのです。

続きを読む "速報→「YAMANOTE ROMEO and JULIET」山の手事情社"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

速報→「JANIS」DULL-COLORED POP

2008.10.13 14:00

27歳で世を去った女性シンガー、ジャニス・ジョップリン(wikipedia)アルバム「Pears」(amazon)の制作時期と重なる生涯最後の数週間を描く130分。13日まで、タイニイ・アリス。

スターにのし上がったジャニス、何度かの変遷を経て初めて理想と思われるバンドに出会い、それまでおぼれていた麻薬から離れ、「いい状態」でレコーディングを続けていた。が、婚約している男や別の恋人の女との関係はかならずしも幸せではなく。

タイニイアリスの入り口導線まで変えてしまい、バーカウンターを設定し、ウィスキー・ジャックダニエルや彼女が好きだったというリキュール・「サザン・コンフォート」もサービスする盛り上げ。バンド演奏も本格的で、なにより主役のジャニス役自身にきちんと迫力があって、説得力があります。

もっとも、名前ぐらいは知っているけれど、ほぼアタシの生まれたぐらいの時期に活躍した彼女の何かを知っているかというと数曲に聞き覚えがある、という程度のアタシです。 そういう立場で観ると、まるでライナーノートのごとく、一歩間違えばウンチクぷんぷんに描かれ出された断片が彼女の深い孤独の姿がアタシの中に像を結びます。

ヒットしている割にはデビューからあまり恵まれた感じではなかった彼女が、メンバーをとっかえひっかえして探し求めた「理想の」バンド、婚約もしていて自身では「最高の状態」なのだというのだけど、曲が出来ない、絞り出すようにしてあるいは恵んで貰うようにしてやっと作り上げたアルバムの最後の一曲を未完にしてしまうというあたりの実話の凄さ。フィクションではこうはいきません。

音楽だけでは(あるいはスポーツでも)あまり感動できないアタシにとっては、補助線のように引かれた彼女たちの背景をある種のリアルをもって描き出されたこの舞台は重要で、それに演奏と迫力が気持ちを揺さぶるのです。歌だけで感動できる、というのならばライブハウスにいけばいいわけで、それだけではないことこそが、アタシにとってのこの芝居の意味なのです。

とかなんとかいいながら、オーディションで選んだキャストは歌も演奏もちゃんと迫力。JANISを演じた武井翔子は表情が可愛らしすぎる感じが、と思っていたけどネットで探したジャニスもなかなかに愛らしい表情もあったりして。

続きを読む "速報→「JANIS」DULL-COLORED POP"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.13

速報→「博愛」Not In Service

2008.10.12 15:00

早稲田の劇団、Not In Service、他の原作を元にしたExtraシリーズ。去年の劇26.25団の作品を若い役者たちで。90分。13日まで早稲田大学新学生会館B202。

当日パンフによればオープニング・エンディングを改変しているのだといいます。が、あたしの記憶は曖昧です。その記憶がなくても、初演に比べてもごくごく丁寧に作り上げています。人物それぞれの造形も多彩で、観ていて飽きない感じもあるし、リアルを感じるところもあって魅せる感じ。

今作においての人物造形の面白さは、若い彼らにはむしろ高校生にある気がします。かと思えば迷い込んだ女に見とれてしまうのはアタシがオヤジだからですかそうですか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.12

速報→「ベントラー・ベントラー・ベントラー」Piper

2008.10.11 18:00

10周年記念公演の2年目、という人を食った感じも楽しいPiperの新作。110分。19日までスペースゼロ。そのあと福岡、愛知、広島、大阪、宮城。

かつてUFOの分解解析や宇宙人の解剖をした場所というまことしやかな噂の立つ地下に完全隔離された施設。幽霊屋敷西武風酒場に勝手に住み着いてきた親子三人がみたび、ここに住み着いている。ここに宇宙人が来訪するとカモを騙す詐欺師とカモと運転手、タレントの恋人が受けたセクハラに腹を立てて監督を誘拐してきた男とそのタレントなど、様々な人が次々と。

「スプーキーハウス」「ひーはー」に続く不法占拠三人家族を核にしたドタバタコメディ。宇宙会議なるものに集う宇宙人たち、というのを信じてる何人かと、それとは全く関係ないままに巻き込まれたり巻き込んだりする何人かのすれ違い、勘違いドタバタのシリーズ。

実際のところ、前二作からの繋がりというところによっかかってる所はあって、単独でどうにも薄味な感じは否めなかったりしますが、それは前二作でも感じたんだったということを今書きながら思い出したり。段取りや単独のギャグという感じが増えていて新喜劇化してる、というところは確かにあって。折り込みには「ついに新喜劇に進出」らしくてそうかそうか。

とはいえ、中身が何もないまま引っ張り続けるというのは大したもので、泣きの入った路線とは違うPiperらしい仕上がり。一番面白いのはオープニングとエンディング近くの大王・後藤ひろひとのヒッチコック風解説のシーンだ、というのはちょっと困ったモノだったりもしますが。

平山あやの急病に対しての代役・鈴木蘭々は堂々としたモノで問題を感じさせません。というか、代役もう何度もやってる気がするんですがそれはそれで凄いなぁ。

続きを読む "速報→「ベントラー・ベントラー・ベントラー」Piper"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.11

速報→「呼吸機械」維新派

2008.10.10 19:00

琵琶湖湖畔・長浜市さいかち浜にゼロから作ったステージ。13日まで。120分。開演前も終演後も会場そばの屋台村で時間つぶしつつ。意外に冷えますので上着と貸し出し毛布と、酒もついでに。

第二次世界大戦の東欧・戦災孤児たち。生きるためのさまざま、逃げまどい、さまよう。成長し別れ、再び会った時には。

少年達が大人から逃げ回りながらというあたりは維新派では得意な感じで見やすく面白い。成長してからのシーンは美しい「セット」がいくつもあって雑踏の感じが印象に残ります。 せりふはぐっと少な目。公演期間後半らしく、完成度も高い感じ。ダンスも迫力あるセット群もかっちりとしている感じで何の不安もありません。

もっとも、物語を追いかけようとすると少々苦労する感じなのもいつも通りで、ただ視線をゆだねていくのが吉という気がします。戦災孤児やその成長、東欧というあたりは物語としてわかっても、前作でも登場したという「」や旅芸人といわれる人々の存在は確かに印象的ですが、アタシにはなにがなにやら感の方が先に立ち、委ねきるところまではいきません。

野外舞台らしく琵琶湖を背景に。しかし、アタシのみた日の日没は18時前で借景とはいきません。水を多用する、という意味では場所の意味はあります。そういう意味では「水街」に近い感じもしますが、あのときより全体を通して舞台が近く感じられる構成になっているのはいいところ。反面、真っ黒な湖面にある僅かな泡ですら、「汚い水」という感じに見えてしまうのは少し残念。

続きを読む "速報→「呼吸機械」維新派"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.10

速報→「天神開拓史」ギンギラ太陽's

2008.10.9 19:30

福岡の「地産地消」劇団、ギンギラ。思えば今年三回目の来福。110分。開演前の撮影タイムもいつものとおり、カーテンコールの言葉も楽しい。1ヶ月1万人公演で11月3日まで、西鉄ホール。

栄華を極める西鉄。天神の商業施設を集めるソラリア・デビル。が、「西鉄さん」が彼を過去の天神にタイムスリップさせる。当時は田んぼの中にある駅の赤字路線だった。当時はやり始めた百貨店、玉屋や松屋。岩田屋と手を組んだりしながら。

東京(=地方公演)に持ってくるYS-11や新幹線の話は日本国内ならば通用する話なのだけど、福岡の流通まわりの話はさすがに部外者には歯ごたえ。それでも3回訪れ、街を歩き、建物をみて、天神前のバスの群れを見て、壁のようなソラリア、今の岩田屋の二つの建物、大丸、エルガーラなんてものを眺めて歩くのは楽しい体験なのです。

戦前の弱小民鉄のターミナル、そこから百貨店やバスであの手この手を使いながら「賑わい」を作り出す過程。が、時代の流れで鉄、食料、衣類と逼迫していく日々の中。競い合う百貨店が助け合ったり。終幕の焼け残った二つの建物の写真は圧倒的に力があるのは、事実だからなのだけど、かぶり物の作り物はそう簡単にこの事実には勝てない感じがしてしまうのはもったいない感じ。100周年を意識してか、西鉄をことさらに持ち上げてしまう感じに見えるのも、そりゃそうだろうけれど。開拓史というタイトルですから開拓していく日々を描くということなのでしょう。ならばあたしの好みはたぶん「流通戦争」だ。

平日夜の公演、さすがに満席とはいきません。水曜や木曜という中途半端な日だからかもしれませんが。あたしの観た回はそんな感じでしたが、観客の盛り上がりは一段と。なんせかぶり物作ってきてかぶってる客。すごいなと思うのは大塚ムネトがそれをコントロールして、芝居が始まる前には脱がせるようにしているのはたいしたものなのです。

カーテンコール、地産地消を持ち出しながら地元の、ということの強調。一歩間違えばえらく鼻につく感じになりかねないのですが、その笑顔の奥にあるだろうまっすぐな気持ちにやがてあたしは巻き込まれるのです。

続きを読む "速報→「天神開拓史」ギンギラ太陽's"

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.10.08

秋休み。

連休に休みを2日、くっつけて5連休。福岡に通って芝居を観て、ならば0系新幹線にも乗らなきゃ、ならば維新派の野外劇も観なきゃ。でも土曜夜のチケット持ってるしなぁ。

で、なんとなく今の旅程はこんな感じで。。

続きを読む "秋休み。"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.06

速報→「三億円事件」パラドックス定数

2008.10.5 18:00

パラドックス定数初期2002年作品の再演。アタシは作品初見。5日までOFF OFFシアターでの公演は終了。110分ほど。

三億円事件から六年半が過ぎ、時効までの三ヶ月。府中署の捜査本部。二百人近く居た本部は八人に減らされる。所轄、警視庁、公安。縄張りと隠し事と、策略とそれぞれの視点と。

ある年代以上ならば、リアルタイムで事件やあるいは時効前後のあれこれを体感していて楽しめる感じ。それぞれの人々にはそれぞれの視点からその事件に繋がる思い出があったり。映画・小説・テレビドラマとさまざまに描かれることの多い戦後の大事件の一つ。その犯人について描くのが王道なのだけど作家は捜査のしかも一室を舞台に描きます。史実に基づく大枠を持ちながらも、作家の妄想というか想像を大幅に足し、その場所にいる人間の思いや想いを強固に描き出します。もちろん犯人は捕まりませんから、それをどう収拾するかも作家のセンスの良さ。

おそらくは週刊誌ネタであろう、奪われた銀行と四つの企業と総会屋。筆跡と支店長の繋がりみたいなネタは様々。

先輩と後輩、教育する側とされる側。表立っては云えない役割、公正ばかりではない捜査の現場。人の繋がり、想いがストイックに。序盤で本庁と所轄の会議、いがみ合っていた二者がかみ合う瞬間になぜかアタシは大泣きするのです。物語は終盤に向けてそういう綺麗な物語ではないところに入り込んでいってそれはそれで見応えするのですが。あるいは終盤、時効まで三週間に迫った捜査本部の焦りの緊迫。こういう現場ならば証拠をねつ造してでも逮捕に結びつけようとする人の気持ちもしっかり。もちろん史実にはありませんから、ねつ造されたりはしないわけですが。

「踊る大捜査線」で主軸に描かれる本庁と所轄の確執。もちろん昔から事実としてあったのでしょうが、ドラマの5年もまえにコレを初演。単にその二項対立ではなく、警察の中のもう一つの立場、公安を入れての文字通り三つどもえ。もちろんドラマは好きだけれども、それよりも数段上手な物語。

スーツにメガネ男子というのはここの劇団のウリだけれども、ぐぐって見付かる捜査本部の昔の写真もスーツにメガネ(男子じゃなくてオジサンたち)というのは、時代の感じに良くあってるのだと思います。他にもググってみれば地図も出てくるし、写真も、映像もさまざまが手元に。それで妄想逞しくしてしばらく楽しめる感じも、ここの良さ。わずか一ヶ月後の再演作にも緩やかに繋がる物語。ならば会場での予約を入れてしまって、この週の公演の濃さに頭を悩ませるわけですが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

速報→「Desert Moon」ネオゼネレイタープロジェクト

2008.10.5 14:00

かなり気合いの入ったSF。120分。「劇」小劇場での公演は5日昼までで終了。

突然世界をおそった「砂」の浸食。街が数日のうちにおそわれ、ほとんどの人は行方がわからなくなる。救出途中の大型ヘリが砂漠化したビルの屋上で焚かれた発煙筒を握っていた男を救出するが、そのヘリは突然砂漠の真ん中に不時着する。ほとんどの乗員は失われるが、投げ出されて奇跡的に助かった5人は砂に半分埋まった無人のコンクリートの建物に避難するが、そこにも一人の男が居て。

街だけではなく人間を襲う謎の砂。人間の姿に擬態したり、姿が見えないまま迫り来る恐怖と盛りだくさん。擬態の事実、それを見分ける方法、砂から一時的に逃れる方法と順を追ってアイテムが増えていく物語に乗っかってみていくのは楽しい感じ。

今のようなCG満載になる前のSF映画風味の仕上がり。恐怖の対象そのものはあまり姿を現さないけれど、擬態するという設定のおかげで時々姿がみえる感じなのはうまい感じ。天井裏を使うというのも巧い方法で、格闘の様子が音になって迫ってくる感じが見えない格闘の臨場感を増しています。

窓というよりは細長い穴の外に広がる強烈な外光やそれを防ぐシャッター、蛍光灯や懐中電灯といったさまざまな光のコントラストが実に美しいのです。

弓をめぐって平家物語に準じて手榴弾をくくりつけた弓というあたりまでいくと少々強引な感じがしないでもありませんが、もうここまで飲み込まれたらそのまま一気に突っ走る感じになって大きな問題にはなりません。ソラリス的だよね、というのはまあ沢山あるSFのモチーフの一つ、で。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.05

速報→「動転」コマツ企画

2008.10.4 19:00

90分+休憩無しで全ステージにトークショーが15分。5日までモリエール。劇場の構造もあるので、出来るだけ最前列を狙って。

子供部屋で寝ている三人のこどもたち、父親と母親の仲は冷え切り、家の改装費用の借金はかさみ。祖父の言動は少しおかしく..

強烈な所属俳優陣のあちこちでの客演で名前は知っていたりもする劇団なのだけどアタシは初見。豊富な客演陣に惹かれて。わりと毎回違うカラーでやっているという話も耳にしますが、家族崩壊をキーに発想したワンアイディアを徹底して作り込んだ印象の今作は、役者の瞬発力にも支えられて「訳のわからないまま巻き込まれるグルーヴ感」が楽しめるのです。

★何を書いてもネタバレになりそうなので以下は公演終了後に。

続きを読む "速報→「動転」コマツ企画"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

速報→「SHAMAN-BOY」SUPER☆GRAPPLER

200810041500

スーパーグラップラー初期作の3年ぶりパワーアップ再演。5日まで東京芸術劇場小ホール1。120分。

物の怪と人間が今よりもずっと近かった頃。追っ手に追われて命を落とした女の手から預けられた赤子は尼の手で育てられる。それから15年たち寺に預けられた少年は成長し仲間たちと修行に励む日々。そのころ都では帝を呪う女の幽霊が出没し、それを鎮めるために15年前の赤子を捜し出すことになり。

歴史伝奇の設定、少年の成長は師を越え、母を断ち切りというシンプルなストーリーと舞台。疾走感のある流れは初演のまま、ダンスなどはパワーアップという感じがする反面、かっこよさノリの良さや笑いを豊富に詰め込むという点では若さで突っ走っていた初演に比べると少々薄い感じは否めません。それは空間を埋めるのが難しいこの劇場の特質によるものという気もします。

なんせ初演の半吾役、羊吾が実にかっこよく、成長譚に雰囲気がよくあっていてその印象が強く残っているアタシです。今回のキャスト川野直輝は健闘していますが、それを覆すのはなかなか難しいところ。前の芝居のほうが良かった、なんてのは年寄りの繰り言ではあるので今のこれを観なきゃいけないわけですが。

ザンヨウコの女御は確かな力、ダンスはなかなか珍しい感じもしますがちゃんと。帝を演じた三井俊明も安定。渡邉哲は力の抜けた役のポジションもあってその中では健闘しています。

ありそうでここ以外ではなかなか見かけない開演前のプロモーションビデオ風映像。客演陣の次回公演に向けてだったり過去公演のDVDだったり、携帯電話などの諸注意を見せるのはなかなかしゃれていて。諸注意ビデオも久しぶりの新作に変わっているのも続けてみてるとうれしい感じ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.04

連休に向けて

来週末の連休に向けて、遊ぶ準備。

今年はどういうわけか乗り物+遠出+芝居が多いのです。何かのスイッチが入ってしまった感じ。福岡で始まっているギンギラ太陽'sの1万人公演のひとりになるべく。どうせ同じ場所に行くならば、違う交通機関を使いたいと思ってしまうので、飛行機と寝台特急はやってしまったので、残りは。そういえば11月(12月にも記念運転あるようですが)までの0系新幹線も乗らなきゃと思ったりしながら。どうせ休みを取るならば、久々の維新派にも行ってみたいしなぁ。

なんてことを考えながら、先週とうってかわって多い公演の今週末。

続きを読む "連休に向けて"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.02

速報→「かけちがい」マシュマロウェーブ

2008.10.1

キャバクラと見紛うばかりの派手なチラシが目を引くマシュマロウェーブの新作。100分。5日までサンモールスタジオ。歌舞伎町の作家の新作。

新宿歌舞伎町の老舗キャバクラ。絶大な信頼を得ている社長や、敏腕のマネージャーはじめ厳しくしかし暖かい職場で。しかしふとしたきっかけで喧嘩したり、街をでることになったり。

かけちがい、というほろ苦さの物語。見目麗しい女優たちやショーで、キラキラした場所のめいっぱいでつなぎつつ、何かが違ってしまうことは苦いのです。

いい年になればそんな場所に行ったことがあってもその場所での居方というのはどうにもわからないアタシです。客、という立場の役をおいてそんな場所風の雰囲気を作り出すのは無茶な方法だけど、その客のキャラクタがかなり強烈だったりして、それなりに見せてしまうのはたいしたもの。

演出の姿勢なのか、何かの現場を描こうとしているのは真摯に読み取れます。派手な現場の裏側をきちんと。

とはいえ、なんせ見目麗しいのに喜んでしまうアタシです。 実際のところ、ショーやカラオケシーンも結構多くて物語が少ない感じではあります。でも、その雰囲気を楽しむのが吉。

社長を演じた一色涼太はさすがに年輪。軽演劇からストリップ小屋主だった深さは浅草の感じ。二日目夜に設定されたトークショーはロック座の小屋主のこぼれ話、巧くて楽しい。

ナンバーツーを演じた夏空李光はダンスが圧倒的に安定していて図抜けています。ダンスに詳しくないアタシですが、ピシッと決まり、腰を低くしても揺るぎないのは凄い。桜木さやかのトップ、見目麗しい。増田恵美で笑わせるポイント。麻生0児はらしく見えるのですが、人がいい、というのが見えてしまうのですが、背筋を伸ばして虚勢を張ってほしい。

馴染めない男たち、というのはたしかにアタシの気持ちに近い感じ。なぜここに居るんだろう、とか思うアウェイ感は腑に落ちます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年9月 | トップページ | 2008年11月 »