速報→「1K~部屋とYシャツと、時々、ワタシ~(道玄坂編)」ギリギリエリンギ
2008.10.25 20:00
ギリギリエリンギのもう一本、「道玄坂編」。70分。26日までルデコ5。
一部屋に詰め込まれた三人。新入りと呼ばれる女はその場所のルールになかなか慣れられそうもない「ラチカン」。
アイドルグループの追っかけらしい三人。日本中どころか海外にまで追っかけていく三人で今後のチケットとスケジュールの確保に余念がないが、いつまでもこうしているわけにもいかないことも判っていて「いつかいつものいつのひも」。
ルームシェアしている部屋。一人が不在の時に高校のクラスメートと名乗る女が訪れる。貰ったはがきを頼りに来たというが、その顔は8年ぶりでずいぶんと変わっていて「あなたに似た人」。
「ラチカン」は拉致監禁された女たちの話。異常な状態だけどそれに慣らされてきた人々。「ご主人様」に従順な人だったり、反発する人だったりも居るが、でも根底の部分ではこの「ご主人様」の家の中のルールに自ら望んで縛られている状態で。新たに来た「新入り」で観客の「普通の世間」の視点からのギャップを明確に示すのは基本的なことだけどわかりやすい。従順と跳ねっ返りのキャラクタをこの人数の中でちゃんと用意する深みもちょっといい。反面、「調教」という言葉で端的に言い表してしまうのはそこまで物語を積み上げてその言葉を避けていた感じがするのに、ちょっと勿体ない感じも。
「いつか〜」アタシも含めて身の回りにけっこういる「ライブなもの好き」で、追いかけて予定を埋め続けずには居られないというある種の脅迫観念で動いていて、いわゆる同好の士が集まった状態。「双眼鏡で覗く」というのは、コンサート前後ではない平常期に一人の部屋に集まる状況づくりに巧い感じ。好きなモノを追いかけているだけではいられないというのはわかっていて、合コンやってみたり、やってみたりなんてことを絡めつつ、そこに居ない人の悪口を散りばめて。物語というよりは状態を描いているだけなのだけど、その台詞がいちいちチカラを持っている感じがするのはリアルさなのかどうなのか。
ただでさえ女三人のグダグダ会話劇が好きで、アタシに近いと思い込める状況だからかどうか、「茶色くなっていくリンゴ」がアタシの気持ちに刺さります。 アニメ系のネタで作りそうなものをアイドルの話に踏みとどまって描いたのも抑えた会話になっていて効果的。「イナバの物置」って台詞が凄い。これよく思いついたなぁ。 なにより役者の腕っ節が凄くて、キャスト陣の中ではベテランに近い菊池・内山の二人の会話はぞくぞくする感じ。若いキャストだと思われる三輪もよく食いついていてバランスはいい感じ。
「あなた〜」は、ホラーテイスト。一人の苛まれる気持ちに起因する誤解かと思わせておいて、というホラーっぽさはさすがに巧い感じで物語そのもので面白くなる感じ。あとから思い返せばブックオフを知らないとか、女優の卵とか不自然な言動が多くて、ああ、そういうことだったのかと巧く仕込んであります。真実はどうなのかさて、というところから一歩踏み込んでの種明かしっぽいラストシーンは出入りの場所を変えるだけなのだけど効果的。
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