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2008.09.29

速報→「アトミック・サバイバー〜ワーニャの子どもたち」

2008.9.28 15:00

原発をめぐるドキュメンタリー演劇120分。アルテリオ小劇場での公演は28日で終了。このあと、北海道、福島。

演劇と社会をつなぐことをテーマにしている構成・演出の阿部初美の去年の作品の再演だといいます。アタシは初見。発電から核燃料再処理に至る過程を小さな模型で行うパートと、映像を主体にしてチェーホフの「ワーニャ伯父さん」を引用しながら原発地元の地域の雇用や経済の行き詰まり感を描き出すパート、原発作業員の経験のドキュメンタリー文学「原発ジプシー」から施設内での緊迫する作業を描くパートからなります。

原子力の反対賛成ではなく問題を知ることから始めるというスタンスだと作家は当日パンフに書いていて、確かに知ってるようで知らない核燃料サイクルや作業についての話が2時間でわかった感。もっとも、やはり危険なものというとらえ方ではあって。電力会社側を揶揄するような、問題を知ることというには少々バイアスがかかっています。まあ、そう描くもんだろう、とは思いますが。

ワーニャ伯父さんの引用パートの多くは映像になります。前後のパートの準備の時間を割くためだろうと想像しますが、せっかく役者がいるのにもったいない感じで、これを芝居の枠にするのは少々無理な感じもあります。

「原発ジプシー」の引用は、私にはもっとも力を持って迫ってくる感じがあって、印象に残ります。防護服のための全身マスクの装着から始まって、限られた放射線量のリミットぎりぎりまで作業を行う人々の話は迫ってきます。

議論の前提となるまでをパッケージにして口あたりのいいわかりやすい啓蒙作品的な意味合いはたしかにあって、その意味ではあちこちで上演の希望があるというのはよくわかる感じはあります。

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