速報→「青猫物語」東宝
2008.9.14 13:00
M.O.P.で二回上演されたカフェを舞台にしたラブストーリー(未見)、東宝制作の立派な舞台に。シアタークリエのほぼ一年に渡るオープニングシリーズのラス前。20分の休憩を挟み150分。28日まで。
昭和8年、築地小劇場の裏手に位置するカフェ・青猫。女給に混じって二階に住み込む女は踊り子だったが今はほとんど舞台に立たず部屋で客をとっていて、人気になっている。劇場の楽屋口と店の勝手口は繋がっていて築地小劇場の役者やスタッフたちも出入りする。作家の男は踊り子に惚れているが打ち明けられずにいる。時代はきな臭く、反体制とみなされる新劇の役者たちにも国憲の手が迫る。
きな臭い時代の足音に翻弄される男女。本当の自分を偽っているということをモチーフに。若いニセ学生、誤解からとはいえ別人に間違えられた作家、あるいは思想を表出させない芝居しか許されない役者たちという具合に何層にも積み重ね。オープニングシリーズの最初の「音二郎一座」が中心に据えた浅草の「アチャラカ」を商業的の切り捨てる新劇の心意気。
休憩後あたり、芝居にまつわる想いのあれこれのアタリは休憩時間のビールが効いたのかちょっとうるっとくる感じ。こういうストレートな想いのあたりこそが、マキノノゾミ節。
マキノノゾミの名前が東京でも知られるようになってノリ始めたころの一本。キムラ緑子、三上市朗、小市慢太郎の三本柱に劇団としてのメンバーの多さが賑やかさを作り出すという、今のM.O.P.のスタンダードに近い感じがします。なんてことに気づいてしまうと、主役級の三人の向こうにM.O.P.の役者が透け見えてしまう感じに。黒谷友香演じる踊り子は確かに美しいのだけど、男に捨てられたと思い酒に溺れたり少々頭が廻らなかったり、同じようなネタで金を繰り返しだまし取ろうとするあたりのこの少々古いキャラクタを演じるには少々若すぎる感じ。北村有起哉演じる作家は実直でしかしコミカルな感じで役を消化。きたろう演じるマスターはいい人キャラクタだけになってしまうのはきっと元は違うんだろうなと思いつつ、でもアタシは彼がその場所に「居る」ということに痺れてしまうのです。
三人以外の役者は賑やかしの要素がどうしても多くなってしまうのもM.O.P.を原作とした芝居らしい感じなのだけど、女学校の寮を抜け出してきた女学生を演じた富田麻帆、それを追いかける寮監を演じた北村岳子の二人は目を引きます。
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