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2008.09.29

速報→「妄想協奏曲」PU-PU-JUICE

2008.9.28 19:30

アタシは初見。20人弱で125分。30日まで王子小劇場。

屋敷で暮らす人々。家主の女は四度目の再婚、三十にもなってニートな息子や恋人や居候や、知らない人やら出入りが多い。婚約を発表した男と女は周囲に祝福されるが男はどうしても女が秘密を持っているように思えてならない。兄弟を使って調べたりするがどうしても証拠が出てこなくて..

どういう出自の人々かはわかりません。美形だったりスタイルが良かったり格好良かったりという人々がたくさん。シンプルでわりとしっかりした美術は不安もないし、アタシが観た回の序盤で液体の入ったグラスを倒すというアクシデント(でしょう多分)にも迅速にきっちり。観やすく見せるためにどうしたらいいか、ということを役者達はカラダでわかっているという感じがします。

CoRichなどでは割と人気があるのに、アタシは機会がなくて観に行けなかったりどうにも触手がうごかなかったりという芝居がいくつもあって、東京って場所の間口の広さにびっくりするのだけど、たぶん、王子でやらなければ観なかっただろうタイプの劇団。評判もよくわからなかったのだけど、入ってみてびっくりの王子の客席を満員に、しかもキャットウォークまで入れての満員状態。それが日曜夜、しかも遅めの19:30開演なのだからたいしたもの。

テレビのバラエティショーのようなという感じがするのです。コントを挟みながらドラマを進めていくという感じがあって緩急は観やすい感じはしますが、このつくりならば90分ぐらいの密度で観たいところ。人物があまりに多くて、物語とは関係ない役も結構あって。

ほとんど見えてないのに殺し屋という役はエキセントリックな造形ですが設定の面白さと相まって面白い感じ。最後まで唯一崩れない主役の語り口はちょっとカッコイイが喉が不安定な感じ。客演のニート兄たちはキャラクタ勝負ではあるけれど、この造りのコントパートならば迫力のようなものは絶対に必要で、その意味では適任な感じ。

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速報→「アトミック・サバイバー〜ワーニャの子どもたち」

2008.9.28 15:00

原発をめぐるドキュメンタリー演劇120分。アルテリオ小劇場での公演は28日で終了。このあと、北海道、福島。

演劇と社会をつなぐことをテーマにしている構成・演出の阿部初美の去年の作品の再演だといいます。アタシは初見。発電から核燃料再処理に至る過程を小さな模型で行うパートと、映像を主体にしてチェーホフの「ワーニャ伯父さん」を引用しながら原発地元の地域の雇用や経済の行き詰まり感を描き出すパート、原発作業員の経験のドキュメンタリー文学「原発ジプシー」から施設内での緊迫する作業を描くパートからなります。

原子力の反対賛成ではなく問題を知ることから始めるというスタンスだと作家は当日パンフに書いていて、確かに知ってるようで知らない核燃料サイクルや作業についての話が2時間でわかった感。もっとも、やはり危険なものというとらえ方ではあって。電力会社側を揶揄するような、問題を知ることというには少々バイアスがかかっています。まあ、そう描くもんだろう、とは思いますが。

ワーニャ伯父さんの引用パートの多くは映像になります。前後のパートの準備の時間を割くためだろうと想像しますが、せっかく役者がいるのにもったいない感じで、これを芝居の枠にするのは少々無理な感じもあります。

「原発ジプシー」の引用は、私にはもっとも力を持って迫ってくる感じがあって、印象に残ります。防護服のための全身マスクの装着から始まって、限られた放射線量のリミットぎりぎりまで作業を行う人々の話は迫ってきます。

議論の前提となるまでをパッケージにして口あたりのいいわかりやすい啓蒙作品的な意味合いはたしかにあって、その意味ではあちこちで上演の希望があるというのはよくわかる感じはあります。

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2008.09.28

速報→「The Diver」世田谷パブリックシアター

2008.9.27 19:00

現代能楽集の第四弾として、野田秀樹とイギリス人俳優達との舞台。能「海女」「葵上」や、千年期を迎える「源氏物語」と現代の不倫を巡る殺人事件を組み合わせながらの90分。10月13日までシアタートラム。

殺人事件の容疑者として逮捕された女。しかし取り調べをしても自分が誰かということが毎日のように変わっていく。海女だっり天皇の子供だったり側室だったりと変化していく。古い物語をなぞっているように見えるが、そこには微妙な違いがあって..

ロンドンで絶賛、なのだといいます。シンプルな舞台に囃子、扇や能面といったぐあいでいかにも「外国人ごのみ」な美しいシーンが多数。不倫を巡り殺人事件に至る過程を、現代の取り調べの場面と古い物語をなぞる場面を自在に行き来しながらたった4人の俳優達によって描いていきます。

正直なはなし、コミカルさも多くて観やすかった「The Bee」に比べると静かで、見た目には単調に思えるシーンが圧倒的に多くて誰にでも観やすい芝居ではありません。日本人の常識なのかもしれないけれど、ベースの物語の背景をある程度頭にいれておいたほうが観やすい感じはします。

かの大モテ男を不倫男ととらえ直し、女性側の視点で募る思いや嫉妬を理不尽にくすぶらせ続けている人と描きます。2人殺したのか4人殺したのかに拘る終盤とした理由はいまひとつ見えませんが、アタシには現代の事件とベースの物語を切り離すポイントにしていると読み取りました。

ネットは便利なもので上記の「葵上」の説明によれば、小袖だけで人一人を描くのは能の表現なのだとわかります。さすがにそれだけでは無理と見えて役者と入れ替わらせて人と見せるのはわかりやすい感じで印象に残ります。

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速報→「STAR MAN」KAKUTA

2008.9.27 14:00

若い若いと思っていた作家、大人の寂しさに焦点が当たってきた最近、その流れと感じるKAKUTAの新作はアタシの気持ちに沁みいります。10月5日まで青山円形劇場。約120分(アナウンスは1時間52分。5分押しで始まり15:57分終演。をを。)

会社をサボってキャンプ場にやってきた男。一人の一見客を断ろうとする管理人の夫婦だが、毎年来るという女の一人客の機転で泊まれることになる。一人客を断るには理由があるのだという彼女の話によれば。
数年前やはり一人の生気を無くした男が訪れ自殺を企てようとした彼に、当時雇われていた近所の中年の女が声をかけ、それがきっかけで男はキャンプ場で働くことになる。が、その淡い恋心はうまくいかず。

かつては断っていなかった一人客を断るという一途な想いの暴走をかなり早い段階で予感させながら進む枠組み。どこか浮いていてどこか気持ち悪いという男が、冴えない未亡人に魅せられ彼女は自覚してなくて。 4年ほどの時間の流れを重ねていきながら、想いが堆積していく様子をしっかりと。同時に、戯画的に毎年やってくる4人組の若者の恋のさやあて友情物語を挟みながら、笑わせて登場人物にも観客にも落差を実感させていkます。

印象が薄くて引っ込み思案で、という冴えない男を演じた横山真二が好演。ある種の気持ち悪さをきっちりと。「南国プール」(1,2)で彼が演じた印象の薄い男に通じるところもちょっとあって。 彼にあこがれる未亡人を演じた原扶貴子、語り部視点としての女を演じた高山奈央子、観客の視点に居続ける若狭勝也など、KAKUTAの役者ばかりという座組は勿論しっかりとした安定。

自分が一人だな、浮いているなという感覚は年齢を重ねるほどに強く感じるようになるのはアタシだけでしょうか。会社をサボることも、何もかもから逃げ出して来てる男も一歩間違えばストーカーなのだけど、想い続けているだけで一歩を踏み出せない人、に対して作家の視線はとても優しく、絶妙のバランスを見せてアタシの気持ちにしみこみます。

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2008.09.27

永遠の41歳といったのは

天才バカボンのパパ。昭和元年生まれの設定で連載開始が1967年ゆえ。で、気がつけばアタシも同い年。ああいうアナーキーで、でも孤独ではないという人生と、先週のナイロン100℃の公演はあまりにも違ってるというのは時代が良くないのか、それとも個人の差なのか。なんてことを思いつつ。

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2008.09.24

速報→「4x1h Play #0」4x1h project

2008.9.23 19:00

黒澤世莉の演出をさまざまな作家の新作で行うというプロジェクト。リーディング( 1, 2) を経て選んだ二つを。28日までルデコ。休憩10分を挟み90分。これからご覧になるならなるべく正面、すこし奧側だと思うのですが。真ん中の大きな柱に、二本目で黒板的なものが掲げられたりするのでそこを見えるように。

遅刻しそうな女子高生が普段乗らない地下鉄に乗って痴漢にあうのだけど、その中でスルーした胸ばかり触る人が気になって「ひとさまにみせるもんじゃない」(中屋敷)。
ルームシェアしてる女ふたり。居候している女はのんびりしてて。働いている女の鬱積は料理、ゴミ捨ての自覚の無さに破裂して「いそうろう」(篠田)。

中屋敷脚本は、どこまでいっても柿の口調になってしまうのだといいます。リーディングでは役を固定していたけれども、戦闘態勢のシャツ・パンツに着替えた役者達が台の上を争って、役を奪うという趣向。それぞれの役にポーズが決められているので、誰がやってもその役だということを明示してわかりやすくしています。間に挟んでリピートする口語劇はちょっと面白いけれども、脚本がそれ以外の描き方を許さない強固さを持っていることがわかってしまったりもするのです。

篠田脚本の方が、もともとの話からしてアタシの好み。親兄弟以外と同居ということをしたことがないアタシなので他人同士の苛つきを実感として判らないのですが。一瞬で破裂して酷い言葉を投げつけて出ていった女、その大声で泣くあたりや昼寝あたりがアタシのツボ。

酷いと思っていても、暮らしていた人が居なくる喪失感。途中の過程で二人で「現場検証」を始めるのが面白い。ポイントとなる場所に気づきながら検証がちゃんと進んでいくのはワクワクもするのです。

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速報→「シャープさんフラットさん」(ホワイトバージョン)ナイロン100℃

2008.9.23 13:00

15周年を迎えたナイロン、作家の苦悩を描く2バージョン。今日観たのはホワイト版。150分。10月19日まで本多劇場。

笑いで人気の劇団の作家。執筆作業のなか、死んだ父親の姿が見えるようになったりする。 バブルの時代、公演の稽古の途中で全てをほっぽりだして雲隠れしサナトリウムに逃げ込む。そこには売れないまま歳を重ねてしまった芸人とか普通のオヤジとか。そのサナトリウムに、芸人の前の相方の女が偶然訪れる。彼女は劇団の前の公演をみていて熱心なファンで笑いツボが一緒で。

作家の自伝的な、といえば書けない節に陥りがちですが、さすがにケラ、そんな凡庸ではすみません。頭の中で溢れる笑いがどんどん尖鋭化していき、観客とも劇団員たちともズレが拡大していき、どんどん孤独になっていくのです。

シャープやフラット、というずれてしまった人々をゆっくりと、大爆笑もなしに描いていくのです。 作家はやがて、友人の昏睡状態を笑いにしたりしていきます。「笑ってはいけない笑いなんかない」という宣言は、もしかしたら表現をどんどん狭めていこうと暗躍する世間に対する宣戦布告なのかもしれません。

とはいえ、アタシも普通に暮らしているので同意はできないこともそこかしこ。 熱心なファンと当事者を目の前にしながらもタブーな笑いにはまりこんでいく姿は両手をあげて賛同はできないのだけど、そうせずにはいられない作家の姿は業の深さを鮮やかに描き出すのです。

セットと映像の融合、という近作での手法はより洗練されてきていて美しさすら。スタイリッシュというのはこういうことを云うのだなぁと思うのです。

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2008.09.23

速報→「HERE I AM〜ドン・キホーテがやってくる!」東京デスロック

2008.8.21 20:00

三本立ての中ではもっともとっつきやすい「発情期」編は、演劇の様々な手法を全面的に信用したところからのスタートなのだといいます。60分+作品解説40分。23日まで、リトルモア地下。

ドン・キホーテそのものを一人語りに。客席を従者に見立て、観客は従者の視点でドン・キホーテの行動を目にする、という構成。壁に突進したり、していきます。

ドン・キホーテについて、物語を殆ど知らないアタシです。風車に突進する話か、ロシナンテか、あとはピアス@鴻上尚史か。物語のエッセンス、おかしい人を笑う第三者の視点ではなく、それについていく従者の立場の客席。あれ、これについてって失敗したかなぁ、なんでこんな無茶ぶりされるんだろうとか、ああ、彼なりに上に上がろうとしているのだろうなと思ったりのさまざま。大笑いする舞台は主に高校生のようなネタをいい歳した大人がやってるってことに起因するのですが、それに巻き込まれるうちに、なんか自分の姿を見てるほろ苦さを感じるのです。

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速報→「CASTAYA」東京デスロック

2008.8.21 17:00

三本立ての「倦怠期」編と題して。演出の意向で出演者非公表、その演出家自体もほとんどプロフィール無く。60分+初日を除き今作に限り全公演で作品解説を行っているとのこと。

アタシは好きではない形式です。こちら側の体力や、何を面白がって時間を過ごすかを試されるという感じは有って、でも結果的には面白かったな、と思えるのです。

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速報→「ジャックとその主人」東京デスロック

2008.9.21 14:00

アゴラ劇場の国際演劇月間での、デスロック三本立ての「蜜月期」編。奇っ怪な小説をもとにしたしばいなのだといいます。60分。23日までリトルモア地下。3本立ての日は作品解説が約40分。スイスからのテアトルと同じタイトルを。

天井に台本、出てきた役者は、ここで何が起こるかを語る。もう一人の役者が出て芝居は始まるかにみえるけれども、行きつ戻りつ。

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2008.09.21

速報→「あんこを舐めた薬指」バナナ学園純情乙女組

2008.9.20 19:00

バナナ組の新作。中屋敷脚本は変わらず、イベント色の強い分物語薄め。休憩15分を含み80分。土曜夜は開演15分押し。20日までの2ステージ。阿佐ヶ谷ロフトA。

中学の卒業にタイムカプセルを埋めた同窓生。学祭の売り上げも入れてそのカギを生徒のだれか一人の体に埋め込んだ担任。高3になって同窓会をひらこうと準備を進める中、生徒の一人がばらばらの死体となって発見された。だれがカギを持っているか知る担任はすでに他界し、同窓生のみが知るだけの秘密ゆえに犯人はその中に居るはずで。

面白そうになるいくつかの断片を含んではいるものの、広くはない場所でダイナミックな芝居というわけにもいかず、しかも物語は何かのプロローグを見せるようで完結せず、だらだらと続編がつくられる最近のホラーのような中途半端さが残るのは主に作家の領域で、さすがに公演が多すぎるのではと感ぐってしまったりしますが、イベント公演なのでもしかしてダンスの方が主役なのかと思ったりも。

少ししかでてなくてもさすがに目を引く役者多数。二階堂瞳子、加藤真砂美、野田裕貴は本公演でも見せる安定。「同級生のロボット」なる無茶ぶりの役を演じた、ばんない美貴子の(無駄な)筋肉自慢が可笑しいが、ポーズが決まる感じで美しい。浅川千絵は、前作と同様、終始ものがたりにからまず周辺をうろうろしているばかりで意味を測りかねるのだけど、時にはツッコミだったり、時には解説だったりとちょっと面白い。

劇団側か劇場側のことかはよくわからないのだけど、この長さの芝居で休憩を15分も挟むのは折角の物語をぶつ切りにしてしまって勿体ない。本来トーク居酒屋のロフト系列なので休憩を挟むことでオーダーに繋げたいはずなのだけどこの晩に限れば料理もろくにない状態でしたしテーブルもないのだから意味はよくわかりません。100名近い予約をこなすわりには名簿を名前の順にソートすらしていないために受付にえらく時間がかかったのも(二日間ともそうだったと聞きます)、あまり巧くない感じ。

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速報→「續・河をわたる」菅間馬鈴薯堂

2008.9.20 14:30

年齢を重ねた作家の年輪と若い役者たちのイキオイと。23日まで王子小劇場。80分。今作はありませんが、この作家の台本はネットで読めるモノも多く、受けて立つ潔さが凄い。

隅田川の川べり、堤防のすぐ横のバラックに住むホームレスたち。しばらくここに住んでいたが、懇意の区職員の努力かいなく立ちのくことになるが、その前に水泳大会を開くことにして。

。 当日パンフに折り込まれたいつになく長い文章の作演の文章。ロビーにはまた別の公演記録と文章が配られています。イメージとしての異界の姿を描いたのだという22年前の舞台の続編となるのだといいます。最近作のCoin Laundry(台本)も、雰囲気はよく似ています。

かならずしも全員が巧いというわけではないのだけど、若い役者たちをそろえ、小さな二人ないし三人の芝居をグランドホテル形式のように重ねていきます。バラックに住む彼らの姿をシンボリックに描きます。

物語はリアルというよりは、むしろファンタジーの色合い。作家の独り言を重ねているような、一見ぶっきらぼうにも見えるようなシンプルな文体で、作家の詩に耳を傾けてるみたいに。

日常からの逃げ場、「あまやどり」の場としてのバラック。出会ったり、わかれたり喧嘩したり独り言したりとさまざまな光景。この場も結局は追い出され、流れていく人々の姿。天草という場所はおばさんと呼ばれる女の故郷というシンボルで、ここを追い出された人々が目指すべき場所として描かれますが、今作に関して言えばこの場で起きているさまざまな光景を切り取った方に重点がある印象があります。

ここの芝居を見慣れているあたしには見慣れた役者たちの芝居を見ている安心感はあるけれど、初見でこのフォーマット、どう見えるのだろうという気がしないでもありません。古いといえば古い感じだし、若い役者たちの勢いとはいっても、大学生とか高校生というわけではありませんから、勢いだけで押すには難しいところ。

空手娘の惚れ顔がすこしいい。水泳大会は眼福とまでは至りませんし水着が派手というわけではありませんが、華やかな感じが楽しい。

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2008.09.19

はじめましてのひとと。

オフィシャルな場で初めましての人と会話するのは嫌いじゃありません。その人となりをみるための30分なり1時間なりは凄く興奮する時間。でも、そこから選んだりするのは仕事だとしてもあんまりねぇ。

ちゃんと知り合ってから、あるいは仕事場で仕事とは関係ない無駄話を振れなくなってしまったのはいつこことからか。おもえばあの人の駄洒落も、あの人の大声も、そういうスタートメニューだったか、なんてことを気づく、オヤジの歩みをもう一歩の一日。

飛び石の連休。ここで休むわけにはいきません。10月の福岡、さてどこにしたものか。

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2008.09.16

速報→「月並みなはなし」空ゼLABO

2008.9.15 18:00

ワークショップから立ち上げる、ラボ公演。110分。15日まで再夢来(西武池袋桜台駅)。

月移民に選ばれなかった残念会に集まる人々。そこになぜか職員が来て、別チームの欠員を埋めるために6人の中から月に行く一人を60分で選び出せと命じて。

時間堂のオリジナルが4年前、今年は他団体の上演が続いています。選び取る、選び落とすという過程を通じて別れていくこと、一緒に居ることの重要さをベースに月に行きたい人々、というテキスト。

時間堂の再演だけを見ているアタシです。一人を除いて全て違う役者。オリジナルの役者が透け見えることもありますが、大きな問題ではありません。

おそらくは再演のテキストをそのままなのでしょう。演出家の意地ということは理解しますが、一言二言の台詞を削らなかったがために、役者の技術とはまったく違う理由で説得力を台無しにしてしまうのはあまり良くない気がします。ならばキャストを入れ替えてでも説得力を持たせるべき。それを別にしても、台詞の一つ一つが、こいけけいこというオリジナルの役者を思い起こさせるということはつまりアテられているテキストの難しさなのだと思います。(2008.9.18 追記:作家の黒澤世莉さんよりコメント頂きました。アテ書きなのではなく、まず脚本ありきであとからキャストなのだそうです。)

宇宙開発のプロ、インドアの人、という二人の男はオリジナルとは違う人間をちゃんと成立させていて目を引きます。

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速報→「ネズミ狩り」チャリT企画

2008.9.15 14:00

逃げ場のないシリアス感なのに引き込まれ見ごたえ十分な110分。16日まで王子小劇場。

個人経営の蕎麦屋。事件があってから1年、従業員も育ってきてひと安心しようとしていたが、記者と名乗る男がやってきて嗅ぎまわる。店主が殺された事件の身内だけではなく、従業員たちにもその手は及んで。

「うわさ」という正体があるんだかないのだかわからない不気味さを、天井裏のネズミの足音になぞりそれを不気味に思う人々。凶悪事件の犯人たちが町の中、わたしたちのとなりで生活しているかもしれないという不気味さに重ねながら話を進めていきます。

凶悪事件や少年法、死刑反対論者や心の傷、更生やそれを社会が受け入れられるかという事件にまつわるさまざまな立場を丁寧に物語散りばめるのは一歩間違えば散漫になりますが、きちんとその場に説得力を見せてまとめていきます。

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2008.09.15

速報→「青猫物語」東宝

2008.9.14 13:00

M.O.P.で二回上演されたカフェを舞台にしたラブストーリー(未見)、東宝制作の立派な舞台に。シアタークリエのほぼ一年に渡るオープニングシリーズのラス前。20分の休憩を挟み150分。28日まで。

昭和8年、築地小劇場の裏手に位置するカフェ・青猫。女給に混じって二階に住み込む女は踊り子だったが今はほとんど舞台に立たず部屋で客をとっていて、人気になっている。劇場の楽屋口と店の勝手口は繋がっていて築地小劇場の役者やスタッフたちも出入りする。作家の男は踊り子に惚れているが打ち明けられずにいる。時代はきな臭く、反体制とみなされる新劇の役者たちにも国憲の手が迫る。

きな臭い時代の足音に翻弄される男女。本当の自分を偽っているということをモチーフに。若いニセ学生、誤解からとはいえ別人に間違えられた作家、あるいは思想を表出させない芝居しか許されない役者たちという具合に何層にも積み重ね。オープニングシリーズの最初の「音二郎一座」が中心に据えた浅草の「アチャラカ」を商業的の切り捨てる新劇の心意気。

休憩後あたり、芝居にまつわる想いのあれこれのアタリは休憩時間のビールが効いたのかちょっとうるっとくる感じ。こういうストレートな想いのあたりこそが、マキノノゾミ節。

マキノノゾミの名前が東京でも知られるようになってノリ始めたころの一本。キムラ緑子、三上市朗、小市慢太郎の三本柱に劇団としてのメンバーの多さが賑やかさを作り出すという、今のM.O.P.のスタンダードに近い感じがします。なんてことに気づいてしまうと、主役級の三人の向こうにM.O.P.の役者が透け見えてしまう感じに。黒谷友香演じる踊り子は確かに美しいのだけど、男に捨てられたと思い酒に溺れたり少々頭が廻らなかったり、同じようなネタで金を繰り返しだまし取ろうとするあたりのこの少々古いキャラクタを演じるには少々若すぎる感じ。北村有起哉演じる作家は実直でしかしコミカルな感じで役を消化。きたろう演じるマスターはいい人キャラクタだけになってしまうのはきっと元は違うんだろうなと思いつつ、でもアタシは彼がその場所に「居る」ということに痺れてしまうのです。

三人以外の役者は賑やかしの要素がどうしても多くなってしまうのもM.O.P.を原作とした芝居らしい感じなのだけど、女学校の寮を抜け出してきた女学生を演じた富田麻帆、それを追いかける寮監を演じた北村岳子の二人は目を引きます。

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2008.09.14

【落語】「末廣亭深夜寄席」(2008.9.13)

2008.9.13 21:30

客なんて居なかった昔の深夜寄席をすこしだけ囓ったアタシには同じ回とは思えない超満員200名。下席から真打ち昇進する5人、二つ目しか出られないこの会からの「卒業興行」と銘打って。

「宗論」三遊亭あし歌(→歌橘)
「初天神」三遊亭歌彦(→歌奴)
「新・生徒の作文」春風亭栄助(→百栄(モモエ))
「岸柳島」古今亭菊可(→菊太楼)
「豊竹屋」古今亭志ん太(→志ん丸)

夜にフタコマ確実にという流れで教えて貰った組み合わせ。たしかに近いし楽勝。末廣亭前からゲーセン角をまがって見えなくなるぐらいの行列。どの噺家も多分初見のラインナップ。深夜寄席とはいえ、昇進間近ですからちゃんと盛り上げる熱気。

「宗論」はねた自体があんまり好きじゃないんですよねぇ。キリスト教かぶれの口調で笑わせるという理解のアタシですが、差のあることが笑いには繋がらないような気がして、彼に限らずどうも入り込めない。

「初天神」は笑わせ話のスタンダード感、安心。仕草で笑わせることが噺家でのバリエーションだけど、大喜びする子供のあたりとか、舐め取る所とかに笑う。

「新・生徒の作文」は読んでて突っ込むだけ、という構成なので終始目を伏せてる感じでどうにも落語としての立体感が出てこない感じ。それぞれの作文はそれなりに面白いのだけど、どうも「父親の職業」からのオチ、あんまりなぁ。これはブラックというのとは違う気がするなぁ。だってこう落とす意味がわからない。

「岸柳島」と書いて「がんりゅうじま」と読ませるのがちょっと洒落てて好き。もと来た岸に戻って果たし合いだというあたりの頭のいい展開がスマートで、結構好きかもしれない。初めて聴いた。武士らしい安心の重厚さよくあっています。ところどころ口調が怪しいところもあるけど。

5人のあれこれを枕に引きながら、「豊竹屋」は都々逸の唸り具合での大爆笑編。おかしな趣味を持っている男の所に、共鳴するように同好の士が集まってしまうあたりは、ちょっと「天才バカボン」を思い起こさせる感じ。バカボンのパパのところに、バカ田大学の後輩とか同窓生が次々やってくる感じがして楽しい。

よみうりテレビ制作の「ミヤネ屋」なるテレビ番組のカメラが入ってましたが。開演前にレポーターが「客席も撮影する」と一言言ったとはいえ、立ち見も出ている超満員の客席にカメラを立て、問答無用に客席を撮影する必要はあるのかしらん、ちょっと嫌な感じ。そのテレビを枕に振らない5人はしっかりしてる。

客席も写真・写メを撮ったりする客が多くて、すくなくとも一人目は出てきた瞬間の写真を撮ってる客。客席が荒れているということも実感しますが、それを放置しておくということは、寄席としてそれでいいと考えてる、ということになってしまうと思うのだけどどうだろう。

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速報→「あしたから思春期」夜ふかしの会

2008.9.13 19:00

便宜上芝居のカテゴリにしていますが、男ばかりのコント集団のライブ。お笑いってのは流行ってるのだなぁと思わせる満員。90分弱。14日までシアターモリエール。しばらく来ない間にこの劇場のラインナップ、お笑いが中心になってたりします。あれれ。

タイトルは、勝手につけています。
思春期にやりそうなことを列挙「中2ビンゴ」
思い出せないことの電話相談に「ヒント屋」
二人のライフセーバーの女、片方は失恋したばかり。そこに運ばれてきた男に「人工呼吸は」
突然訪れてきた親戚と名乗る男が打ち明ける秘密「ハトコのモトアキ」
幼なじみの美容師のカットモデルになった男、その仕上がりに自信満々の二人「イケてる」
ずらっと並んだ本を片っ端から「要約」
(V)「名作に一言足してダメにする」
飛行機の中での急病人、医者を呼ぶ声に自信満々で手を挙げた男「お医者様は」
コンビニ店員が一人になった隙に「言い出せない」
DJ卓を挟んでの「ダンスバトル」
父母からのクレーム対策のための「オギクボ幼稚園朝礼」(大喜利)
久し振りに会う男4人、一人が計画していたのは「同窓会の目的」
「中2ビンゴ」

役者の人気に甘えるでもなく、私生活の切り売りでもなく、ほぼちゃんとコントネタばかりのラインナップ。ライブのお笑いというのが今どうなってるかはよく知らないのですが、テレビでは3分5分のネタで勝負するしかない世知辛い昨今は、年齢が高くなってきたアタシにはせわしなくて、それに比べたらずっとアタシの気持ちの流れにはちゃんと合っています。

ネタが全体的に優しい感じで鋭い切り口での笑いでも、ドロドロ愛憎劇はあっても下ネタも殆どなく、誰でも気楽に楽しめるような構成はちょっと楽しい。ヒント屋の発想とか、言い出せない人の焦り感とか、ダンスバトルの微妙に踊れてたりすることとか、要約ネタでの某野球漫画要約の思い切りの良さとか、そこかしこちゃんと「可笑しいこと」を考えて作ってる感じ。大爆笑になるネタが多かったとはいえないのだけど、ちゃんと考えている、という姿勢が実は好きだったりします。

当日客がそう多い訳ではないのだけど、溢れる客を捌ききれず。微妙に同業界っぽい若者たちもこの混み合うだろう休日の回にまとめて遠足のように入り口廻りに固まっているのが混雑に拍車をかけていて、一般客からみるとあまりいい印象は与えません。ましてや10分押し。

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2008.09.12

英語がねぇ。

ほぼ一週間にわたる会社でのサミット的会議群。引き継いだ後に事務局と名乗ってみたモノの、まあ、場所さえ確保すれば話すことがある人もいるわけで、面倒っちゃ面倒だけど面と向かうことの意味はあるのかと思ったり。

日常会話はできるというより辛うじて意味をくみ取って貰えるものの、本題の英会話はやっぱりかなり劣化していることを痛感。でものど元過ぎればで、その力を向上したり持続したりという努力、忘れちゃうんだろうなぁ。

連休だ。

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2008.09.08

速報→「弔」クロカミショウネン18

2008.9.7 19:00

二劇場公演のアナザーサイドはとなりのOFF OFF。時間も公演期間も一緒。どっちか一つならばまずはキャパの少ないこちらの方を。

通夜の日。妻を失って夫はもう正気があやふや。喪主となった長男にはあれこれの自業自得な災難が。

役者は10秒単位の精度での行き来をしているのだといいますが、芝居を観ているだけではよくわかりません。劇場の外でそれを見ようかとも頭をよぎりますが意味がないので思いとどまって。(CoRich動画に稽古風景の動画) どちらを先に見ても話はちゃんとつながりますが、確かに小ネタ的に繋がるあれこれの謎があって、両方見ればすっきりするのも事実で。

なんていう仕掛けを別にした場合、小さな空間でそれほど多くない人数で構成し、追い込まれる状況をつくり、笑いにする構造という物語自体の面白さはこちら側に軍配。よく考えれば下手側のふすまの向こう側には出捌けスペースはなく、舞台裏は庭として見えているという物語とは全く関係のない制限もわるわけで、その中で緻密に人を動かしているというのは一種のパズルでそういうのにとことん弱いアタシはもう、ただただ楽しむのです。

浮気だなんだというネタをいれつつも、全体に優しい感じなのはクロカミ節の真骨頂。人の想いとか居なくなってしまった人への想いとかということをしっかりと。そんな話を眺めながらも全体には爆笑編で、気楽に楽しめるのです。

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速報→「祝」クロカミショウネン18

2008.9.7 14:30

トリックアートのように緻密につくりこんだ、しかし気楽なコメディ。二劇場を同時に別の公演としながらも出演者が行き来するという形態の、駅前劇場編。100分。15日まで。

オーナーの母親の通夜の日。母の意思でその日も営業していたレストランに来店した女は予約していたはずの式をするために来たのだという。続々と集まる人々はしかし、通夜でも式でもない人も居て。

ネタばれかも

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2008.09.07

速報→「トカゲを釣る-改-」スロウライダー

2008.9.6 19:30

閉館を発表したTHEATER/TOPSという場所をどうしてもすぐ見たくて。ホラーとその裏に潜む人間の怖さの120分。7日まで。

山の中の研究施設とは名ばかりの小屋のような場所。暑い夏の日でも山を下りることなく研究に没頭する日々の研究員たち。が、そこで研究の結果生まれたモノに恐れをなした男は本社から人を呼ぶ。5年ぶりに訪れたその場所にはもとの同僚たちがいて、そして新しく開発されたのは。

ネタバレかも

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2008.09.06

速報→「無重力ドライブ RacerX」JAM BAL JAN JANパイレート

2008.9.6 14:00

JBJJPの新作。ちょっと癖ありなので、前のめりで掬いあげるように見るべし。90分、8日まで王子小劇場。

さまざま点描。0gと1gの会話から始まりリミットさん、宇宙の旅をシミュレーションしたり、お姫さま出てきたりピクミンザウルスでてきたりと。

重さというところを起点にして、さまざまなジャンルのさまざまを織り込みながら、ものがたりというよりは、作家の思い描くあれこれにぐるぐる回る感じで進みます。物語を追おうとかんがえるとあっというまに迷子になり、一歩間違えば頭のオカシイ人になりかねない彼女の作る世界に自分を委ねながら、しかし前のめりになってしがみついて観るのです。

以前に比べれば何をいってるかさっぱり聞き取れないということは減っていて、初日ゆえの不安定さというのもあまり感じません。もっともまだまだ変えていきそうな気もします。

ネタバレかも

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新宿のてっぺん。

THEATER/TOPSが閉館を発表(fringe.jp)したとのことです。コマ、アプル、ベニサンなど劇場の閉館の発表が続きます。

新宿の街の真ん中に、街の喧噪からははっきり分離できて、しかも濃密な空気とどの席からでもちゃんと見やすい急傾斜の客席。後方は後方で近い天井が楽しい劇場です。東京サンシャインボーイズを見ることは出来なかったけど、この劇場の双数姉妹、ラッパ屋、月影十番勝負、Curate246-T、青島レコードなど印象的な芝居が数々。そしてもちろん、「休むに似たり」の初演・再演もこの劇場。当日券を求めて階段に並んだ(夏は暑いけど、雨には降られない)、終演後にごった返したり、買い損なったシアターガイドが必ず売ってたりと芝居を観るアタシ達の感覚に合っていたというよりは、この劇場にアタシは育てられたよなぁと思うのです。あと何回観られるのだろう、この劇場で。出来る限り通いたいのです。

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