速報→「血が出て幸せ」クロムモリブデン
2008.8.2 15:30
クロムモリブデンの新作。3日までシアタートップス。90分。
深夜のファミレス、遠距離恋愛の彼氏と電話で話しているらしい上京しばらくの女は少々の虚勢を張ったりもしている。客が増えていく。カッコイイ男、それに惚れて即辞めちゃうウエイトレス、物語を書く女、業界っぽい男とか。厨房の男一人で店は混乱して..そこにもう一人、保健所から来たという彼女は。
物語という嘘を望む女王、でも物語にはすぐ飽きて次の嘘を所望する。頭の中の物語でもあるけれど、前半で見えているそれは世間の目だったり自意識だったり。やがてパーソナリティを切り売りするような一見、地味な事実すら物語として消費したくなって、という感じ。
今のリアルな日本で起きている、衝動的な殺人のさまざま。作家はそこから発想して、だれでもいいから殺したいという衝動だけではなく、それを見物したり、自発的に殺されたりということすらも娯楽になってしまっているように描きます。それは今の日本の現実のそのままではないけれど、ネットでの騒ぎ、秋葉原で多く撮影されたビデオの映像、なんてものを補助線にしてみると、ちょっと斜めから切り取ったようなリアルだったりもします。
じゃあ、その犯人の頭の中で起きていることななんだろう、というのが終盤の中心。 頭の中で騒いでいる何人かが自分を衝動的につき動かしてしまう。前半はその頭の中の風景で、後半はそんな犯人を外から見ている感じで。
陰惨なリアルを切り取りながらも、舞台はきわめてポップなのが彼らの真骨頂。キャラクタが多彩で癖があってカッコよくてという役者の魅力もそのまま。トップスの空間は広さという点ではこの物語にちょうどいい感じはするのだけど、たとえば王子小劇場で観たときのような爆音に包まれる感という点では、舞台にスピーカーを吊ってこれ見よがしにしてる割には、彼らのウリだけに少々物足りない感じも。まあ、劇場なりの理由もあるのでしょう。
若手だとおもっていた渡邉とかげを強力にフィーチャー。対になるかのような木村美月は見た目、どっかで見たことあるような感じになってしまうのは、美人ゆえに悩ましいところ。(鳥居みずき、だと云った方、うまい。似ているあのタレントも美人だと思う、あたしは)客演・伊東沙保は一気に変な世界に観客を引き込んでいくところが強力で無機質な喋りも可愛らしい。男にまとわりつくシーンがちょっと好きだったり、びっくりの早変わりも注目。
顔も服も変わっていく彼女の姿をずっとみていた、というあたりのくだりがちょっと好き。 偽装をめぐる謝罪のシーンもたくさんある謝罪会見をリミックスしたようで楽しい。
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