速報→「地獄のKiosk」スパンドレル/レンジ
2008.8.23 15:00
王子の演劇祭も盆休みの落語会を挟んで終盤。スパンドレルレンジの新作。100分。25日まで王子小劇場。
地中で暮らす人々。地上に出たことがなく、しかしここではない何処かに逃れたい気持ちもある。水場の前ににKioskと名付けた店を持って、地中から掘り出した缶詰を物々交換したりしている店主と妻と娘が居る、娘は明日実力者の嫁に選ばれてここから出ていくのだと夢見ていて。
生演奏のピットが上手奥、地表を摸した八百屋舞台。水場が下手手前。 全体の薄い照明以外は下側から照らす照明のみ、というわりと薄暗い中で進む芝居。 ランプや蝋燭を多用し、モグラの話を最初に入れて地中の話だと印象づけようとしているのですが、王子小劇場のタッパの高さが災いして、しかも奥の壁を隠したりしないものだから、広大な空間になってしまっているために地中に見えずにしばらく物語の場所を掴むために苦労します。
妻や娘は王の嫁になることでここから出ていきたいと願い、店主はまた別の方法でここから出ていくためのキッカケを持っていて、しかも機会を狙っている。空も海も見たことがない店主が手に触れることのできない「お宝」を知っていて、それを自らの希望にしていて。そこに集う人々もここから逃げ出したいという気持ちにあふれた人々。それでも逃げ出すきっかけを見つけづらいままの閉塞感の毎日。
地上に出る夢を見ている店主の言葉はさまざまな夢を語りはするものの、舞台のうえではそれが具体的な形になることはありません。店主が代変わりして何かは発見されたようでずいぶんとあか抜けたように見える終盤。妻や娘の態度や、あるいは戻ってきてしまった男など、何かが大きく変わったということはわかるのだけど、それがあたしの気持ちを揺らすまでには残念ながら至りません。男が戻ってくるきっかけとなったお宝、もあれほど引っ張ったわりにはわりとあっさりとしているのも伏線張りっぱなしな感じで勿体ない。
全体に薄暗く荒廃した感じの見た目で進む舞台の中では、娘と妻の変化が見た目にあたしの気持ちを鼓舞して楽しく、役者の中では健闘しています。それにしてもスクミ、という名前であの衣装というのはシチュエーションにはあっていますが、それはそれでどうなのだと思ったり思わなかったりします。何て云うんだろう、そういう「雑」な感じに見えてしまうのが、勿体ないのです。
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