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2008.08.10

速報→「7の椅子 4」7の椅子

2008.8.9 14:00

短編オムニバスを固定メンバーで上演するナナイスの新作。105分。10日まで劇場MOMO。

不倫のカップルを別れさせるよう依頼された別れさせ屋が仕組んだのは、男を威した情けない姿を見せて女を失望させようという作戦で「脱皮しないヘビ」。 町で妻がみかけた夫の姿は、路地で地面に向かって何かを執拗に調べている風で疑問は疑いに変わり「ジグザグカメレオン」 修学旅行の積立金が紛失した学校の職員会議。教育委員会から調査官が送り込まれてきて「イグアナの目」

固定したメンバーで客演を呼ばないスタイルの本公演。以前はもう少しコミカルな色が強かった気がするのですが、両生類をタイトルに掲げた三つの話は少しずつスタイルが異なります。

ネタばれかも。

「ヘビ」は頼りない別れさせ屋の相棒の代わりにひそかに頼んだ代打が、という話。実際のところ、その犯人が何者かというのは早々に観客にもわかってしまうわけで、そこが物語のポイントというわけではなさそうです。終幕のいい話っぽいところは話全体からすると、とってつけた感が否めないのがちょっと残念。

「カメレオン」は、星新一的なちょっとダークファンタジーというか教訓っぽさを持つSF風味。路地に忽然と現れた穴に何かを入れると、それに等価な何かが戻ってくる、という骨格と、そこに落ちた人間を取り返すために戻ってきたものを放り込んでももとには戻らない、というのが投げ込んだ人間の意図がからむ、そう考えた夫が、というあたりが洒落た感じでもあったりします。コミカルな部分の大部分は、本筋とはまったく関係のないノイズになっていて、それは役者になれているあたしには楽しいけれど、もっとタイトな仕上がりの仕上がりだと凄みがあってよさげな感じがします。

「イグアナ」は犯人探しのあれこれ、とはいいながら話そのものはそれほど込み入ってはいません。ほぼ出落ちの調査官のネタで強引さを持って引っ張る感じがあって、でも結果的は多分一番笑いも多くて見やすい感じがします。

三本を通して、看板とでもいうべき井口千穂のコメディっぽさが突出していて、特に三本目でのアイディアは単純だけど力技で押し切る力があります。美人美形がそろい芝居も安定している役者陣ではあるのだけど、コミカルさという点ここに対抗できる軸がほしいところなのです。

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