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2008.08.11

速報→「生憎」劇26.25団

2008.8.10 19:30

今回の佐吉演劇祭では唯一の女性作演であるニイロクテンニイゴウ団の新作。モヤモヤはそのまま感じるのが吉。100分。12日まで王子小劇場。これからご覧になるならば場内アナウンス通り、入り口から見て奥の方がバルコニーや入り口のあたりもよく見えます。

人里離れた村につくられた新しい素材の食肉加工工場。多くの人員を抱えているがその多くは休みでもこの村を出ないし面会にくる人も少ない。それでも、面会にくる親戚や友人が居て。

前作(OFF OFFシアター)でもかなり建て込まれていた舞台ですが、今作もその強みは健在。劇場を横使いというのはありますが、舞台の中に階段を仕込み、キャットウォークの殆どを黒く隠し、あるいは別の場所をうまく設定し、バルコニーやエントランス部分をキレイに作り込んでいるのです。

ネタバレかも。

新しい食肉を巡る闇を持つ食品メーカー。ちょっと前に流行った宗教がらみの物語のようにわりとキャッチーな話題でもあるので、ついついそこに目を奪われてしまいます。与えられる食肉の種類とか、ちょっとおかしな人々とかクーラーが壊れて灼熱のオフィスを逃れて外で仕事してるとか、何か薬が処方されていたりというさまざまな謎が実に巧くあたしの気持ちを引っ張っていきます。が、おそらく作家の描きたいところはそこではありません。

友人に聞いてみれば同様の感想を持つ人も多いのですが、会社ぐるみ村ぐるみ、あるいは嫁ぎ先や肉親といった共同体のさまざま。「私」を守ってくれて安心できて不満のない理想的な場所に依存する人々、という一本の数式をいろんなレベルで重層的に重ね合わせながら当てはめて行っている感じがします。

そういう目で見ればいいということに気づいてからは、企業や共同体から家族肉親の、その中に取り込まれてる幸福な感じというのはわかる感じがあって、仕事が大好きだと言い切れない会社員のアタシでも少しはその感覚が腑に落ちる感じがします。ここに居られることがうれしいこと、という感覚はつまり、その場所に所属し信じて忠誠を誓うということ。それは所属すること自体のうれしさだったり達成感だったり認められることだったり現金だったりというインセンティブとの関係だと捕らえることもできて、それを安心と満足と中毒性のある薬、というとらえ方をしているのは見事。

過去の作品でも同様に感じるのですが、病気なんだという設定はされているにしても、多くの登場人物たちの造型は少々荒っぽい感じは残ります。エキセントリックに過ぎる感じはあって、それは演出の指定なのか役者の若さ故なのかは今ひとつ測りかねます。もちろん若い劇団ですから、そこには少々目を瞑りたいところなのだけど、なんせねぇ、実在する病気で現実の会社にもそういう病名で呼ばれる人は居ないってことはイマドキないわけで、となればそこは慎重に行きたい。躁状態のテンションの高さのまま続いてしまうの善し悪しで、逆に平板になってしまう感じもしてしまいます。

とはいえ、 世界を小さくモデリングして切り取ってみせるということが芝居の描き方のひとつとするならば、今作は間違いなくその特性をきっちりと持っているのです。

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