速報→「女ビルの一生」ギンギラ太陽's
2008.7.15 18:30
10月に福岡での1ヶ月公演1万人動員を目指すギンギラ太陽'sが続けるプレミアム公演。2000年2006年に続く三演め。40分。話の中心である中州・玉屋跡地に出来た商業ビルのライブハウス、Gate's7にて。
中州の老舗百貨店・玉屋は地元に密着して親しまれ、かつては絵はがきに載るほどのスポットだった。一方博多駅移転に伴い決死の覚悟で天神に進出した大丸は駅からも離れ苦戦を強いられる。が、時代は二人の「女ビル」を翻弄し、対照的な変化をしていく。大丸は新館(娘ビル)「エルガーラ」が出来るほどに成長するが、玉屋は開発に乗ることもできず、消えていく。7月15日はその命日だった。
福岡・博多に根ざした百貨店群を題材にしたごく短い一本。対照的な変化を遂げた二つの百貨店を女性の一生になぞり、ライバル同士に設定し、この街の変化を描き出す一本。中盤には古い絵はがきのスライドショーで当時の雰囲気を解説するコーナーを設けていたりもします。
以前のエントリでコメントを頂いたとおり、福岡・博多(終演後の作家のコメントでは「福博」と呼んでいました)に根ざした物語。玉屋や岩田屋の話は人をかきたてるようで、wikipediaを始めさまざまに描かれているものを読むことはできますし、今年になって二回ほど訪れる中ですっぽり空いた時間を埋めるために、福岡・博多の街を歩きづめにすることで、或る程度は空気感を感じられてはいるつもりですが、それでも時間軸にそった変遷はやはりアタシには皮膚感覚としてはわかりません。
が、アタシは本作が大好きです。こんなに短い話なのに涙すらしてしまうのです。福岡に限らず、小売店というインフラの物語を受容するある種の好みがアタシにはあって、その感覚がアタシの気持ちにぴったりハマるのですが、だれでもそう感じられるとも思いません。たとえばスポーツの中継やシーズンを通してのリーグ戦の類に今ひとつ乗り切れないアタシはスポーツ観戦の受容に薄いと感じているのだけど、或るフォーマットを楽しめるかどうかという点で似ている感じがしています。
前作今作を通して、岩田屋、井筒屋、リバレイン、エルガーラ、ユーテク、ジークス、寿屋、ブラジレイロなどの九州地域に根ざした百貨店群の物語を知ったり、町歩きをして眺めたりする楽しさ、というのがあって。確かにこの手の話は福岡で行うことにこそ意味がある、という気はします。東京や横浜で同種の話が出来るかと考えると、顔ぶれの多彩さと地元密着の店が粘り強く残っていた福岡という土地故、という気はします。たとえばwikipediaで検索してみるとその手の話の沢山あること。そういう「物語」を感じさせている、ということなのでしょう。(西武と西友と無印とか、渋谷を巡る東急と西武とか、箱根を巡る西武と小田急とか、細かいのは無いわけではないのだけど多彩さの点で不足する感じ)
博多山笠の最終日、追い山がこの玉屋の閉店日に重なっていて、今回の公演もそれに合わせられています。前乗りして、ちょっとその雰囲気を味わうことが出来た、というのも醍醐味。
で、10月には1ヶ月で1万人の動員を目指すのだといいます。アタシが好きなこの手のインフラ擬人化芝居の集大成だと聞く名作(未見)、また通うことになりそうなのです。
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