速報→「みみ」東京ネジ
2008.7.11 20:00
東京ネジの10回公演は新作。110分。17日までアトリエヘリコプター。
みみかきの店。膝枕をして聞こえない女性を相手に語る男。その男の家には女子高生の娘。店に取材に来た記者のインタビューをして。
聞こえない筈のことが聞こえていて、聞こえていることを聞こえない「ように努力する」さまざまな風景。父親と娘の断絶(経験なし)、夫婦の断絶(もちろんなし泣)、好きになった相手とのわかりあえなさ加減、女子高生と街のオヤジの関係も。
派手なシーンはありませんし、カタルシスもそうはありません。人はほぼ死にませんし、唄があったりもしません。正直なはなし、2日目夜時点では少々長い感じは否めません。「耳」とか「聞く」から発想したいくつもの話を一つに紡ぐためには必要な時間だとは思うのですが、もうすこしタイトに90分ぐらいだといいなぁと思うのはオヤジだからですが(五反田近いし、呑みに行かなきゃいけないし←そうではない)。
女性の作家、女性の演出、役者も女性が多いいわゆる女性の視点の芝居。言葉というよりはもっとふわっとした感覚に根ざしている感じで、そこに乗り切れるかどうかがその人にとっての評価になりそうな気はします。アタシが観た時点では、物語と演出と役者と、それぞれのチカラもポテンシャルもあるのに、きちんと溶けあっていない感じを受けます。が、こういう一人語りに近い話が好きで、(体力的に:-)物語を追うことが出来たので楽しめたのです。
ファンタジー色の強いものがたりの感覚は、少女時代を演じた佐々木富喜子の幼女な感じと相まって、遊◎機械全自動シアター的な、少々懐かしい感じの仕上がりだったりもします。あちこちに物語が跳ぶつくりで、慣れないと少々戸惑うかも知れませんし、アタシももうすこしすっきりした形で観たい。
ネタバレかも
望まないあだ名で呼ばれたいじめられた少女の時代、それを通学路に居た犬に浴びせる少女。素敵な男子に耳がキレイだと私も認められたといううれしさ。コールセンターという仕事、聞き耳を立てる女、人の愚痴を聞く仕事になってしまう運転手と、その持って行き場の無い気持ちをはき出す場所、インタビューという仕事、聞こえなくなってしまった女...書ききれないほどの沢山の話があることを思えば、よく110分に納めてると思うのです。
女子高生と彼女が追いかけている少々カッコイイサラリーマンの男の終盤のシーンが好きです。二人は会話をしているようで何一つ会話が出来ていなくて、それは最初サラリーマンの視点で女子高生特有の会話にならなさとして描かれていくのだけど、それがすとんと入れ替わる瞬間に圧巻。
前の公演ではほぼ主役だったのにほとんど間を開けずの登板、堀越涼も見た目のクールさと、圧倒的な安定を感じさせます。
20時開演は勤め人には有り難いのですが、2時間近くの上演時間と、劇場の閉館時間とのバランスが少々悪い感じ。結果的に追い立てられるように感じてしまうのは劇団にとっても劇場にとっても客にはあまりよくない印象を残してしまいそうなところは勿体ない。それは客に対する言い方一つ、だけの話かも知れませんが。
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コメント
このたびはご来場いただき、ありがとうございました。
また制作面でのご指摘、ありがとうございます。
今後、改善策を検討していきたいと思います。
「みみ」グログにリンクを貼らせていただきました。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
投稿: 東京ネジ | 2008.07.14 10:52