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2008.07.28

速報→「真夏の夜の夢」三条会

2008.7.27 19:00

三条会の夏の野外劇、第三弾。あたしは初めてここに。29日まで千葉公園内特設野外劇場。90分との告知でしたが終わったら8:45。公園内のトイレは一カ所だけ。なるべく駅か事前に。アタシの観た日曜夜は雨がぱらつき雷が鳴りつつも奇跡的に天気が持って。

駅から歩いて10分強、木の生い茂る公園の中を歩いて階段を上った瞬間に広がる風景。草を踏みしめつつ、受付に。なんて芝居の始まる前から楽しめる感じ。ホントは近所のコンビニでビール買って行くつもりだったけど天気が怪しかったので駅で荷物とシャツをコインロッカーに入れて携帯と財布とチラシだけを持って(これは正解だった。天気でもこれはアリだと思う)。

六角形の舞台、手前三辺が客席。舞台はほぼ円形中央に三角帽子的な。奥には大きな木がうっそうと。雨が近づいているからか暑い空気から涼しい空気さまざまに流れる気流が葉を揺らすのです。暗くはなってるけど、葉の緑がキレイ。舞台奥の三辺も緑色。

三条会がそれほど大好きというわけではないアタシは、あの濃密で一瞬の隙もないような芝居かと思って身構えれば、笑えるシーンも沢山。

夏夢ってのはスタンダードなんですが、どうにも退屈してしまうシーンはどの演出にもありがちです。本作どこにも退屈する隙もなく誰でも楽しめる仕上がりがいいのです多分子供でも大丈夫。話を知らないとなんで町人たちが出てくるかわからないものですが、これは作家の責任だし。本作は森がベースになっている構成。城のシーンはごくあっさり。順番の台詞を並列したり、今の言葉にしたりあれこれ楽しめるのです。丸い舞台を回り続けて果ての無い不安な感じや日常な感じ、横一列にならんで回ったりとさまざまに変化します。

ヘレナとハーミアが鏡あわせに会話をするシーンが好きです。どちらも十分美しい、鏡に映したようにそうも違わないのに愛を得られる側と得られない側の溝。

怖い感じすら受ける三条会だと思っていると、愛くるしかったり(大川潤子がこんなにも可愛い) Tシャツ姿の町人達の挙動不審具合と意味不明加減も楽しい。江戸川卍丸の芝居はいくつも観ていますが、本作のかっこよさは今までに観たことのない感じで印象に残ります。

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速報→「三月の5日間」岡崎藝術座

2008.7.27 15:00

アタシは劇団初見。劇場もはじめて、川崎アルテリオで90分。公演は終了。このあと上野での公演もありますが、同じ演出にはなり得ない川崎楽。は最初からネタバレかも。

最近の会話劇である「三月の5日間」の再構成。岡田演出風のくねくねした動きから始まり、それが徐々に過剰に。歩いてきたあとは自転車・バイク・車で登場とエスカレート。しまいには休憩と称した時間に劇場外に出て外で続行。つか風に声を張り上げてみたり、ミュージカル風に歌い上げたり、鈴木メソッドまたはクナウカ風だったりまぐあい風に車が揺れたり前後したり。さまざまがごった煮風に。

チェルフィッチュ風の少々デフォルメされた動きやセリフがいまひとつ得意ではないアタシですが、三月の五日間はその中ではすきな一本。正直にいえば、物語そのものはあまり手を加えずに演出を力技で乗り切る印象。

外に出ての30分は確かに芝居の印象を一変させるのだけど、渋谷の道玄坂での芝居を、どちらかというと山を切り開いた新興住宅街にちかい印象の場所借景とはいかず、意図を図りかねる感じはあります。 確かに街を歩く人々の視線、その中で大声やらセックスという言葉だったりと視線を感じるところはあります。 むしろ最後に劇場に戻ってからの、幕の内側に現れた車や人々は、町のミニチュアのような感じに見えます。最後の微妙な二人が分かれる瞬間の一沫のさみしさをかんjさせる終幕はむしろあっさり。

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2008.07.27

速報→「死に際バカンス」桃色バカンス

2008.7.26 18:30

神様プロデュースから派生した女性作家のユニットの二回目公演。TACCS1997での公演は26日までで終了。90分。

南の島にやってきた女と男。死ぬつもりで学校の一回しか話したことないチャラ男を誘って海外のリゾートに。仲のよかった女友達とそのあとの恋人。一番大事ということが移ろいゆくことが耐えられなくて。

女の思いあぐねるぐるぐる同じ所を回る感じがベース。 正直にいえば、前半、チャラ男と年上気味(実は同い歳)の女のシーンは少々長い感じがします。死にたいという気持ちはわかりつつ、なぜ彼をつれてきたか、本人の中でぐるるぐまわるということは、観終わってみればわかりますが、見ている最中には気持ちがわからずに戸惑うのです。

チャラ男と呼ばれる男は彼は彼でちゃんと女のことを観ているのだけど、そこは配慮の範囲ではあっても作家の興味ではありません。役者の活舌がちょっと心配な感じもあってちょっと残念。 終盤30分はきちんと濃密に。見えないはずの彼や彼女のことが、一緒に来ている男は見えてしまう。そのまま取り込まれそうになるおとこをすんでのところで救い出す。終幕での女の表情は微妙です。抱きしめようとする男をよけるあたりの最後の小さな盛り上がりを、しかしその表情はばっさり切り落としてしまうのは、作家の醒めたしっかりとした目線。

ビーチに見立ててるとはいえ、舞台の広さや、あるいは上に書いたような時間の配分がすこし馴染まない感じ。語りたいことはよくわかりますが、それを伝えきれていないていない感じ。前半の思いあぐねる内面があたしに見えていればなぁと思うのです。

女優三人は麗しく。脈略なく時代劇になるシーンは神プロ的で楽しい。はじける感じの鈴木華菜をもっとみたいし、まっすぐな瀬尾正子は美しい。南佳那のちょっとうえから目線の軽い笑い顔は似合っている感じ。

とはいえ、他人が見る物語としては成立してるかどうかは怪しいところ。女目線のこれを理解しようと前のめりに見てしまうアタシだから見続けられた、という気はします。

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速報→「閃光」reset-N

2008.7.26 15:30

reset-Nの新作。作家の私小説な仕上がり、次の公演を決めずに背水の陣だといいます。28日まで王子小劇場。80分。

作家が物語をつむぎ始める。マンションの一室、男と女がじゃれあっている。隣に住んでいる劇作家はかけずに公演が危機を迎えている。女は昔の男からあきらめきれない電話が続く。作家には女が居る。

物語だけを読むとえらく陳腐な「書けない作家の独り語り」。が、さすがにこの座組。作家はさらに外側に作家自身が語る構造にして物語をミルフィーユ。四方を囲まれた役者もかなり色っぽかったり、台詞が心地よかったりと見せ続けます。

本作の評価は、いままでのこの作家の可能性を買っていたかということに左右される感じはします。買っていた人ほど、これを見たくないとは思うのです。むしろアタシはこの作家の面白さを理解するのが困難だったりしていたのです。アタシとしては作家の私小説なフォーマットを取ることで、この作家の語り聴ける面白さ。また、彼が巧いんだ。

物語として描かれている断片はちょっと素敵だったりします。「アイスクリームの正しい食べ方」のぞくぞくする感じはアテが無くてもいつか真似してやろうかとおもうぐらい。あるいは先生とのかつての研究室での日々を語るあたりもちょっと好きです。終幕で作家の恋人が自分を登場させた理由を詰問するあたりも実にいい感じ。が、これは断片で繋がりとしてアタシには迫ってきません。 こんな(モテな)風景をそんなには経験してない(泣)アタシとしてはそれがむしろ絵空事だから、というのはもちろん棚に上げて。

物語の背骨を担うのは、もちろん作家の視点でのあれこれ。となれば、もちろん終幕のそれも背骨ではあるのだけど、あたしは前半の軽妙さも捨てがたい。普通だったら正視に耐えなくなりがちな作家自身の「書けない節」。入り口右側にある譜面台に立つ作家と女の表情が見えることは重要ですが、二人の絶妙な物腰で抜群に面白い。これに物語が霞んでしまう感はあって、弱点といえば弱点なのです。

偶然とはいえ演劇祭の一つ前のラインナップが現実に公演中止になったりしているという事実は、そんな書けない節に現実味をもたせます。 何度も使える手ではないけれど(あったら困る)、スタイリッシュだけどとっつきにくい感じの多いreset-Nの中では異質な感じ。しかし、それがこんなにもあたしの気持ちのなかすっと入ってくるようなわかりやすさは意外な気もしますが面白かったのです。

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2008.07.25

速報→「いつでもここは夏である」@@ has a headphone

2008.7.25 19:30

快快(faifai)のシノダ演出・野上・山崎の出演、チェルフィッチュの山縣太一、パパタラな松島誠でダンスやら映像やら台詞やら。1h15。28日までSTスポット。(日曜夜以外はわりと入れるようです)。

STの奥の二面をステージに、残りの二辺に少し座れたり腰掛けられる場所はあるので、まったりも出来ます。もちろんかぶりつき座り込んで見るもよし。これからご覧になるならDJブースを背にするのが正面だと思いますが、あたしはサイドからでも楽しい。そもそも動いていいのだし。途中でビール買いに行ってもいいし。(チューハイとソフトドリンクも。アルコール三本呑むとおまけ貰えます。)

前半に身体表現的なモノ多く、後半に台詞多めの設定。

ネタバレかも

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夏、動き出す。

ビール付き晩ご飯のあと、駅からすこし遠回り。新しい建物ができてたり、車少ないなぁ(ガソリン 高いし)、公園にさしかかると、虫の声、虫が見えたり。さまざまが動き始める季節、楽しかったり、不安もあったり。

週末。暑い夏は、多彩な公演がたのしい。

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2008.07.22

速報→「ウドンゲ」 G2プロデュース・3軒茶屋婦人会

2008.7.21 19:00

篠井英介, 深沢敦, 大谷亮介の三人で女性の話を上演するユニットの三回目公演。105分。ベニサンピットで27日まで。そのあと、福井・大阪・福岡。

友人の葬式のあと二次会と称して憧れの同級生男子と共に家まで押しかける同級生二人。その男は寝入ってしまって女たち。ぎこちない。

安普請のアパートで一人で暮らし続ける女。五十女のたちそれぞれは結婚して幸せな日々だったり離婚していたりという友人たちの報告を聞く陰鬱な気持ち。 かつて仲のよかった同級生との断絶のままの三十年はしかし、ごく些細なボタンのかけ違いだということがみえてきます。ごくごく細かなきもちのすれ違いが、なんとなく話せないままにこんなにも大きなわだかまりになってしまう現実。

その二人を見続けている深沢敦ひとりが笑いを背負うことになってしまっているのですが楽しめるのです。パジャマ姿に透けるラインってのはかなりの卑怯技ですが。

シャンプーハットの赤堀雅秋は主に男たちの話を描く作家ですが、女性だけの話を巧く書き出します。

一人暮らしがながくなると、他人と暮らせなくなる、というのはよく云われることですが、たしかに年齢が進むにつれてそういう感覚はわかるようになってきます。 毎日同じ生活を繰り返していてそこに他人が来たり、生活を乱されることが嫌な感覚など、女性じゃないあたしでも気持ちが腑に落ちる感じ。

あまりに自然な女性というかおばさんたちの姿。それゆえに派手さや笑いという点では自然すぎる感じが逆に物足りなさを感じてしまううのはぜいたくなものですが。

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速報→「ワールズダッチ」青年団若手自主企画 大久保企画

2008.7.21 14:00

もとmon(1, 2)の大久保亜美・作演による若手自主企画。75分、21日までのアトリエ春風舎での公演は終了。

めったに会わない妹が上京してきた。姉は夜の町を散歩して、通りすがりの男とする性癖がある。妹は男好きする感じで、バイト先でも店長と別のバイトとも二股だったりして。

チェルフィッチュを思わせる独り語りフォーマットでスタート。愛情がわからず男とセックスすることで「世界とつながっている(ワールド・ダッチ}」の感覚で男と寝ずにいられない姉と、愛情の結果として気持ちのいいセックスというとらえかたをしている妹。どちらも、おおざっぱにとらえれば男と始終寝ている姉妹で、倫理観というとらえ方をしていれば壊れているともいえるのだけど、その二人の間には埋められないほどの深い溝。それでも二人は自律してそれを選び取っています。こんな二人を執拗にしかし丁寧に埋める作業に併走できる感覚。そのまわりを独り語りでぐるぐると回る感覚が楽しい。

若い女性の作家が、こんなにもあからさまに書いてしまう話は、どこかその作家がこうなんじゃないか、みたいな妙に見られてしまうことをいとわずに描いた、ごくごく狭く小さな世界の感覚のとらえ方はみずみずしく、ずっと見ていたい。こんなことを誰かジョシと語り明かしたい気持ちにあふれるのです。もっとも、アタシには結局本当には理解できないのだろうけど、でも、繋がる感の姉にも共感するし、愛おしさ優先の妹の感覚もどこかで信じている。おそらく一人の中で起きている葛藤のようなものを分離してみせている感じ。

くんずほぐれつなシーンはあるしセリフはわりとあからさま。この入り口で拒絶してしまう人もいるでしょうが、そこで止まってしまうのはもったいない。このほんの少しのそよぎ方の違いをとらえる感覚を楽しみたい。四十八手的な動きをモーフィングのように連続してみせるのは組み体操のようで、コミカル。ちょっと面白い。

正直なはなし、この姉妹の感覚というのはものすごく新しいものというわけでもない気がします。しかし、ぎゅっと圧縮し、作家がぐるぐると思考回している過程に付き合う作業は、あたしには楽しいものなのです。

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2008.07.21

速報→「THE GHOST STORY」ネオゼネレイタープロジェクト

2008.7.20 19:00

ネオゼネ/NGPの新作。夏に合うホラーだったりする145分は実時間としては長いのですが濃密で飽きさせず走りきります。21日昼までスズナリ。これからご覧になるのなら、迷わず最前列。どちらもちゃんとしています。

不動産屋につれられてきた古い家に来た作家。その夜に出ると云われていた幽霊に遭い、話をする。1時間しかいられないという彼の話を毎晩聞いてみる。このあたりには昔、町があった。

幾重にも積み重ねる話は世界としては三層。時間軸もいくつか。まるでホーンテッドマンションのような、パルコ劇場のような厚みがあります。ウーマンインブラックのような威しも楽しいのです。

町に隠されている秘密や、そのいくつかの断片。伝染病で封鎖される町クライムサスペンスの手触り。様々に隠された謎や、小ネタを挟みながら走ります。その場所の地下にあること、そこにある街。物語の奥行きに唸るのです。

ネタバレかも

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速報→「シュガー」うさぎchan

200807201300

女性ばかり7人のある種修羅場の話。20日までのルデコ4での公演は終了。80分

深夜のオフィス。残業だったり単に終電のがしたりで帰りそこなった女性たち。それにしてもいつになく人数は多く、しかもそれぞれなかなか帰りたがらない理由は

種を明かしてしまえば、キャラクタも性格も見た目もまったく違う7人の女性たちは、一人の同僚の男性を待っている、という話。二股どころか七股状態。一見かわいらしくて女として負けたことがない女とか、マンションという経済力でつなぎとめようとする女とか、まじめ一途だったり、社交的だったり、普通だったり、不思議ちゃんを通り越して意味不明だったりとさまざまなキャラクタの立った女性たち。

女性の作演、女性ばかりの話と聞けば大好物なアタシです。「私をどうやって選び取ってもらえるか」ということが全てを支配する感は確かに女性に見られる視点という気はするのです。もっとも、言葉では負けず嫌いだったり、一途だったりという説明はあるのだけど、修羅場のおお暴れの下りなど、これだけのとっくみあいを演じなければならないほどに7人全員から想いを寄せられるほどのモチベーションの源泉が感じづらくて、腑に落ちない感じもしてしまうのです。二人三人まではともかく、七人となるとすでに話としてはリアルではありえないわけで、それを乗り越えた嘘を腑に落ちさせてほしい感じ。戦うモチベーションがどうしても見えないのに戦っている構図、という点でキャットファイトを想像してしまったのは、あたしだけかもしれませんが。

物語とはまったく関係ない感じでの、ザキとドラゴンボールの対決の下りは笑わせる感じで、中だるみしそうな部分をうまく乗り切ります。ここに居ない男のダメなところを上げつらうシーンはちょっと面白いけれど、「だけど好き」に着地するのがあまりに王道なのももったいない感じ。

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2008.07.19

速報→「アンタも喜びなさいよ」バナナ学園純情乙女組

2008.7.19 19:00

桜美林大学の劇団。柿喰う客の中屋敷法仁の脚本で、出戻り公演という名前の二回目公演。120分。20日までpit北/区域。これからご覧になるなら、2Fバルコニーでも少し芝居がありますので入り口から遠い側を。

生徒会選挙はエスカレートして血で血を洗う抗争に。会長と副会長の候補が追い詰められている。副会長候補は耳を食いちぎられ、陣営13人でバリケードの中。相手陣営は50人だという情報が入り敗色濃厚になるが。

ドラッグキメてるかのようなテンション。フランスで柿の面々が観客にドラッグかと聞かれたらしいのですが、そんな感じ。物語自体は序盤の15分と終盤の15分があれば成立してしまうぐらいに希薄。じゃあコネタのギャグが冴えてたり役者の力が、というとそこまでもいたりません。言葉もところどころ怪しいし。

が、あたしは訳わからない熱病のようなこの芝居から目が離せなくてなりません。「柿」が云われるように、つか芝居のフォーマットに近い感じではあるのですが、物語は薄くしかし、現代口語劇ばかりの昨今のなかではこんな若い彼らがやっていくこと自体に意味があるという気もします。

奔放な話運びの中でさらに自由な、一人だけ体操着姿の女のコネタがちょっとツボだったりします。鳥かごやらカミカミやら100円やら、絶妙な間。正体は終幕に至って明かされますが、ごくあっさりと語られるだけで、物語の意味よりはこの小ネタを楽しむべし。

現副会長を演じた、加藤真砂美のジャンキーな感じ(役もそうだ)芝居全体のテンションを維持します。「柿」への客演もしている野田裕貴は安定感。あるいは対立候補かつ演出の二階堂瞳子のテンションも楽しいが後半にならないと出てこないのがちょっと残念。

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速報→「まぐろ11号」ハッスルマニア

2008.7.19 14:30

ブゲイ発・ハッスルマニアの新作。21日までシアターグリーンBOXINBOX。105分。

漁師町。ある日漁に出た漁師たちは、巨大なマグロ・マサムネに挑むが親方が命を落とす。それから10年、残された娘は母親の看病と食堂の切り盛りの日々。東京の学校に通っている妹も戻ってきて。

どちらかというと馬鹿な男たちと、それを見守る強く大人な女たちの構図。ダメだなぁと思いながらも見放さない空気感。一方で告白できない男の気持ちはわかっていても、女から言い出したりはしないというバランスでもあって、男たちの町と支える女たちの姿が隅々まで。

冒頭のシーンだけが10年前で、それ以外のシーンはほぼ二日を時間順に追う芝居。なのに、男とその妻と子供を一人の役者が演じていて、多くはない登場人物の賑やかさを作り出しています。敷居の低い誰でも楽しめる芝居な感じ。まあ、風俗がどうとかいう単語は出てきますが。

一見コミカルなだけの少年たちのシーンからそのあと食堂への一連のシーンが好きです。一升瓶のフタが宝物という子供たちだけの流行や評価軸、いじめられてもちゃんと花火には誘いに来て一緒になって店を飛び出していく流れなどいい意味の「子供っぽさ」は彼らの持ち味によくあっています。

全体を見渡すと、わりとベタな芝居ですが、丁寧につくっていることはよくわかります。多彩な役者が空気を緩めていたり迫力をつくっていたり、場をつくりだす流れ。ほぼ仮装なコミカルなシーンがどんなにコントになろうとも大まじめにやるのも真摯さ。

居酒屋というのではなく、緩い感じで金目鯛定食が500円ぐらいで食べられる定食屋。もちろん酒盛りもある、あたしにはある種の理想郷。いい店だなぁ。

当日パンフの写真は、俳優の持ち味がいまひとつわかりづらい感じもしてもったいない。もっとかわいらしく、あるいはカッコよくとってもいいんじゃないかと思ったりもします。それが役者の集団である彼らなりの照れなのかもしれませんが。

船のシーンと食堂のシーンを切り替えるために少々手間取るのは持ったない感じもしますが、これ以上に素早くやる方法も思いつきません。冒頭のタイトルは夜行塗料という手軽な方法だけど映画のようで洒落ています。

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2008.07.18

GPS

そういえば先月福岡に行った時は、GPSで軌跡をリアルタイムでweb上のサーバに記録するオモチャで遊んだのでした。よく考えたら、auも同じようなサービスをしてたのを思い出して。iPhone(Emobieで使いたい)とは対照的な、携帯会社が丁寧に作り込んだサービス、実はすげーんじゃねぇか。これ。自分のブログに自分の軌跡を公開するしくみと、写真を貼り込めば最強なのになぁ。

週末、連休。王子小劇場のelePHANTMoonは公演中止。

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2008.07.16

速報→「女ビルの一生」ギンギラ太陽's

2008.7.15 18:30

10月に福岡での1ヶ月公演1万人動員を目指すギンギラ太陽'sが続けるプレミアム公演。2000年2006年に続く三演め。40分。話の中心である中州・玉屋跡地に出来た商業ビルのライブハウス、Gate's7にて。

中州の老舗百貨店・玉屋は地元に密着して親しまれ、かつては絵はがきに載るほどのスポットだった。一方博多駅移転に伴い決死の覚悟で天神に進出した大丸は駅からも離れ苦戦を強いられる。が、時代は二人の「女ビル」を翻弄し、対照的な変化をしていく。大丸は新館(娘ビル)「エルガーラ」が出来るほどに成長するが、玉屋は開発に乗ることもできず、消えていく。7月15日はその命日だった。

福岡・博多に根ざした百貨店群を題材にしたごく短い一本。対照的な変化を遂げた二つの百貨店を女性の一生になぞり、ライバル同士に設定し、この街の変化を描き出す一本。中盤には古い絵はがきのスライドショーで当時の雰囲気を解説するコーナーを設けていたりもします。

以前のエントリでコメントを頂いたとおり、福岡・博多(終演後の作家のコメントでは「福博」と呼んでいました)に根ざした物語。玉屋や岩田屋の話は人をかきたてるようで、wikipediaを始めさまざまに描かれているものを読むことはできますし、今年になって二回ほど訪れる中ですっぽり空いた時間を埋めるために、福岡・博多の街を歩きづめにすることで、或る程度は空気感を感じられてはいるつもりですが、それでも時間軸にそった変遷はやはりアタシには皮膚感覚としてはわかりません。

が、アタシは本作が大好きです。こんなに短い話なのに涙すらしてしまうのです。福岡に限らず、小売店というインフラの物語を受容するある種の好みがアタシにはあって、その感覚がアタシの気持ちにぴったりハマるのですが、だれでもそう感じられるとも思いません。たとえばスポーツの中継やシーズンを通してのリーグ戦の類に今ひとつ乗り切れないアタシはスポーツ観戦の受容に薄いと感じているのだけど、或るフォーマットを楽しめるかどうかという点で似ている感じがしています。

前作今作を通して、岩田屋、井筒屋、リバレイン、エルガーラ、ユーテク、ジークス、寿屋、ブラジレイロなどの九州地域に根ざした百貨店群の物語を知ったり、町歩きをして眺めたりする楽しさ、というのがあって。確かにこの手の話は福岡で行うことにこそ意味がある、という気はします。東京や横浜で同種の話が出来るかと考えると、顔ぶれの多彩さと地元密着の店が粘り強く残っていた福岡という土地故、という気はします。たとえばwikipediaで検索してみるとその手の話の沢山あること。そういう「物語」を感じさせている、ということなのでしょう。(西武と西友と無印とか、渋谷を巡る東急と西武とか、箱根を巡る西武と小田急とか、細かいのは無いわけではないのだけど多彩さの点で不足する感じ)

博多山笠の最終日、追い山がこの玉屋の閉店日に重なっていて、今回の公演もそれに合わせられています。前乗りして、ちょっとその雰囲気を味わうことが出来た、というのも醍醐味。

で、10月には1ヶ月で1万人の動員を目指すのだといいます。アタシが好きなこの手のインフラ擬人化芝居の集大成だと聞く名作(未見)、また通うことになりそうなのです。

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2008.07.15

福岡参り、博多参り。

芝居を見るために旅をするというのは、ちょっと前は年に何回かやってたのです。たぶんきっかけは維新派だったんじゃないかと思うのですが、「朝日97」とか、「遊気舎」とか「うべんの会」とか。

TOKYO SCAPEで京都に通ったのが火を付けたのかもしれません。今年の頭に天王洲で観たギンギラ太陽'sのすごさにやられ、福岡に通っています。10月の長期公演に向けてプレミアム公演を何回か続けています。会社に行ってから飛行機で福岡入り。博多山笠の追い山を(寝坊したけど)目撃して、今日一日、博多の町で過ごします。問題は、アタシが夕方まで起きていられるか、という気もします。

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2008.07.14

速報→「パレード旋風が巻き起こる時」あおきりみかん

2008.7.13 17:00

名古屋の劇団、あおきりみかんの新作。劇王での受賞など実績もあるようですが、あたしは初見です。名古屋をへてシアターグリーンBoxInBoxでの公演は終了。

公園で蟻の行列を眺めている女に声をかける男。女が語り始めた話。高校の卒業式の日も同じように蟻を眺めていたら同じように声をかけてきた同級生。そんなに仲良しというわけでもない彼女が云うのは、「私のことを見ていて、女王になるから」なのだという。

蟻の行列をパレードと見立て、蟻のコロニーを人間の小さなコミュニティの中の姿に見立てた構成。女が見られることで紆余曲折しながら女王に育っていく、という過程の切り口は女性作家らしい世界の切り取り方だなぁと思うのです。

噂話、飲み会でのあからさまな会話やモーション。人間関係を見続けるということの役割をもった彼女、その彼女を気にしながら見続けている男、女王という頂点の立場なのにその男が気になって仕方ない女という人間関係の一筋縄ではいかなさ加減が幾重にも重なります。それが100分弱の時間のなかにぎゅっと詰め込まれた面白さ。

見られることが前提で変化していくこと、が、そのすべての過程はやはり彼女自身でもあってという終盤や、パレードの繰り返しなど、思いがめぐってしまったためかどうか、前半ほどの鋭さは薄まってしまっている気はします。パレードの単調さは人生になぞった結果かもしれませんが。隊列(デモだけど)で客席を囲むような話というとミナモザの名作も思い浮かびますが、使い方こそ似ていても、どちらもオリジナリティを感じさせるのです。

幕があいてすぐ、イントレで壁いっぱいに組まれたマス目の中でそれぞれが暮らしている姿はおっと思わせます。着ぐるみの多用のわりには舞台を止めないままきちんと進ませる演出や、カステラのパレードのオリジナルの歌など、楽しませる感じのつくりもあたしは好きです。

語り口での多弁さは、確かに鴻上尚史に似ている感じはあります。ほかにも群唱の多用など80年代っぽさになぞってみてしまうのもよくわかります。が、見られていくことで変わっていく、ということを作家が感じ取り、蟻のコロニーという小さな視点で切り取って見せた物語は確かに作家の言葉だと思うのです。飲み会のシーンでの「やりたい」と「おもねる」の応酬など、確かに類型的ではあるのだけど、なぜか作家の視点で切り取られると感じられるのはたとえば女同士の罵倒の言葉を「ブス」ではなく、「へちゃむくれ」と選び取るセンスから感じられるのかもしれません。

エンディングのパレードの曲はだれもが思い浮かべるアレですが、DVDにするつもりなら著作権ゴロのあの曲だけは避けた方が、と思ったりも。せめてDVDだけでも。

役名が男1、のようになっているのは台本の指定として仕方ないものの、初めて見る客にはだれがだれやらわからないのはもったいない気がします。たぶん出番順なのだけど、さて、だれがだれやら。長崎の女王のキュートさ、見続ける男の語り口の確かさが目を引きます。

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速報→「恋人ができないが、もういい」箱庭円舞曲

2008.7.13 14:30

きちんと関係を切り取って「箱庭」を作り出している新作。勤め人にこその110分。21日までOFFOFFシアター。

コピーライターの小さな事務所。支えているボスと、上昇志向の女たちと、頑張ってはいるけれどあまり大したことない男たちと。もとここに居た男は大手に転職していて、その男も仕事を持ってきて居たりして。

恋人があれこれ、という話を勝手に想像していたアタシです。もちろん物語を支えるあれこれに恋だの想いだのはちゃんと埋め込まれているのだけど、物語の骨格はそこではありません。仕事についてのある種照れ臭いほどのまっすぐな気持ちがつき動かす物語は、あたしには少々まぶしいのです。でも、それに引きこまれていて枯れたと思っていた気持ちの奥に少しはそんな残り火があった、なんて気づいたりして。

コピーライターという一種華やかな仕事の実態がどうかは知らないアタシです。ましてや会社員ではあっても、転職の経験もありません。それまでの仕事を続けていけるのかどうかの瀬戸際を超えたり、仕事は面白いことばかりでは進まないと気づいたりというのはさすがに経験していますが、男女の関係を超えて代え難い関係の熱気と迫力は想像だけの範囲ですが、見せ続ける迫力があります。仕事にまつわる「ものがたり」(プロジェクトXだそれ)が好きなあたしは、この物語に気持ちが巻き込まれるのです。

その迫力とは関係なく、軽やかに笑わせる感じも楽しい。「童貞脳」って単語がちょっとおかしい(googleでは2200件のヒット)

ネタバレかも

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2008.07.13

速報→「相思相愛確信犯」MU

2008.7.12 19:30

短編を得意とするMU初の長編。135分。13日まで駅前劇場。

問題ある恋愛を抱えた男女が入り三ヶ月間、男だけ女だけで暮らすことでリハビリをする「断恋道場」。一途な片想いを何年もしていた女、女子高生なのにもう数え切れないほどの男に引っかかるのが親と同じなのが悩みの女、三ヶ月の筈なのに何年も居る女、結婚資金を使い込まれた女、使い込んだ男、ヒモ体質の男、自慰体質の男、二回目の入所の男、など。が、合宿最終日のイベントには怪しい秘密があって...

17人もの出演者。しかもキャッチーで気になる役者てんこもり。当然それぞれに或る程度の見せ場は必要で、結果2時間超。セットを入れ替えるための時間がテンポを切ってしまっているところもあって、体感時間も長めです。道場という性質上で或る程度の人数が居ないと形にならないというのはそのとおりなのだけど、もうちょっとタイトにしたいところ。アタシの場合、観たことある役者を手がかりにしてみていて、葛木英、古市海見子、ハマカワフミエ、浅倉洋介、杉木隆幸、小松君和、岡安慶子、諫山幸治あたりがアタシ的な足がかりで、彼らの個々の芝居には安心も感じます。

観劇している最中は、なぜか冒頭に出てくる「JPOPは愛だの恋だの云ってるだけで」ってのが気持ちの中でひっかかってしまうのです。まったくそれには同意なのだけど、この芝居だって物語よりはキャッチーさを優先してるのに大差ないのになぁと考えていたのです。 もっとも、一晩経って思い返してみると語りたいことはいくつもあるんじゃないかという気もしてきたのですが。 道場に入っている彼らがとても饒舌なわりには切実さがいまひとつ伝わってこなくて、プラスティッキーな造形に感じられて、それがアタシには居心地の悪い原因じゃないかと思ったりもするのです。

ネタバレ

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速報→「空気正常」殿様ランチ

2008.7.12 1400

あたしは初見です。笑いは少なめの90分。13日までサンモールスタジオ。

貧しい村、縦に掘られた穴、井戸のような場所。村の経済を支えているのはその穴の中から採掘される石を加工してみやげ物としての売上げ。穴の中に入るのは一つの家にゆだねられていて。

ベースとなるのは、貧しいそしてあまり知識のない住民の経済を支えている石と、その採掘を代々行っている家の男の話。その石をめぐるさまざまと、犬に育てられた姉妹たちの話。

普段彼らがどんな芝居をしているかは知らないのですが、あたしの勝手な印象は笑い多めの印象。今作、思わせぶりなさまざまをちりばめた話そのものには笑いは少なくて、しかしどこかで聞いたことのあるような類型的な話で、話自体がそう斬新というわけではありません。その村を抜け出そうというあたりで話が動き出すかとおもえばそうでもなかったりして意図がいまひとつつかめません。 むしろ役者個人の技を楽しむようなところはあるのだけど、笑いという点では小ネタ中心でちょっとばかり不発気味。

携帯をネタにした冒頭のコネタはちょっと面白い。ブログ炎上とか、採掘した石の繊維がそろっているのに価値があるのは美しさでもなく、ましてや資源としてではなくて加工が楽というだけとか、いくつかのコネタちょっと興味をひきかけますが、うむむ。

瀧川英次は影を持ちながらも笑わせるところはちゃんととっていくちから。姉を演じた柳さおりの視線の強さは印象に残ります。

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2008.07.12

速報→「みみ」東京ネジ

2008.7.11 20:00

東京ネジの10回公演は新作。110分。17日までアトリエヘリコプター。

みみかきの店。膝枕をして聞こえない女性を相手に語る男。その男の家には女子高生の娘。店に取材に来た記者のインタビューをして。

聞こえない筈のことが聞こえていて、聞こえていることを聞こえない「ように努力する」さまざまな風景。父親と娘の断絶(経験なし)、夫婦の断絶(もちろんなし泣)、好きになった相手とのわかりあえなさ加減、女子高生と街のオヤジの関係も。

派手なシーンはありませんし、カタルシスもそうはありません。人はほぼ死にませんし、唄があったりもしません。正直なはなし、2日目夜時点では少々長い感じは否めません。「耳」とか「聞く」から発想したいくつもの話を一つに紡ぐためには必要な時間だとは思うのですが、もうすこしタイトに90分ぐらいだといいなぁと思うのはオヤジだからですが(五反田近いし、呑みに行かなきゃいけないし←そうではない)。

女性の作家、女性の演出、役者も女性が多いいわゆる女性の視点の芝居。言葉というよりはもっとふわっとした感覚に根ざしている感じで、そこに乗り切れるかどうかがその人にとっての評価になりそうな気はします。アタシが観た時点では、物語と演出と役者と、それぞれのチカラもポテンシャルもあるのに、きちんと溶けあっていない感じを受けます。が、こういう一人語りに近い話が好きで、(体力的に:-)物語を追うことが出来たので楽しめたのです。

ファンタジー色の強いものがたりの感覚は、少女時代を演じた佐々木富喜子の幼女な感じと相まって、遊◎機械全自動シアター的な、少々懐かしい感じの仕上がりだったりもします。あちこちに物語が跳ぶつくりで、慣れないと少々戸惑うかも知れませんし、アタシももうすこしすっきりした形で観たい。

ネタバレかも

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2008.07.10

囲まれて

いえね、落語会に行く気満々で天気も良くて休んじゃおうかとおもったのですが、朝に会議があるのを思い出して。で、午後も仕事して、早めにあがって一杯ひっかけて向かうかと思ってたら、連絡がうまくまわってなかった会議に呼ばれて。ある担当に新しいやりかたで仕事をするための説明会。あきらかに負荷が増えることはわかっているのだけど、それを説明しながら、実作業もちゃんとバックアップしようという姿勢に溢れた会議で、なんか息がつけるかんじ。仕事のしくみであやふやだったところが自分でも今さら確認出来て収穫も。

そういえば仕事変わったときの今のチームにもそんな感じ。歳は行ってて、しかも昔そこの部署にいたにもかかわらず、激変したオペレーションがまったくわからないまま来たのだけど、ちゃんと見守っていてくれる安心感。たしかに喧嘩しても始まらない。とげとげしがちなことも多かった数年なのだけど、自分も安心感を与えられなきゃなぁ。まだまだ未熟ものです。

週末。来週には福岡行きのほぼ日帰り観劇も予定しつつ。

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【落語】「三之助をみたかい? vol.4」

2008.7.9 19:30

柳家三之助 の一人会。終演21:30。アタシは30分ほど遅刻ですが。それでも満足。日暮里サニーホール。

店番の小僧がさまざま失敗して叱られる。そこにやってきた一人の客人の用件はいったい。「金明竹」。世の中にはいろんな人が居て、気の長い人も短気も「長短」。植木職人がお屋敷で主人に少しばかりご馳走になり洒落た話し方を聞いて帰って、おかみさんと試そうとして「青菜」。

いわゆる「まくら」が長いから大丈夫かと思って油断してたら、ちゃんと始まっていた一席目。口調が楽しくて、耳に心地いいのです。有名な「寿限無」に似てる感じもあるのですが、意味がついにわからぬまま、なのでついついググってしまう感じ。

二席目との間も、まくらを振り、しかし小咄的なものも挟みつつ。始まってこれは、とおもっているとさにあらず、ちょっとばかりのフェイントで。人物描写の対比を楽しむ噺。三之助にとっては根多おろしなのだといいますが、あれー、じゃあ、アタシは誰のを聞いたんだ。中入りを挟んで、アタシが初めて聴いた三席目。ちょっと上の暮らしを垣間見て、それを真似してみようという噺はままあれど、こんなにも理由のないまま、おかみさんが頑張る噺はそう無い気がします。となれば、このモチベーションは愛情かぁ、そうかいい噺だなぁ。

今年はあと二回。

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2008.07.07

速報→「五右衛門ロック(プレビュー)」☆新感線

2008.7.6 18:00

プレビュー公演のチケットを譲っていただいての。コマ劇場で28日まで、そのあと大阪。20分の休憩を入れて205分。東京は当日券も用意されているようです。

稀代の大泥棒、石川五右衛門。釜茹での刑で処刑されたと世間には思われていたが、すんでのところで救い出され、あるきっかけで小島に眠る神秘の宝「月生石」を盗むことになる。

コミカルなロックミュージカルの風体。かっちり固められた時代劇というわけにはいきませんが、見終わってみればプレビューなのにスタンディングに沸く客席。正直な話、一幕目では物語が動く気配が見えず、乗り切れない感じ。二幕目しかもおしまいの40分ほどの盛り上がり感はたいしたもので、これならば前半をぎゅっと圧縮して150分ぐらいに納めても大丈夫な気はしますが、それはコマ劇場のサイクルに合わないということかもしれません。

もっとも前半はコミカルなシーンが多いこともありますから、これは日程が進むにつれて改善していくという気もします。

盛り上がらない前半も含め全体を通して目を引くのは森山未來で、傷心を見せる得意な芝居は云うに及ばず、久し振りに観た彼は迫力もちゃんと兼ね備えた圧倒的な印象を残す役者になっています。彼を含めた4人の見得を切る終盤のシーンは、客席からのかけ声が欲しいところ。

月生石なるお宝が岩塩だというのは二幕目頭で明らかにされますが、単にそれにとどまらないもう一つの秘密が、終盤の迫力ある物語に繋がっていきます。この終幕に至るあたり、あるいは配役のバランスも含めて、あちこちのパブリで作家自身が語っているとおり、これはルパン三世そのもの、だったりもします。

初めて入った劇場ですが、全体にすり鉢状で舞台に向かっての傾斜も大きく独特の形状で見やすい劇場なのだと思います。音響のためかどうか大げさな形状の劇場が多い中、このシンプルさは美しさすら感じさせます。ここの売りである、二段の廻り舞台(コマの由来とも聞きますが)はごく短い時間たった一回だけ使われますが、物語の要請によくあっている場面で、効果的です。

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速報→「見上げれば」アンティークス

2008.7.6 13:00

外部作家と座付き作家の短編二つを組み合わせた「二つのお話シリーズ」三部作の二つ目。あたしは劇団含め初見です。90分ほど。6日までSTスポット。

大雨のキャンプ場らしい場所、管理棟に避難してきた人々。時間を持て余してそれぞれの話を始めて「星に願いを/かけない。」。
卒公の題材探しに親戚の家にやってきた若い女性たち。星がきれいに見える謎めいた女性の家で「120億円の夜空の下で」

流れ星をモチーフにした二つの話。星が見えて雨が激しくて部屋の中、それぞれの人物たちが嘘かどうかわからない話をして、という骨子は割と似ています。星は夜だしそれなのに家の中に居て会話をという感じで結果的に似てしまったのか、それともそもそも同じような縛りにしてあるのかはよくわかりません。

「星に」は 管理人、反抗期な女子高生と離婚間近の母親という親子、売れない芸人とその恋人、謎めいた女子大生と名乗る女という組み合わせ。場を温めるためか、キャンピングファイやーな感じのダンスが入っていたりしている序盤。が、それは互いにあまり話にからみません。嘘でもほんとでもいいから何かをはなし、その中の一つが本当になるかもしれない、という都市伝説的なルールのゲーム。短い時間の中で、それぞれの思いだったり隠していることが吐露されるようなしかけ。芯となるのは謎めいた女子大生の存在が最後に至って少々悲しいファンタジーになるのだけど、それ以外の人々それぞれの思いが別個に存在するだけで、あまり絡まない感じになってしまうのが、物足りない感じもします。

「120億円」の方はオープニングの騒々しさがそれはそれで楽しい。若い女性を使って45歳なる設定、そこに実は仕掛けがあるのはわかるのだけど、不思議ちゃんキャラに年齢の無茶さが勢い余って、どこにもとっつくことができないのが厳しい感じ。もちろん、存在するのかどうかわからないという存在なのだから、ある種の不思議さを持たせたいのはよくわかりますが、もちょっと普通で観たい感じがします。

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2008.07.06

速報→「父親がずっと新聞を読んでいる家庭の風景」あひるなんちゃら

2008.7.5 19:00

エッジかとおもえばスタンダードな仕上がりに満足な65分。8日までサンモールスタジオ。週明けがいい、らしいです。

家族の食卓。新聞を読んでる父親、テレビが大好きな長男、長女も家に居る。勤めてる次女、いろんな人。

ゆるい感じの駄弁芝居が売りの彼らです。見続けているとうすうす気づくのですが、たぶんきっちりとつくりこまれている感覚。場所も固定、人数も少なめでじつはスタンダードで見やすい仕上がり。ドラマ風のオープニング曲が凄く楽しかったりするのです。

緩く見えて、きっちりある種のフォーマットにはめ込んだ作り。観客が笑う場所をきちんといるのは安心感を生みます。加えて、土曜夜に入っていたビデオ撮影のために、観客が緊張するんじゃないかというところから多分一回だけの前説。ちゃんと客席を緩める力なのです。

わけのわからない人がたくさんということが多い彼ら。普段、黒岩三佳という役者はツッコミという役割を充てられることが多いのです。異儀田夏葉の突っ込みがきちんと機能していているおかげで、ボケもツッコミもできて全体の奥行きが増しています。根津茂尚の「うちの中にずっといる感」が楽しい。佐藤達の登場するだけで「親戚の子」感が凄い。

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速報→「嘘とバッファロー」あなピグモ捕獲団

2008.7.5 15:00

福岡から東京に拠点を移した彼らの下北沢初進出、なのだそうです。90分。6日まで小劇場「楽園」。

井戸の前に居る女。そこにやってくる人々。互いは知り合いなのかそうでないのかもあいまいなまま。その女を中心にはぐれないようについていって。

わりと明るい字幕を使ってポップな感じなのです。序盤はナイロンのような感じ。後ろに字幕があって、そこで物語が説明されていたりもします。終盤は前にみたのと同じ第三舞台の片鱗。

もの凄い速度でいろいろ考えていることを舞台に載せている感じがするのです。どこをガイドにしてみたらいいのか、というよりどころが欲しいと思ってしまうのです。主役はちゃんと真ん中に居続けるのですが、彼女自身が迷っている役だと思うので、アタシは視座を何処においたらいいのかわからなのです。

ネタばれかも

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2008.07.05

速報→「kiss me, deadly」smartball

2008.7.4 19:30

王子で旗揚げ、三鷹を経て三回目。佐藤左吉演劇祭の二本目。中央か、やや下手寄りを推奨。14日まで王子小劇場。125分。

ガレージだった場所。布団があり、荷物があり、ピアノやギターがあり。 父親の通夜の直後。一緒に育てられた「姉妹」たち。それでも忙しく、働く女たち。

アタシは全くダメな音楽の話とか、銃とかヤクザの話(←知らないよなあ、さすがに)がてんこ盛り。前半、興味も知識もないのに多分演奏は凄い男の子とその彼女の会話が面白い。演奏はできないけど、音楽の話がわからないのに調子を合わせる男のいい加減さが自分に重なります。フェスと動画サイトの勘違いなんか、なぜ思いつくそれ、てなもんです。その男と乞食と呼ばれる女の会話は女がねじ伏せるようにする会話のパワーバランスが面白い。

母親が定かではない(父親すらもしかして)三人の姉妹、同じ場所に住み続けてしまうモチベーションは何かを共有してきたひとと切れてしまうことへの怖れの強さ、つまり絆だったりもするのかと思うのです。

音楽の大音量とは裏腹に、声の小さいシーンがたくさん。上手側だとピアノと柱に挟まれて人物が並んでしまうために見えないシーンもいっぱい。だらだらと続くように聞こえる会話は飽きちゃう感じもあるのだけど、女優の美しさや色っぽさを観てると理屈とは別に脳みそが喜んでついていってしまうアタシはオヤジ。

ことさらに刺激的なシーンもたくさん。男も女も脱いでみたり、言葉もふくめて刺激を強くしているのですが、ほんとはそれがなくてもちゃんと成立しています。(男視線の)リリカルだったりつぶやきだったりするものがちょっと面白い。

ああ、そうか、パブリにあるとおり、これは「女芝居」なのだと思うのです。役者もそうだし、物語もちゃんと女目線(ホントのことはわかりませんが)だと感じるのです。

ネタバレとか

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2008.07.03

人に会う、ビールも旨い。

会社でちょっと大きなパーティ。沢山の人が集まるから、久し振りの人や喧嘩気味だった人とも会話できるのが楽しいのです。

で、当然ビールを呑むわけですが。

「貰って嬉しいのはプレミアムビール」というサントリーの広告。アタシが子供の頃家にあったのは、青いラベルのサントリーのビール。洋酒ではトップでも、ビールでは四番手でした。モルツ、プレミアムと追い上げてきているのは嬉しい気持ちだし、グラスを模った意匠の缶のデザインも嬉しい。

サントリーってのは広告に長けた会社で、「プレミアムビール」と「プレミアムモルツ」が同じ画面や紙面にあれば、がっちり繋がるじゃないですか。でも、前者はカテゴリの名前。「ザ・プレミアム・モルツ」「ヱビス」「ブラウマイスター」「プライムタイム」など、定番ビールよりも店頭での実勢価格が高い商品カテゴリー、なんだそうです。

調査したのは、専門会社(マクロミル)、でも、調査を依頼したのはサントリー。ならば、選択肢を作ったのもサントリーだと考えるのが普通なのですが、真相はさて。

週末。

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