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2008.06.30

速報→「コウエンノキマリ」tea for two

2008.6.29 17:00

小さな会話劇を中心とするtea for twoの新作。ミステリ風でもあるけれど関係が変わっていきながらいい話的な着地点。「劇」小劇場での公演は終了。120分。

公園で幼い少女が殺される事件が起きた。町内会は警備と夜間の封鎖を決める。 交代での警備や経済的な負担を感じつつも守っていく。居なくなった彼女に責任を感じてか待ち続けているが、これがあるから彼女が帰ってくると信じていて、守っている秘密があって。

実際のところ、死んだ女児の謎解きらしいものはありません。起きてしまった事件に対しての対策と、そんな事件が起きてもあまり集まらない人の中の小さなコミュニティで起こる関係の変化が見えてくるのです。

待ち続けている「公園の女」とクレジットされた彼女。公園に集う人々から気遣われてそうな存在。終盤に至って、彼女が隠していた秘密をめぐって公園で練習する芸人に襲いかかったあたりから、物語に少しばかりファンタジーが加わり、全部が見通せるようになります。

公園というパブリックスペースをまもるためのさまざまな「決まり」。その場その場は必要だから決めていくのだけど、閉塞していくような息苦しさ。そんな風景の社会派っぽい告発風でもなく、その世知辛さに首をひねる作家の気持ちに重心がある気がするのです。

惚れた腫れたに、ただならぬ関係風など、さまざまな関係を前半に詰め込んでいます。個人的にいえば、特に前半の女性たちの描かれ方が、特に惚れっぽさの軽薄さがあたしはあまり好きじゃなかったりするのだけど、結果的には後半に向けて手のひらを返したような変化が見えるのは楽しい感じ。 とはいえ、じゃああの警備員と町内会長のすこしばかりただならなそうな関係はいったいなんなのだと思ったりするのですが。

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2008.06.29

速報→「楽屋ちゃん」中野劇団

2008.6.29 13:00

京都発の劇団。去年の初東京公演の短編集に続いての東京二回目は、がっつり本格的の爆笑編。アートボックスホール公演は終了。

公演中の楽屋。保険証の番号を人知れず聞く羽目になったり、拾った猫をめぐって誤解されたり誤解したりとさまざま起こっても、表の芝居はちゃんと動いていて。

ネタバレばかり

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【落語】「末廣亭深夜寄席」

2008.6.28 21:30

二つ目を中心にして毎週土曜日に開催されている末廣亭の深夜寄席。ずいぶん久し振りに見た気がします。というか、座席もトイレも前に行ったときより格段に改良されていて、それは落語ブームだからなのか、あるいは近くに出来た副都心線対策なのか。ともあれ、立ち見の出るぐらいの満席。びっくり。

「悋気(りんき)の火の玉」林家ぼたん
「宗論」林家ひろ木
「たがや」金原亭小駒
「粗忽の釘」柳家三之助

終演後に出口のところで、小さなホワイトボードにその日の演目・演者を書いておいてくれるのはアタシのような素人には嬉しい。紙を配る手もあるけど、必要なら携帯で撮っておけるこのほうがなんとなくエコっぽい。

嫉妬に狂った本妻と妾が死してのちも火の玉になってぶつかり合っている「悋気の火の玉」。キリスト教にはまり込んでいる息子を諭そうとしている「宗論」。花火見物の人混みの中、田舎侍に、たが屋の職人が粗相をしてしまった「たがや」。そそっかしい亭主がかみさんに頼まれて壁に箒をかける釘を打つが、うっかりして壁の反対側まで飛びださせてしまう「粗忽釘」。

前の二人はイキオイで乗り切る感じ。比べて後半の二人はタイトでしかもちゃんと芸、というのはやはり比べてみないとわからないこと。三之助の「粗忽の釘」は他で観てはいるのですが、時間の短さゆえかタイト感は増していて、みやすい感じ。

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速報→「眠れない夜なんてない」青年団

2008.6.28 18:00

青年団の新たなスタンダードの予感。115分、7/6まで吉祥寺シアター。

マレーシアのリゾート。セミリタイア世代にコテージと日常のケアを用意する永住型の施設。退職や仕事での移住で静かで穏やかに日々を過ごす人々。数日のショートステイや、見学のために訪れたりもする。ある日、ここに住んでいる夫婦のところに、娘ふたりが訪ねてくる。久し振りに家族全員を揃える意図は..

昨今ではさまざまなスタイルの芝居も行いますが、青年団のスタイルというのはこういう感じだよなぁという芝居。新作としてはかなり久々ではないかと思うのです。年齢があがった役者たちにもぴったりな感じなのもスタンダードの予感を裏打ちするのです。

そのスタンダードを支えるのが、コアの役者たち。若い役者も増えている青年団ですが、志賀・山村・山内・松田・ひらた、などの面々が顔を揃える新作というのは、ことさらに派手なシーンなんかなくても、何というか迫力というか、舞台にチカラが溢れているという感じがします。

タッパの高い吉祥寺シアターを使いこなすのは難しさもあるのですが、そこもさすがで、広々としたリゾートホテル風の空間をきちんと作り出しています。広々とした余裕はあるのに、スカスカではない空間を、美術だけできっちり出来るというのは、たとえば湘南台での「南へ」の例を引くまでもなく、彼らなら当然できちゃうわけですが、この美しい舞台にほれぼれします。

ねたばれかも

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速報→「3on3〜喫茶店で起こる3つの物語」青年座

2008.6.28 14:00

外部の作家の短編を青年座の若い演出家が演出するスタイルの3本立て。「次世代を担う演劇人育成公演」の心意気。110分。29日まで青年座劇場。

好意をもって通う女は居るが、あまりはやらない喫茶店。見かけない顔の女の客に続けて飛び出したきり6年ぶりの娘が来て「コーヒーと紅茶とそこに入れるべきミルクと砂糖について」
同窓会帰りの女たち。もう若くもないが、久しぶりにときめいたりしたりもする。ひとり未婚の女の恋心に火がついて。「リバウンド・チャンス」
店の奥の水道管に不具合が見つかりどたばたとうるさい日。向かいの鰻屋にはドラマのロケが来ているようでこちらもせわしない。「鰻屋全焼水道管破裂」

喫茶店とマスターは同じというスタイル。上手端の黒板にタイトルを書き換えながらの3つの芝居。ただ、店の性格などはずいぶん違う感じで繋がり薄い感じ。

「コーヒーと〜」は、父親と娘と家族のお茶の風景が見え隠れする話。短い話なのにわりと早い段階であからさまにネタが割れてしまうまま、それをひねりなくストレートに見せる感じではあります。

「リバウンド〜」は飯島早苗節が全開の無駄話と結婚だのなんだのの話、というだらだら感(アタシとしては誉め言葉のつもり)。一種のアラフォー(Around 40)ネタではあって、仕事に突っ走ってきたし美人じゃないわけではないのだけど、40すぎてどうなんだろう節。個人的な好みでいえば、もっとタイトに切り詰めて役者の言葉としてなじんでほしい感じはあったりします。独身の女、結婚してる女たち、若い男たち、という構成で、むしろ結婚している女たちの方が多数派というのがどこか象徴的な感じ。更に恋愛の対象にもならない、理解しがたい若い男たちの存在もこの作家としては少し新しい感じがします。

いつまでも恋したいだのなんだの云い続けているというのもいいかげんなんだかなぁというのも自覚しているし、恋するだの好きだのいうのがどんどん難しくなっているというのも自覚しているのだけど、恋「しなきゃ」という焦りがあるというのも、なんかあたしの気持ちには腑に落ちる感じで、ああ、あたしはこの作家とともに歳を重ねるのだなぁと思うのです。こんなスタイルで、もっとジテキン節でタイトになった完成系を観たい、でもその素地となるものが見受けられるのです。

「鰻屋〜」はもはやギミック優先のつくり。ほぼ全ての役に二役をあて、その入れ替わりを楽しむのと、終盤近くでの緊迫感の中での(ミスではない)入れ替わり損ね、と席にいる初老らしい女が店を出るときに会話した相手を取り違える、というのがその構造を外側から見せる感じになっているのがポイントかと思うのです。入れ替えがあまりに見事すぎて、同一人物となかなか気づかないという役者が多いのも、いいのかわるいのか。

正直にいうと、全体にどたばたにすぎる感じだったり、少々スタンダードにすぎる感じはあって、せっかくの若い演出なのに突き抜けた感じはないは残念といえば残念。もちろん養成を謳っている公演なので、まずスタンダードを、という意味でこれが正しいというのもわかるわけですが。

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2008.06.27

通う。

先週の先行発売に破れ、今日の一般発売の勝負、第一希望は買えず、あわてて第二希望をなんとか。

福岡の「追い山」に会わせた日付の芝居、ギンギラ太陽'sのプレミアム公演、「女ビルの一生」。思えば今年の初めの「翼を下さいっ!」に始まり、そのイキオイで寝台に乗ってまで観た「Born to Run」。1ヶ月公演は観る予定ですから、ならば、その合間のこの芝居はみるしかあるまい、と。

何だ、この通い。

さーて。月曜夜に旅立って「はかた号」に乗るか、朝から新幹線に乗るか。帰りは飛行機しかないんですが。

週末

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2008.06.23

速報→「俺を縛れ!」柿喰う客

2008.6.22 19:00

劇場に飾られたあれこれも楽しい佐藤佐吉演劇祭の最初。30日まで王子小劇場。135分。

江戸時代、吉宗の亡きあとの将軍、下されたキャラクターを守る令を守らなくてはいけない「キャラ令」が発布される。幕府に忠実な地方大名のひとりに与えられたのは「裏切り大名」だった。

おそらくかれらにとっての初めての時代劇。とはいってもあたしと同様、史実を知らなくてもあまり問題はありません。

外側からレッテルを貼られるということをキャラと言い換え、それに縛られる人々を細かく描いていきます。正直なはなし、全体の尺も後半に至るまでも少々長い感じは受けます。エロが強いと思っていた印象も、今作ではほんの少しに抑えられています。

40人だろうとちゃんと舞台に載せてしまう彼らですから18人ぐらいは何ともありません。少々聞き取れなくても、ちゃんと物語を伝えてしまうというイキオイ。どうやってもこの口調、この演出、どこを切り取ってみても柿だとわかるフォーマットの強さ。おそらく若い観客はつか芝居を知らないでしょうから(あたしだってモンテカルロイリュージョン以降だ)、これは圧倒的に新鮮な体験の筈。

劇団の役者中心の公演が続いたためか、今回は客演がわりとメインな印象。 花組芝居(ずいぶん観てない気もするけど)の役者の確かな力。語り口もカラダの安定も、強がりの感覚も。その技術を無駄遣い(←誉め言葉)している感じがカッコイイ。思っていたよりも(失礼ながら)中心で話を運ぶ佐藤みゆきの魅力が全開、唄もよく。こいけけいこという役者をこんな使い方してしまうのもまあアタシ的にはどうかとも思いますが、見たことない面なのは間違いなくてボーナストラックような魅力は確かにあって。

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速報→「水平線の歩き方」キャラメルボックス

2008.6.22 16:00

ハーフタイムシアター二本立てのもう一本は新作。こちらも29日までアプル、神戸、名古屋。60分。

男が酔って帰宅すると、女がひとり待っていた。気がついたらここにいたといい、母親なのだと名乗る。23年前に亡くなった母親は、それからの男の生きてきたことを聞きたがって。

少年が一人立ちしたいと願う「ハック〜」とは合わせ鏡のように、一人で生きてきたと思っている男と、若くはない男が歳を重ねていく諦めきれなさと自暴自棄の相半ばのバランス。スポーツ選手を設定することで、普通に暮らしてる人よりも早く「衰えを自覚する」物語に説得力。

ネタバレかも。

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速報→「ハックルベリーにさよならを」キャラメルボックス

2008.6.22 1400

60分のハーフタイムシアター。劇団の名作三演め。29日までシアターアプル。取り壊しの決まったこの劇場、キャラメルボックスとしての最終公演にあたります。そのあと神戸、名古屋。

母親と暮らす小学生の男の子。家庭教師の大学生が気を引こうと趣味のカヌーの話をするうち、カヌーに魅せられてしまう。離婚した父親の家に月に一回の面会日に女性が通って来ている。

劇団としてのスタンダードのひとつ。キャストは大幅にもちろん変わっているのだけど、少年から大人に変わる時期の微妙な時期をわずか60分に濃縮している名作は年代が変わってもちゃんと受け継がれる確かなチカラがあります。

二演目の幕間(まくあい)にもそのまま居続けられるのは大雨では有り難い。そこでのトーク、再演に続いての本水を使用しての川下りのシーンは本多のそれよりは水量など増してはいるのだそうなのだけど、舞台全体を覆うほどの見た目と音の凄さとそのあとの静寂と感じたアレにたいしては物足りなさを残します。アベチカコというのもキャラメルボックスではかなり特異なキャラクタで、見た目も声もずば抜けていた上に当て書きに近い石川寛美と比較されてしまうと厳しい感じもしますが、頑張っています。少年を演じる實川貴美子はさすがに安定していてあたしの贔屓目を差し引いても◎。坂口理恵は云うまでもなく。

離婚した母親と父親、父親に好意を寄せる若い女性。あるいは一人になりたい、一人立ちしたいという感情。思春期固有の少年から大人に変わる時期の相矛盾する引き裂かれそうな感情の高ぶりの爆発がこんな形に屈折して発露するのは成井節の真骨頂。そんなことをこねくりまわさなくても、ちゃんとファンタジー、ワクワクするのです。

携帯電話は再演の時はそうだったと思うのだけど、未見の初演はトランシーバだったと聞いた気がするのだけど、何もエビデンスが見付からない。うむむ。

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2008.06.22

速報→「瀧川先生のエロメール添削スライドショーVol.2」

2008.6.21 19:30

mixiのコミュニティから出てきた、エロ迷惑メールの類をネタにしたスライドショー形式のトークライブ。前回 の反省からかきっかり2時間。Naked Loft。次回はなんとロフトプラスワンなのだそうです(11月)。

出会い系サイトにかかわるさまざまのネタ。サイトに登録されたあり得ないハンドルを列挙する「変ドルネーム」、出会い系サイトに登録してなんとか会おうともがくメールのやりとり(しかもそれが毎回数百円ずつかかる)を報告するネタの前半。後半はもともとの企画である、エロ迷惑メール(サイト誘導型の)の惹句をつっこんでいく「エロメール添削」。ずいぶんとあからさまな言葉が飛び交ったりもするのだけど、若い女性が多い客席も(しかも直前まで出ていた舞台はジャニーズ系だ)アルコールのチカラも手伝って、ちゃんと笑わせ続けるのです。

清水宏に近い雰囲気とい印象と、高橋メソッド的な手法が核になっているのも前回と一緒。ロフトプラスワンは150席、この雰囲気で押していけるのか興味は尽きないアタシなのです。

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速報→「て」ハイバイ

2008.6.21 14:30

ハイバイの新作。冷静な視線が冴える感じ。23日まで駅前劇場。95分。舞台を挟んでの対面客席。アタシは入り口から見て舞台を超えない手前側の奥でしたが、少々死角の多い感じがします。舞台渡って向こう側のほうが良さそうな感じ。

祖母の葬式に集まる家族たち。なんか今一つ牧師の説教もいまいちだし、葬儀屋もいまいちで。痴呆が始まった祖母のもとに、久しぶりに集まった息子娘たち。父親の暴力がもとになって全員がそろうことはほとんどなかったが、長女が懸命にまとめようとするが。

子供のころの父親の暴力。粗暴で理不尽でしかもじつは口も達者でない。子供たちが小さいころはそれを受け入れるしかなかったけれど、子供たちが独立すると、受け流したり寄り付かなかったりしていて。祖母の見舞いという理由で祖母の家に集まる息子たち。人のいい二男やまとめようとする長女、皮肉屋の長男という風情で、やがてどっくみあいの喧嘩になったり泣いていたり。

ネタバレかも

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2008.06.21

速報→「Root Beers ~ルートビアーズ」KAKUTA

2008.6.20 19:30

四年ぶりの再演作。初演の何倍もの広さの劇場をきちんと埋めるチカラはきちんと継続されています。130分弱。25日までシアタートラム。

ロサンゼルスのモーテルに泊まる強面たち。タマをとるためにやってきたが、アニキと呼ばれるリーダーが車にひかれ、ルートビアーをクチにした瞬間、突然倒れてしまう。次に目覚めたとき、それまでの記憶をすっかりなくしたまったく違う人格が姿を表す。

群像劇が多かったKAKUTAで芯となるオトコの役者を真ん中に据えての物語が新鮮だった印象のある初演。変わった配役も居るし続投も含めて印象は余り変わらない感じがしながらも、思い返してみるとスピード感とかイキオイで押す感じが殆どなくなり、むしろゆったりと流れる時間すら感じさせる仕上がり。スタンダードナンバーをいくつも使っているのもその印象を強くしている感じがします。

突っ張り続けることがオトコの勲章だと歌ったのは誰だったか、それを地でいく男たち。ヤクザ側ではない人々にしたって、何か追い求めたいと思うモノがあってそれは馬鹿馬鹿しいものだったりもするのだけど、一生懸命な男たち。作家の視線は彼らへの深い愛情と少々バカだなと思う感情で包まれています。その威勢を張ってる男の弛緩する一種のナツヤスミとか、台風クラブ的な「余った時間」感が気持ちに染みこむのです。

明石スタジオでの初演から4年の時間を経ての再演はトラム。あの劇場を狭く使い空間を埋める手法はこの4年の間に彼らが手に入れたものだと思うのです。モーテルの一室という狭い狭い空間をこの広さのなかで嘘っぽくしないのはたいしたもの。

親分を演じた青山勝、監禁中の成清正紀、若狭勝也のトライアングルは強固で揺るぎません。青山勝という役者を余り知りませんが、終幕の迫力の凄さは、ほどよい年齢感にあっています。清楚な役は久し振りな感じもしますが、高山奈央子は4年経っても変わらない魅力。大枝佳織・松田昌樹の韓国人兄弟の台詞はほとんどわかりませんが、表情や発音される音で感情の交換が見えるのがたいしたもの。

全てのトリガーとなるルートビアは沖縄のA&W(劇中買ってくるTシャツの柄が楽しい)が有名な、普通にのまれるジャンキーな炭酸。薬臭いといわれますが、大量の薬草ゆえ。アタシはなかなか味がある、と思うんだけどなぁ。(終演後¥100円で販売)

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2008.06.19

祭りの始まり

CoRich舞台芸術まつり2008春のグランプリが確定しました。

渡辺源四郎商店というのは、あまりにも実力派の劇団で順当すぎるという感じがしないでもありませんが、好き嫌いはあるにせよ、圧倒的な安定を見せたのは間違いないし、複数票を獲得したというMCR(観てないですが)、柿喰う客、パラドックス定数と名だたる劇団が並ぶのはやっぱり気持ちがよくて。

で、次のお祭り、王子小劇場の「佐藤佐吉演劇祭」がいよいよスタート。平日観劇が減っている最近では、初日に駆けつけるというわけに行かないのは残念無念なのですが、全制覇はめざしつつ、楽しみにしたいと思っています。

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2008.06.15

速報→「I do I want」空間ゼリー

2008.6.15 14:00

空間ゼリーの新作。22日までサンモールスタジオ。80分。

漫画が散乱する大学のサークルの部室。事実上の漫画サークル状態で、外は学園祭だというのに何をするでもなくいつものとおりに自然に集まり、何をするでもなくだべったりしている。同人作家が何人か居たりはするが、単に漫画を読むだけのメンバーも居る。隠しているblogがばれたり、恋愛が問題視されたりもしている。ゆるい感じで時間が流れているが、リーダーがやってくると空気が一変して。

大学でゆるいサークルという設定とはいえ、閉鎖された空間の狭いコミュニティのなかでの取り込みと排除の繰り返しを濃密に。彼女たちには高校を舞台にした「ゼリーの空間」という佳作があって、その系譜の上にある感じがします。大学という舞台に変わっても、そこに居続けようとする気持ちと、排除する拮抗の中のさまざまを鋭く切り取る視線は健在なのです。

サークルのリーダーの胸先三寸で排除されていく人々。何が導火線になるかわからない恐怖や見てみぬふり感の嫌な空気満載。サークルゆえに上下関係に由来する指摘できない関係というのもあって、同級生が主体の「ゼリー〜」とは違う感じのもやもやもそこにあるのです。 サークルという特性はその場所において同じことがひたすら繰り返され、人が入れ替わってもくりかえされていくだろうことを予見させる醒めた目線も感じられます。

BL好きの女性たちをサークルの多数派に据えてはいるものの、同質感ということ以上にはことさらなオタクキャラはあまりありません。同年代、美人ぞろいが逆に弱点になりうる空ゼですが、同世代感のある場所を描かせるとさすがに巧い。見た目に反して、「普通の若い女性たち」がそこに居る感じに見せることに成功していて、どのコミュニティでも起こりうる感じにみせます。サークルには多少の差こそあれ、この手の同質感に支配されているということはあって、それがうまく描かれているのです。

岡田あがさの豪快キャラでの登場はおっと思わせる感じ。成川知也のすこし年齢が高い感じはアタシには共感できる視座が得られる感じで少しうれしい。いや、あんなにモテるわけではありませんが(T T)。

ネタバレかも

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速報→「隣人と恐竜のポルカ」パルコ劇場

2008.6.14 19:00

後藤ひろひとの新作。豪華なキャストで意味がない物語の贅沢さ。15日昼までパルコ劇場。そのあと名古屋、新潟、福岡、広島、仙台、大阪。120分。

静かな住宅地の二軒並んだテラスハウス。左は兄妹で住んでいて、兄には娘がいてたまに帰ってくる。右は夫婦と息子。二つの家の世帯主は幼なじみで二人とも石野真子ファン。ある日、ゴミを埋めるために右側の庭を掘り返していると、恐竜らしい骨を見つけるが、隣に気づかれないように大もうけを企む。左側は隣のこそこそが気になり、石野真子がMCをしている恐竜番組に手紙を出し、石野真子が来ることになる。

作家が石野真子好きというのは知られた事実なのでしょうかね。今までの二本に両方とも石野真子という役をあてるのです。今作においても驚愕の事実が判明することになるのです:-)。作家がファンだってのを聞いたのは何時の日やら。

隣同士に住むことの、仲良さと競争心が全体のベース。どんどんエスカレートしていく隣どうしの競争。たぶんそれだけでも相当にコメディになると思うのです。男ふたりが幼なじみでアイドルのファンでそのアイドルが居るというのは、更に別の次元を足す感じの圧倒的な厚みをもたらします。

二つの家の無駄な争いに巻き込まれる息子・娘がロミジュリ張りに恋に発展するかと思えばさにあらず。男の片思いではあっても、女はまったく別の風景が見えているのもちょっと面白い。

英語のタイトルにある「K/T BOUNDARY(wikipedia)」というのが恐竜の世代を区切るもとの意味から派生して、 両家の頭文字で隣同士の境界線を意識させるのです。

大王がカーテンコールで云った、豪華キャストで意味のない芝居というのは言い得て妙。「全員集合」や「吉本新喜劇」に通じるベタが前面に或る感じ。正直な話、コテコテに過ぎるところに辟易する演技も混じってたりはします。とはいえ、物語自体には三谷幸喜張り(しかし、最近のテレビ露出、観てる人は辟易してるぞ)の緻密さがあるのです。 さまざまなウンチクをウンチク臭くなく取り込んでいるのもアタシの好みによくあってます。

副都心線開業の日、新しい駅は嬉しく思いつつ、ナンシー関のハンコ展の行列に恐れをなして見損なったのが残念だったりも。

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速報→「日射し」SPIRAL MOON

2008.6.14 14:00

さまざまな作家の書き下ろしを上演しながらさまざまな姿を見せるスパイラルムーンの新作。100分。22日まで「劇」小劇場。

三人の姉妹、その上には幼くして亡くなってしまった長男が居た。三姉妹が成人し、体の弱かった母親を亡くしてから半年ぶり、父の誕生日に合わせて実家に戻る三姉妹は、父の代わりに謎めいた人々に出会う。

白ずくめの舞台、三姉妹が並びリーディングのような体裁で始まる舞台。父親と母親の結婚が亡くなった長男の妊娠がきっかけだったことを丁寧に描いていきます。それをベースにしながら、半年ぶりに実家に集まった三姉妹が居なくなった父親に思いをめぐらせていく骨子は温かく包み込まれているような感じがします。

正直にいえば、初日昼の時点では初日らしい固さというか、微妙な言いよどみが散見されるなど、まだ進化の余地を残した仕上がり。初日ゆえというわけではないけれど、丁寧に描こうとするあまり、序盤など少々じれったく感じるところ、たとえば、あたしの好みならばもう少しタイトに見たい感じはします。

丁寧に描くという意味では、三姉妹それぞれ、恋人や仕事、続けたいことの三つをシンボリックに見せてはいるのだけど、それは実家に戻らないという理由としているに過ぎないところが少しもったいない感じ。物語の軸は別のところにあるのだけれど、あたしはこの三人の話がもっと観たい。

それでも、妻を亡くしたあとに会っていない父親の姿と、自分たちが生まれる前の二人姿や考えていることを想いをめぐらせていくというのは、両親が元気なあたしでも、年齢的に頭の片隅にちょっと「想像の及ぶ」光景で、これはこれでアタシの気持ちにつながっていくのです。

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2008.06.14

速報→「NAGISAA」北村想レジェンドプロデュース

2008.6.13 19:00

北村想が書きためていた戯曲の中の一本なのだそうです。女優一人が六役を演じる一人芝居。関東ではこの週末に横浜のみの上演。100分弱。15日まで相鉄保多劇場。そのあと名古屋、伊丹を予定。

うずくまり、囁くように語る少女。元気よく物語をせがむ少女。男とともに命からがら逃げる女。物語を読む女。そして、海辺の部屋を訪れる女と部屋の誰か。

さまざまな物語の断片や人物を集め、4つの話とカード占いの占い師の話として構成。それぞれの物語はゆるやかに繋がっているようでいて、ほんとんど関係なく並置されます。それを束ねる形でカードを並べながら占ってる感じ。

そのさまざまをちゃんと知っている「教養」があれば、断片あつめるゆえの面白さが出てくるのでしょう。そこに作家が考えたであろう世間に対して思っていることやある種のウンチクめいたものを大量に挟み、北村想節全開という感じがします。全身全霊という感じよりはもうすこし軽やかな作家の視座を感じます。

関連しそうもないピースを並立して見せられれば、どうにも興味を持続させられなくなりがちなアタシですが、ちゃんと見続けさせられたのはちょっとラッキーな感じもします。

が、アタシはこのピースを示された形のコレを、どのようにアタシの中に感じ取り吸収すればいいのか、という戸惑いも感じるのです。それはアタシの教養の足り無さってことなのかもしれないけれど。

カード占いは壁のようなところに貼って見せるようにして、間に解説も入ったりします。が、絵柄は相当小さくて、その並べ方に何かの意味があるのかどうかはよくわからないのです。まあ、もっとも見えたとしても、その意味をアタシが知ってるかというのはまた別の話なのですが。

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2008.06.11

プリントゴッコ

少しばかり旧聞に属しますが、「プリントゴッコ本体販売終了のお知らせ」がリリースされました。31年目なのだそうです。

年賀状はもとより、アマチュア無線の交信証、高校の部活の募集チラシなどなど、アタシにとっても20年以上に渡ってのアイテム。今のようにカラープリンターも普及してなかったし、グラフィックをキレイに印刷することもできませんでしたから、ペン書きやコピー原稿からどんなものでも安いコストで印刷できるのは凄いことだったのです。かくいうアタシももう何年も年賀状は印刷会社に出してしまっていますし、偉そうなことは云えないわけですが。

ネットもろくにない時代、この印刷機がコミュニケーションとかミニコミ的なものにあたえた影響は計り知れない、と思うのです。ほんとに。

週末の予定。

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2008.06.09

速報→「川中島Cats」エビビモPro.

2008.6.8 17:00

アタシは初見です。やけにコアな演劇好きが誉めていれば見ねばなりません。約120分、シアターグリーン、BoxInBoxで8日までで終了。

妹夫婦が訪れた行方不明の兄の部屋。20匹を超える猫を飼っていて人付き合いが下手な兄の部屋。突然現れた白い人は化け猫だといい、この部屋で起きたことを語る。

化け猫たちが、猫の恩返しよろしく、みんな死んでしまって男の部屋に人間の姿で戻ってくるという奇跡のミュージカル的なあたりは、キャッツですが、人間が出てきます。楽曲も微妙に似ていたりはしていても、それをすんでのところでオリジナルにするしたたかさも併せ持ちます。宅配便、女子高生、初恋の人、カリスマ美容師、ヤクザ、同級生と、彼が人付き合いするきっかけになるのはどんな人かと、考えた猫たちが楽しい。

30人を超える役者、ミュージカルというだけで見る気は削がれますが、なかなかどうして、口語演劇的だったり、ちゃんとミュージカルだったり。あたしがミュージカル不得意な原因である、歌のたびの拍手をさせないようにしているのはアタシには見やすい。

登場人(猫)物たちをいくつかにグループわけして、それぞれにエピソード、中のキャラクターをちゃんと描くのは、あたしの少ないミュージカル体験でも同じ感じで、ミュージカルというもののフォーマットなのだと思うのです。

前半と後半にわけ、後半にはロックミュージカル的だったり、すこしホラーテイストがあったりとおなかいっぱいになるほどの盛りだくさん。 テンション高くなりがちな舞台で、家主の朴訥な感じが緩急をつけています。織田裕二的な口調もやけにこの役にあうのです。

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速報→「鮮やかな食卓」角角ストロガのフ

2008.6.8 13:00

女優・角田ルミのユニット、旗揚げ公演。110分。8日まで明石スタジオ。

静かに食事をする父と娘らしい女。父親は友達の話として、娘に語りかける。
耳鼻科の男、ある日やってきた患者の「耳」に恋してしまう。その患者には芝居をやってる彼氏が居るが、ティッシュ配りのバイト先もいまいちそりがあわない。ある日、従順人形という等身大のものを買うが。
その娘に、世間は怖いから首輪をつけようとする父親を制して娘はもう一つ、自分の友人の漫画家の話を語り始める。漫画の主人公に恋してしまい、漫画家にまでなったが、セールスにやってきた男にその主人公を投影してしまう。男は転がりこみ仕事も止めてしまって。

父と娘の二人の食卓を舞台の一番上に、段々の構造で4+αのアクティングエリア。風俗風の店の事務所や耳鼻科の診察室と漫画家の部屋、男の部屋など、舞台の構成は結構複雑です。

父親の友人の話として語られる前半は、耳鼻科医、ティッシュ配りと彼女と従順人形など結構もりだくさん。先にみた友人は最前列下手だといわれていたのにすっかり忘れて上手端に坐ってしまったためかどうか、ちょっといまひとつ断片的に語られる感じ。それぞれがちゃんと物語を持ってはいるのだけど、核となるなる部分今一つ見えず、点描している感じ。終盤に至って、それが父親につながっていくことが示されるのだけれど、前半全体から見て、接点となる部分のバランスがあまりとれていない感じなのです。

それに比べると後半は、漫画家の女一人の一本筋の話で、相当に観やすい感じがします。それが退屈だという指摘も理解できますが、あたしはむしろ気持ちの持って行き場が固定している後半の方が好きで、終幕のまとめにもきれいにつながる感じがします。もっとも、娘といわれるほどの年齢と漫画家の27歳がつながらず、これはこれで腑に落ちる感じはしません。

27になって、漫画の主人公に恋してて、年下の幼い男にほんとの恋してしまうってあたりの話が、まあありがちなのだけど、あたしが好きなタイプの話ではあるわけですが。川上弘美か、てなもんですが。

日曜昼には、他劇団の主催者二人を迎えてのトークショーを設定。友達感覚の、まあ内輪話といえば内輪話ではあるのだけれど、角田ルミという女優じたいを多くは知らないアタシには、彼女が巻き込み型でたくさんの人を巻き込みながら、それがたとえグダグダだったとしても、まわりがそれを許して盛り上げてしまう感じなのだなぁということはよく感じられて成り立ちが見える感じ。役者だった人の旗揚げですから、最初から完成度が高いことは期待できませんが、まわりにつながっている人がたくさん居る、ということは間違いなく彼女の力。それはもしかしたら回数を重ねていく中で化ける可能性があるんじゃないかなとも思うのです。

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2008.06.08

速報→「杭抗(コックリ)」乞局

2008.6.7 19:00

人間の気持ち悪いところを突き詰めて描く乞局の新作。15日まで、こまばアゴラ劇場。110分。公演前半には、終演後に20分ほどの短編「グレムリンの行程」を上演。

「平和島」をめぐる3つの時代の物語。戦後埋め立て地につくらえた戦犯の収容施設では、戦犯を認めない男が日本に居た妻が毎日のように通ってくるのに会わず、戦地で強姦した女を自分の妻だと言い張る。それから数十年、放置自転車の保管所のまわりでは、突然襲われ殺される事件がいくつも起こる。さらにその後、廃墟と化したその建物では密かに営まれている商売があって。

平和島をめぐる土地の記憶と現状、未来という3つの時代と、繋がっていく人々を描く一本。ことさらの気持ち悪さや退廃感は薄れ、ある種の大河ドラマのような「繋がり」を強く感じさせる物語になっています。もちろん部分部分ではその気持ち悪さが顔を見せますから、人によっては受付けないシーンがいくつもあるかもしれません。それに嫌悪感を感じないアタシの方がどうかしているともいえます。

どこかで聞いたことがあった気もするのですがすっかり忘れていた、平和島と収容所(文中にある写真のリンクは切れていますがここ)の話。平和島が島でなくなり、負の遺産ゆえに消し去ろうとされててきた、この土地の記憶が確かにここにあるのです。

かつてはもっと露悪的だったり、強い刺激だったりした気もするのですが、最近は、すくなくとも表面的には気持ち悪さ目一杯という感じではなくなってきています。もちろん細かいところである種の気持ち悪さはあるのですが、それよりももっと「人の繋がり」のようなものに、作家の興味が移っているという気もするのです。

ネタバレかも

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速報→「小部屋の中のマリー」DULL-COLORED POP

2008.6.7 1500

ダルカラの新作。脳がかき回されるような面白さと役者の魅力。110分。9日までタイニイアリス。

本が好きで利発に育ったマリーは、父親が地下室に閉じ込めたまま一歩も外に出さず、色のついたものを一切見せずに16歳まで育ててきた。発見され、病院に移されたマリーは、医者や福祉関係者のもと、治療に入る。父親と隔離されてしまったマリーは医者たちと口をきかなかったため、経過観察という状態のまま日々が過ぎていった。医者の一人はその臆病風に吹かれた措置を苦々しくおもっていたが、ある日ふとしたきっかけでマリーの興味を引き、話をすることができるようになった。

劇中でも語られる思考実験「マリーの部屋」を核に、マリーなる少女と彼女が出てきたあとの出来事を描く構成。クオリアなんて言葉は茂木健一郎か某家電メーカの製品ブランド名だと思ってたアタシにはぼんやりとしかわかってなかった言葉が、形をもって目の前に提示されていくような面白さがあります。たしかに言葉もところどころ難しいし、ホントのところは理解してないという気もするのですが、なんていうんだろう、好奇心が満たされていく面白さのようなものがあります。

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2008.06.05

初体験。

年齢重ねりゃガタも来る、というわけで人間ドック。父親の世代だともっと時間かけてた気もするのだけど、いまは僅か3時間であっというま。

メタボ検診の影響か、腹部CTが導入。自分の輪切り脂肪映像ってのはちょっと凄い。内臓にはたまりにくいようで、一安心ひとあんしん。外側でぐるぐる回ってるところがちょっとSFチックでカッコイイぞ。

もう一つは内視鏡検査。バリウム飲むのも捨てがたいのだけど、何事も経験です。若いうちにいっかいはやっておきたいところ、と思って。昔よりは相当楽なのだそうですが、それでもかなり無様な感じはあって、口から入ってきた管がずっとおなかのあたりまで来てる感覚は未だ経験したことのないもので、これはこれで楽しい。

まあまあ大丈夫な感じ、まあ、酒は少々控えて、水呑め、と云われるのはいつものことですが。

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2008.06.04

速報→「第17捕虜収容所」フジテレビジョン

2008.6.3 19:00

映画としても有名な戦時中の話。自転車キンクリート公演として2公演しての、東京グローブでの公演。8日まで、140分。東京終了後は大阪。

第二時大戦下のドイツ軍の捕虜収容所。連合軍捕虜たち。10人のバンガロー。脱走やさまざまな企てがが次々とドイツ軍側に漏れてしまう。新たにやってきた捕虜が連行中に起こした事件で連行されてしまう。

スパイは誰か、ということが物語の主軸を占める話。映画も初再演も見てしまっているアタシには、その意味でのドキドキは少なめ。もちろん舞台は広くなっていますから、息苦しさのような感じはさすがグローブ座では厳しい感じもしますが、徐々に明らかになっていくスパイは、やはりちゃんとドキドキしますし、広い舞台のなかでも注目する視点をきちんと配し、わかりやすく組み立てていきます。

ちいさな役にもちゃんと見せ場をつくるようにした結果か、時間はさすがに長めではありますが、客席がちゃんと静かなままきちんと物語を追いかけている「感じ」がします。いわゆる芸能人目当ての観客が多いこの公演でこれはたいしたもの。 携帯電話の注意もしないままでも一回も鳴らないってのは客が偉いのかもしかしたら設備のおかげかもしれませんが。

あまり最近のグローブ座には足を運んでいないアタシですが、鈴木裕美演出を目当てに(ほかには見逃している公演もあるのに)続けて 三宅健主演舞台を観ているアタシです。さすがにこの年齢層の役者の中でこの役柄をするには若すぎる感は否めませんが、シニカルとまっすぐを併せ持つ感じはよく出ています。

小劇場側の観客としては、岡山はじめ、瀧川英次の二人の掛け合いのシーンが多く、テンポも作っていて楽しい。もう一人の小劇場人、小村裕次郎はセリフらしいものはほとんどありませんが、暴れるシーンの迫力はたいしたものなのです。

この前の三宅健主演舞台の時に困ったなぁと感じた、公式サイトの情報の少なさは、圧倒的に改善されています。惜しむらくはスタッフがもうちょっと充実してるといいのですが。パンフレット買えって、ことだとは思うのですが、そこはけちらなくてもいいのにと思います。

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2008.06.02

速報→「月の平均台」タテヨコ企画

2008.6.1 19:00

タテヨコの新作。100分、駅前劇場に作り込まれた森に、まずびっくりするのです。3日まで。

突然居なくなった妻を探すため、深い森を訪れる一行。近所の弁当屋の女がその行方を知っているといったので、ついてきたのだ。その森には行き場を失った人々が住んでいて、奥の方は伝説の「ぬし」が仕切っていた。

劇場に入った瞬間、うっそうとした森の中に迷いこんだような感覚。リアルというのとは少し違う気もしますが、手入れされないまま放置された場所の雰囲気。

ありそでなさそな、失踪日記ふうの道具立て。視点は探す側にありますが、そんな場所で暮らすざるをえない人々とそこを訪れる人。結構深くて広い溝に唖然とするのです。

たぶん普通の観客の視点は妻が失踪した夫にあると思うのですが、最終的には理解できない他人と暮らすことの経験値のないアタシには、むしろ過去の一瞬とはいえ、経験したリーダーの立場の方が腑に落ちる感じがします。うまく行かないグループとか、止め時を考えあぐねる感じとかが、むしろぴんとくるのです。

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2008.06.01

速報→「長春:ぐあいが悪くてお休み」ワワフラミンゴ

2008.6.1 16:00

女性ばかりわかったようなわからないような不思議な感覚の45分間。下北沢ファインホールで間をあけながら8日まで。6月いっぱいでファインホールは閉館なのだといいます。

会社を休んだらしい女、そこに入れ替わりたち変わり人が来て。

正直な話、物語はよくわかりません。読書してるかと思えば、はちみつ飲んでみたり、画鋲にこだわってみたり。窓の外をみて世間は働いてるなぁと思ったりするのは確かに休んだときの特権て感じはします。本の山をみながら、いいのと悪いのとをコダワッテ分けていたりもするのだけど、それも正直なところよくわかりません。あるいはそれとは関係ない二人が登場して本をより分けてみたり、においかいでみたり。

とめどなく、あれこれ夢想したりするのだけど、それがつながりがなくて、積極的にみようという意思がないと相当つらいかもしれません。あたしは女性たちが話しているこういう感じが好きだからってことは多分にある感じがします。アタシはこれをきちんと言葉で表現するチカラを持ちません。が、これを可愛い、というだけで云ってしまうというのはあまりに勿体ない。

終幕で一定の種あかしというかまとめをしてる感じはあるのですが、それは最初話していた人がじつはここに居ないということと死後の世界を覗いているという表現は思わせぶりですが、それもわかったようなわからないような。でも、なんか繰り返してみたくなる感じがちょっとしてしまうのです。

ファインホールは、ドラマのモデルになったこともある場所。ファインホールが6月いっぱいで閉館なのです。なんかちょっと感慨深い感じもします。

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速報→「Chotto Dake YOn~?」快快(faifai)

2008.6.1 13:00

主宰の誕生日イベントを挟んでの10名限定イベント。食べ物のおいしさは折り紙つきの彼ら。晴れた日の縁側も楽しい。2日まで、下井草・右側二軒目(場所は左側なのに)。

一軒家、畳敷きの部屋。食べたり飲んだり、隠し芸的なことだったり。

彼らの前回公演に対して内輪すぎるということを指摘する声があったりするのだけど、それこそが彼らの、もしかしたらこの世代の、(彼らの周りの)人々の特質という意味のリアルだという気がしてなりません。客も(メンバーと親しいというわけではない人でも)だれとでもうちとける感覚で話をしていて、初対面を軽々と乗り越えてきてしまう彼らをみていると、実はそれが彼らの当たり前で、その内輪感覚に違和感を感じるのは、むしろ世代とか属してる集団の違いに起因するだけ、という気がしてならないのです。

あたしは彼らの年齢からはかなり離れているけれど少人数、畳敷き、縁側つきの晴れた日の美味しいゴハンもあいまって、その「仲間に混ぜてもらった」ような楽しさがあります。

ネタばれは公演終了後に。(追記しました2008.6.2)


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速報→「ここにいたのにいなくなる」あさかめ

2008.5.31 19:00

ヒザイミズキと児玉洋平のユニット。110分。日暮里のHIGURE 17/15 cas 。

ギャラリーというか倉庫というかアトリエのような場所。真ん中に似顔絵を張りまくった木のようなもの。若いアーティストたちが集まる。オーナーらしき女は忙しく日々をおくり、才能の発掘育成に余念がない。かつて寝食忘れて作品をつくり続けていた場所に数年ぶりに戻ってくる女。

作品をつくり続け、才能にあふれまわりが全て助けてくれていた時代、その数年後に戻ってきて作品づくりを再開しようとする時代、そのあと再度もどってきて、昔の女友達に再開する時代。三つの時間。最初の二つは今・昔と切り替わりながら進みますが、その転換は明らかではないし、人を残しながら、しかも同じようなシチュエーションの絵で切り替わるのでわかりにくい感じはあります。が、それもやがて慣れてきて、それほど問題ではありませんから、見せ方は意図的かもしれません。

表現したいという気持ち、人に見てほしいと強烈に思い続ける熱さ。自分は変わらない一人だけど、周りの人は時間の流れの中で温かかったり、冷たかったり、変わらなかったり、変わってたり。年齢を重ねると自分の才能や能力の無さに気づいていったり。もう日々自分の人生の選択肢が狭まることを実感するアタシは震わせられる感覚。悲しいけれど直視しなければいけない瞬間。その怖さ悲しさ怒り卑屈全てが入り混じるような感覚なのです。

前半部分だけでももかなりの厚みがある物語。そこに輪を掛けて三つ目の時間の物語で登場人物たちの奥行きが増していくような感覚を受けます。

売れるなんて夢にも思わなかったアーティストが急速にブレイクすることをうらやむ気持ちとか。同じぐらいの年齢なのに、友人には才能と熱さがあるのに、自分にはどちらもない、そこそこの器用貧乏とか、みんなの幸せを心の底から祝福するとは限らない、という感覚が、なんかリアルな感じがするなぁと思うのです。

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速報→「マチルドハイタワー」トリのマーク

2008.5.31 16:00

劇場公演久しぶり。場所から発想する彼らの。日曜日までスズナリ。60分。

かつて劇場があった「みち」を見学に訪れたらしい人と、案内する人。いろんな人が通りかかって。

どこでもない、というよりは劇場のあるこの場所のはるか未来というような設定。この場所が道路にはなってもかつて劇場だったという場所の記憶は残っているというのは、トリが描き続けている「場所の記憶」の系譜に繋がります。アンケートで「道の思いで」を書かせて見せているように、おそらくはあちこちから「採集」したことばが埋め込まれていて、道にまつわるさまざまなことばを詩のように挟みつつ進むのです。

前回の劇場公演と同様に、若い役者にはそれぞれに一人芝居というか一人語りのようなシーンをいくつも挟みます。カットインの仕方は前より向上していますが、今のところはやはり古参の役者に比べるとかなり歴然と差があるのも事実なのです。おそらくはワークショップから練り挙げてきたものだろうと想像するのですが、街の記憶というのとも違うし、ちぐはぐ感はどこかぬぐえず。

街が変貌していくのは、たとえば将来に備えて地下通路をつくっていたり、でもそんな予測は外れて住みついてるヤカラがいたりと、およそ道路やインフラなら、増加を見越してやってきた日本だけど、これからはそうじゃない、なんて感じにシニカルに感じられたりも。

「休憩といえば火」とか「あなたとわたしの秘密」とか「となりの国の人」とかいくつもコミカルなシーンがあってけっこう好きだったりするのですが、アタシはもっと、この一人の作家の言葉の中に浸ってみたいとも思うのです。

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