速報→「I do I want」空間ゼリー
2008.6.15 14:00
空間ゼリーの新作。22日までサンモールスタジオ。80分。
漫画が散乱する大学のサークルの部室。事実上の漫画サークル状態で、外は学園祭だというのに何をするでもなくいつものとおりに自然に集まり、何をするでもなくだべったりしている。同人作家が何人か居たりはするが、単に漫画を読むだけのメンバーも居る。隠しているblogがばれたり、恋愛が問題視されたりもしている。ゆるい感じで時間が流れているが、リーダーがやってくると空気が一変して。
大学でゆるいサークルという設定とはいえ、閉鎖された空間の狭いコミュニティのなかでの取り込みと排除の繰り返しを濃密に。彼女たちには高校を舞台にした「ゼリーの空間」という佳作があって、その系譜の上にある感じがします。大学という舞台に変わっても、そこに居続けようとする気持ちと、排除する拮抗の中のさまざまを鋭く切り取る視線は健在なのです。
サークルのリーダーの胸先三寸で排除されていく人々。何が導火線になるかわからない恐怖や見てみぬふり感の嫌な空気満載。サークルゆえに上下関係に由来する指摘できない関係というのもあって、同級生が主体の「ゼリー〜」とは違う感じのもやもやもそこにあるのです。 サークルという特性はその場所において同じことがひたすら繰り返され、人が入れ替わってもくりかえされていくだろうことを予見させる醒めた目線も感じられます。
BL好きの女性たちをサークルの多数派に据えてはいるものの、同質感ということ以上にはことさらなオタクキャラはあまりありません。同年代、美人ぞろいが逆に弱点になりうる空ゼですが、同世代感のある場所を描かせるとさすがに巧い。見た目に反して、「普通の若い女性たち」がそこに居る感じに見せることに成功していて、どのコミュニティでも起こりうる感じにみせます。サークルには多少の差こそあれ、この手の同質感に支配されているということはあって、それがうまく描かれているのです。
岡田あがさの豪快キャラでの登場はおっと思わせる感じ。成川知也のすこし年齢が高い感じはアタシには共感できる視座が得られる感じで少しうれしい。いや、あんなにモテるわけではありませんが(T T)。ネタバレかも
この先も何も変わらないだろうと彼女たち自身が気づいているのだけど、「変われる」と信じて一番堅実な(ちゃんと就職も決まっている)一人が選んだのが告白だというのは、大きなことも小さなことも地続きに感じている若い感じの視点として面白い。若くもないあたしも冷静に考えればなんだそりゃ、と思わなきゃいけないという気もするのだけど、それを胸を張って言い切ってしまう彼女たちはあたしにはあまりにまぶしいのです。
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