速報→「アタシだけ怒られた」バナナ学園純情乙女組
2008.5.3 18:00
中屋敷法仁(柿喰う客)の作による、桜美林大学発の一本。桜美林GARA参加。80分。5日まで。
中学校の「現代大衆芸能研究会」なるクラブの部室。行方不明になってしまった友人にまつわる話。断された右腕が発見され、用務員が犯人と疑われているが、その友人が死んでしまっていることを知っている4人の女子中学生たちは、テストも終わったことだし自殺でもしようかと試みるが未遂に終わる。部室に集まって彼女を呼び出そうとオカルトに手を出したりして。
高いテンション、ゆがんだ愛情の中屋敷台本の特色が現れた物語。演出は彼ではありませんが、役者の芝居のありかたが、どこか柿の役者に透け見えてしまう感じがあります。たとえばかつての、つかこうへいの芝居をする多くの劇団がそうだったように、一種のフォーマットといってもいいのかもしれません。模倣から始まることもありますから、これはそんなに悪いことじゃありません。完成度とか、役者のレベルという点を切り取ってみても、あるいは物語の緻密さのようなものを考えてもまだまだ先は長い感じがしますし、この演技のありかたや物語が、「柿」がそうであるように圧倒的に新しいというわけではありません。若い役者だからこそテンション芝居が合っているという点もありますが、反面この歪んだ愛情の表現には彼らは若すぎるんじゃなかと思ったりもするのです。
霊能力で死んだ友人を呼び出そうとするがそれを安全に行うための道具立てであるバナナミルクのあたりとか、冒頭のインパクトあるシーンとか、度重なる校長の女教師への呼び出しとか、あるいはリスのように落ちた食べ物を拾ってたりと、細かくあれこれを点描してはいるものの、なんか変な人が一杯居る、という感じ以上にならないのはむしろ冗長な感じがして勿体ない感じもします。
なんて不満を置いておいても、若い役者たちのテンション芝居はコンパクトなこともあって一気に観てしまう感じはあります。次々乗り移る、という「転校生」的シチュエーションは、コミカルな要素を増やす効果もあって。
終幕、再び自殺しようとするキョウコを止めるシーンは結構グッと来る良さがあります。演ずる菊池佳南は小さく見えるカラダの迫力がもっとほしいけれども居るだけでの雰囲気の強さ。演出を兼ねる二階堂瞳子は芝居の点でもコミカルからテンションまで圧倒的な感じはあって、物語とは何の関係もない隅っこでやってることにも目が奪われてしまう感じ。テコンドー部、というクレジットのばんない美喜子は芝居としてみるとちょっと癖がありますが、跳び蹴り回し蹴りが実に美しく迫力あって決まります。ポーズをとって空中を浮かんでいる、まるで少林少女、みたいというと言い過ぎですか。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「昼だけど前夜祭」劇団チリ(2024.09.16)
- 【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2024」サードステージ(2024.09.08)
- 【芝居】「雑種 小夜の月」あやめ十八番(2024.09.01)
- 【芝居】「ミセスフィクションズのファッションウイーク」Mrs.fictions(2024.08.30)
- 【芝居】「氷は溶けるのか、解けるのか」螺旋階段(2024.08.27)
コメント
見に来て欲しいというので,学芸会を見に行くノリで仙台から行きました。
我が子もさることながら,菊池佳南さんの舞台を見たいという思いが強くありました。高校卒業の春休みに演劇部OG有志で作った劇で,彼女のファンになったのでした。今回,美貴子は佳南さんに誘われて出たようですが,農工大テコンドー部というクレジットは,他の出演者たちと比べたら全くの素人だよ,ということの配慮だったと思っています(演技は高校生の時と同じでした)。
そんな拙い演者であるばんない美貴子に暖かい評をいただき,深く感謝してます。ありがとうございました。わざわざハンディカムを買って,町田まで出かけていった親バカです。4日の特別公演の模様をYoutubeにアップしてますのでよろしかったらご覧下さい。
投稿: ばんない(父) | 2008.05.08 22:30
親御さんからコメントというのは初めての体験です。ご丁寧にコメントありがとうございます。YouTubeに行って、バナナ学園純情乙女組、で検索してみました。いくつもパワフルで若い劇団らしいパフォーマンス楽しませていただきました。ありがとうございます。また楽しみにしております。
投稿: かわひ_ | 2008.05.10 02:33