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2008.05.05

物語が、始まる」月影番外地

2008.5.4 13:00

川上弘美の短編を原作に、千葉雅子の脚本・木野花の演出で舞台化。高田聖子のプライベートユニット、月影十番勝負の番外編。110分。4日までRED THEATER。

公演で拾った「男の雛形」を持ち帰った女。形は人間で言葉も喋るが知識も常識もなにもない状態の彼と同居する。

異型で自分よりも弱いであろうモノとの私的な関係を少しSFめいたかたちで描く川上節。KAKUTAで上演された川上弘美作品( 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7) のいくつか (「星の光は昔の光」や「離さない」)にもどこか通じる枠組みに、更に時間の流れという「センセイの鞄」的なものを組み合わせています。これがむしろ先に書かれてるようですが、更に盤石な感じにみせます。恋人と呼べるものとの関係が変化していくところも、ちょっと複雑な深みを持っています。

主人公となる女の独り言を描くト書きが川上弘美の文体をつくっているところもあって、リーディングではそこが大切にされています。これを芝居にするために、会話だけで成立するようにしてあります。未読だったのだけど、会場で売られていた原作を読むと、さらにちがう場面が付け加えられていたり、けっこう端折られていたりして、ずいぶんと手を加えてしまったことがわかります。原作にはトンカツなんて下りはないし、最後のあたりもずいぶんとねっとりした感じに加えられています。それなのに、セックスが出来ないということを受け入れた二人が包容する場面に至るところがばっさり切られていて訳の分からない感じに成っていたりします。

ずいぶんと切り刻んでしまったものだとおもうのですが、それでもちゃんと川上節にはなっていいて魅力は残っています。が、原作を読んでしまった今になると、あるいは原作をリーディングという形にして更に世界を広げたKAKUTAの上演を観たアタシには、あまりいい出来だとは思えません。原作を読まずに観たから面白く観られたわけですが。もちろん、最初は子供ぐらいの大きさだったものが大人になる、というような原作そのまま、というわけにはいきませんが。

辻修という役者はずいぶん癖のある役者ですが、子供から老人という流れをきちんと押さえます 。こどもの時期に重点を置いた描き方になっているのも、彼には有利でしょう。加藤啓は抑えた感じの役をきちんと。高田聖子にも不安はありません。

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