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2008.05.19

速報→「ジンジャーに乗って」快快

2008.5.18 18:0

小指値改め快快(faifai/ファイファイ)の改名後最初の公演。60分。25日まで王子小劇場。 セグウェイ(開発名ジンジャー)の試乗は開演1時間前までに先着30名。あたし乗りそこないました。初日から変わり続けているのだそうです。

セグウェイに乗った二人の男たち。いつ降りる?どうする、街で会ういろんな人々。

ネタバレかも

一幕目と呼ばれる前半30分はセグウェイにのりつつ、そこから何時降りたらいいのかを決めかねている二人。雨が降ってきたらだか晴れたらだか降りようと決めるのだけど、天気はどっちつかず、曇ったなかでの気持ち。コミカルなあれこれも挟まります。六本木の由来やら、デモの大群衆に紛れるやら、落ちてくるモノでの大発見とか、骨折とか。

続く 二幕目は、セグウェイを借りに静岡まで行く日その前の日という設定(実は後らしいのだけど)の、酔いつぶれるまで飲み続けた朝の風景を語ります。やがてその断片は一幕目のあちこちに顔を出しつながっていることが見えてきます。ポップだし派手な全体なのだけど、彼らが立っている場所から観ている、今の時代の姿を皮膚感覚で、しっかりと描き出す表現の豊かさに圧倒されるのです。

六本木の高揚と渋谷の街の夜と昼の姿をストイックな会話劇で描いたチェルフィッチュの「三月の五日間」( 1, 2) はあたしがチェルフィッチュで一番おもしろいと思っている芝居ですが、今作ちょっと似たモチーフを感じます。渋谷ってのはそんなにデモの街なのかしらんと思うけど、確かに昼、パルコの前で見たしなぁ(知り合い居るかと思ったが見つけられなかった)。が、アタシにとっては本作の方が格段に見やすいのです。リアルではあるけれど気持ち悪い違和感ということもなく、本作はもっとツクリモノ、芝居に近いところで踏みとどまっている感じがあって、アタシにはこちらの方がぴんと来るのです。

でも、じっさいのところ、物語を紡いでいるという感じではありません。普段は物語があることこそが至上に考えているアタシなのだけど、これはそうではありません。でも突出しているということの凄さがあって、圧倒されるのです。

トークショーによれば、「セグウェイを乗りに行く」というところから物語を紡ごうとはしたものの、やけにいい話というかノスタルジックに流れてしまうために、方向を変えて物語はストイックにそぎ落とし、ある日の出来事から発想する気持ちや光景や単語の断片のリミックス。今、だらだらと続くコレをいつを止めたらいいのか迷ったり云いだしかねていて、ひたすら暇な時間をどうつぶすか。今が嫌なわけじゃないけど、いつかは止めなきゃいけないことはわかっていて。

それだけではありません。何もないところに街が出来た、という僅か数年の地方の様子を、焼け野原から街になった六本木に重ねてみせるとか鮮やかでびっくりするのです。

いろんなこと、観たモノ聞いたこと、いったところ、会話したことなどの 断片がつながって混じり合って、頭の中でストリームになる過程。夢といえばたしかにそうだし、ぼんやり物語を紡ぐというのはこういうことかもしれません。たった60分の芝居でこんなにも濃密にスマートに、しかし気楽に見せるのです。

後半、会話する人と寝ているというか死んでるように見える人というのは、二日目以降に追加された演出なのだそうで、初日は全員立ったまま喋っていたのだといいます。瞬間瞬間が死んでいくのだという指摘を受けてあっさりと変えてしまうフットワークの凄さも、彼らの持ち味。

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コメント

いました。帽子かぶってたからねー
車も人もいっぱいのとこに、すいません>渋谷のみなさま
いあ、あっち方向からパルコに来たのは初めてだったよ。

投稿: あれ | 2008.05.19 21:41

遅くなりましたー。うあー、やっぱいらっしゃいましたか。

投稿: かわひ_ | 2008.06.16 23:05

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