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2008.05.25

速報→「4x1h project #0」Bプロ

2008.5.24 17:00

戯曲選抜企画のBプロ。25日までルデコ、90分。

早朝の喫茶店、徹夜開けのタクシー運転が来たりするような店の奥から聞こえる奇妙なうめき声は「喫茶店」。
遅刻しそうな女子高生が普段使うバスの代わりに地下鉄・極楽メトロに乗って通学すると、痴漢ばかりが乗っている車両の中で、胸ばかり触る痴漢にスルーされたのが気になって「ひとさまにみせるもんじゃない」。
戦争の村、制圧されてドイツ兵が民家に滞在する。ソバージュばあさんと呼ばれるその老婆は戦争に行った息子を待ちつづけている。戦争も終結し、帰国を待つ兵士たちに届いた手紙は「ソバージュばあさん」(モーパッサンの原作、というクレジットが入ります)。

「喫茶店」は短めに20分程度。 少し狂った日常という、エレファントムーン的な世界をあっというまに作り出してはいるものの、その舞台をしつらえたところで止まり、物語が回り始めていない感じがしないでもありません。

「ひとさまに〜」は 濃密でぐいぐい引っ張る感覚で気楽に見られる半面、柿の公演と何が違うんといわれると、わりとそのまんまだったりします。限りなくシモネタだし、だめな人はだめだろうとも。あたしはかなり好きなのだけど、演出が作家本人ではなく、出演者も柿の面々ではないのに、ここまで同じ香りになるというのは、(懐かしい小劇場演劇だというフォーマットも含めて)今回の6本の中ではこの1本だけが全く異質な個性を持っていると云うことなのかも知れません。

「ソバージュばあさん」 モーパッサンの同名の短編を原作に引いているらしいのですが、脚色を加えたのかどうかはよく知りません。丁寧に描いた物語が確かにそこにあります。もとは小説のようですから、戯曲に変えるという過程が作家の仕事なのかも知れません。ただ、作家たちを前面に据えたリーディング企画という趣旨からすると、もし原作の色合いが強いならば、コンペ形式でもあるわけですから、他の作品と同じ土俵ではないのではないか、という気がしますし、作家達の言葉を聴きたいと思っているアタシには、少しばかり肩すかしにも感じるのです。

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コメント

レビューをありがとうございます。いつもブログ拝見しております。ソヴァージュを書いた者です。

どれくらい原作でどれくらいオリジナルか、ということですが、原作からは設定の大枠と文章を数箇所引用しただけで、他はほぼまるで一から書いています。原作にはエピソードというものがほとんどないので、手紙や猟銃を見つけたり、スープを作ったり、指を切り落としてしまったり、言葉が少しずつ通じるようになったり、と、あれこれ足して、戯曲としての展開をつけたつもりです。翻案という意味ではかなりオリジナル色が強いものですが、最終的に提示しているもの、物語の芯はやはり原作通りですので、モーパッサンの胸を借りたというのが正確な言い方かと思います。

> 作家達の言葉を聴きたいと思っているアタシ
ソヴァージュのラスト付近の台詞の一部と、劇中で読み上げられる死亡通知以外はすべて書き下ろしです。そういう注釈を入れればよかったかもしれませんね。ご指摘ありがとうございました。

投稿: 谷賢一 | 2008.05.26 02:49

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