速報→「HIDE AND SEEK」パラドックス定数
2008.4.26 15:00
三人のミステリー作家をめぐる。120分。27日までザムザ阿佐谷。
夢野久作の自宅に編集者から逃れやってくる江戸川乱歩。あとからやってくる横溝正史は二人の連載をしている雑誌の編集長だった。
ある事実をベースに敷きながら、史実にはない場面を豊かな想像力で妄想的に補完するのが魅力の作家で人気の劇団。
昭和の頭、 三人は知り合いでわりと近い間柄だったというところを起点にしながら、やがて物語は三人の作家の話を越えて作家というモノの頭の中をのぞき込むような、その中を見て回るような体験。これを観たアタシの友人たちは劇中にも登場する「ドグラ・マグラ(青空文庫)(wikipedia)」を指摘する声多数。読んでないアタシ(この辺が教養とか常識ってもんなんだろうなあ)には、その面でのおもしろさ(相似形なんだと想像します)は今一つ見えては来ません。
それでも、勝手に動き出す登場人物たちと二人三脚し、格闘しねじ伏せながら絞り出したり、物語が頭のなかでどんどん生まれ出るのに書き出さない作家やらをみせる感じはわくわくがあります。床に貼られた大きな布から登場人物達が文字通り「立ち上がって」くるあたりなんか秀逸な感じでアタシは好きです。
どん欲に面白いモノを読みたいという読者と才能ある作家。こちとら金払ってるしいくらでも代わりはいるんだという読者のある種の暴言は、ふらふらと芝居を渡り歩くアタシの気持ちの向こうがわにいる作り手たちの気持ちが透け見える気がしたりしなかったり。そうは思ってないけど安全地帯からいいだの面白いだのつまらないだの云ってる、ってわけで。いいわるいではなくて厳然たる事実として、確かにある深い溝なのです。
事件というよりは人物と背景だけを借りて作家の脳内で緩く遊ばせているという意味で、「プライベートジョーク」に近い印象があります。彼らには珍しく、柔らかい笑いがふんだんなのも珍しい。が、アタシが彼らに期待するのは、もっとキリキリとタイトに作り込まれた物語だったりもするのですが。
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