速報→「莫逆の犬」ONEOR8
2008.4.27 14:00
ココリコの田中直樹を客演に迎えての新作。静かに沈殿する一室の厚みの110分。27日までTHEATER/TOPS。
女が住むマンションの一室。同棲状態の男は、部屋から一歩も出ない。引きこもりというはないが、指名手配されており、それを女が匿い、男の父親が経済的に支えている。時間が経つうちに部屋で息がつまりそうになる女は。
いわゆる芸能人を中心に据えているものの、笑いをそう大きくとるでもなく、感動大作というわけでもない、わりと地味な話というのがたいしたものだと思うのです。10年間家から一歩も出ないまま、家主の帰りをいつまでも待っている犬のような男の姿。本人は主人に忠実ではあるけれど、まわりは確実に変化していっているし薄々気づいてはいるのだけど、最後まで認めない男。救いがないといえば救いがない作りで、冷徹にその場所を描写し続けている感じがあります。
窓下のサクラを下から観たいという、最初のころの男のささやかな願望や、パソコンを買った日に話した「出来事」に出てくる赤色の強い桜の話は、終幕至りに窓から吹き込む外の公園から吹き込む花びらに重なるように、真上からの真っ赤な花びらが印象的。それは現実にはない高い場所から降ってきていて、現世から離れた瞬間を強く印象づけるのです。
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