速報→「最北端の姉妹〜長女のヒグマ」バジリコFバジオ
2008.4.20 14:00
アタシは初見の劇団。2004年初演の「最北端の姉妹」を二つのバージョンに改訂再演なのだそう。アタシの観た「長女のヒグマ」編は時間軸としては後に来る100分。22日までOFF OFFシアター。
医者の居ない北端の地の診療所。看護士マサエとその妹の中学生・イリエが暮らしている。そこに、結婚して家を出ていた長女・オリエが出産した娘を腕にやってくる。夫と一緒に暮らせないと、突然姿を消して逃げてきたのだ。その数日後、マサエは娘と一緒に姿を消す。
アタシは初見なのだけど、劇団の特色は人形劇の要素を取り込むことのよう。日程の中には「人形劇」という回もあったりして、今作の劇中にも、かなり本格的に作り込まれた人形がいくつも役として登場してきます。前説として登場するほか、一種のファンタジー世界を一種独特に作り出すのです。確かに他にはない感じはあって、独自性があります。
前半はわりとバタバタした感じ。客演の今藤洋子のドタバタとしたコメディエンヌとしての強さを感じさせますが、前半は台詞も叫び気味、本当にドタバタで妙なキャラクタが次々出てはくるのだけど、物語の立ち上がりがもっと欲しい印象。
部屋の真ん中に鎮座する大きなレコードプレーヤーの謎が動き出す後半に結構見応えがあります。姉妹にまつわるモチーフが顔を見せたり、名前もそれに纏わっていたりして洒落ていますが、それはあくまでも味付けという印象もあります。更に別世界に移ってからの、「幸せ」にまつわるあれこれはちょっといい感じ。なぜ長女が夫に愛想を尽かしたのか、「子供も産まれるし引っ越そうか」というあたりから始まる会話の成立しなさ具合を語るくだりが秀逸。妻の喋る途方もないことを嘘ととらえて、否定するでもなくそのまま受け流してしまう夫。それは嘘ではない、会話を回そうとしてるのだという妻と姉妹たちの主張の、些細さけど根本的な溝の描写がちょっと面白い。
これをファンタジーのまま終わらせるかと思いきや、現実世界に引き戻し、それがどこか自閉しているように見せるエンディングは、大人向けの童話のような、少しばかりの怖さがあります。
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