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2008.03.09

速報→「鯨屋の客」菅間馬鈴薯堂

2008.3.8 19:30

菅間馬鈴薯堂の新作。いくつかあるシリーズの中のひとつ、草津温泉シリーズの4本目なのだといいますが、アタシは初見。90分、9日まで王子小劇場。

草津温泉の奥、冬になると人気のないオンボロな温泉旅館。流れてきた初老の女が雇ってほしいとやってくる。この旅館は春になったら閉めるのだという。それまでという期限つきで。主人とその弟、問題抱えた四人兄弟たち、芸者、ストリッパー、長逗留の客たち。

温泉旅館の風呂場の前の広間とわりと具象になっている美術と、幅広い年齢の役者達は、がっつり芝居を見せてくれると思っているとそうではありません。さまざまな人間が来て何かしていくような点描が主体になっています。物語の幹らしいものは長男を巡る話などうっすら見えますが、それが主眼では無い気がします。セットはセットで、具象の割にどこに出捌けているかがばらばらな感覚もあります。突然踊り出してみたり、歌い出してみたり。

正直な話、アタシはこのスタイルの芝居、この役者達が巧いのかどうか、実際の所よくわからないのです。90分飽きずに観られるのは確かだし、個々のシーン(長女・次女や、初老の女と長男)は見応えがあるのですが、それに拘ることなくさらりと切って次のシーンにしたり、台詞も短く単語の羅列に近い構成にしていて、朴訥さは出ているのだけど、どこか詩的な響きになっていたり。馬鈴薯堂の他のシリーズではもっと物語に寄ったものもあるのですが。

アタシの友人が云っていたように、こういう芝居を学生劇団で見せられたらアタシはもっと厳しくおもいそうなものだけど、そうならず、見続けてしまい心のどこかにひっかかるというのはなぜなのだろうと思うのです。それは、王子で出会ってから見続けているというひいき目ばかりではないと思うのだけど、その理由を見つけ出せずに居るのです。

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