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2008.03.02

速報→「檸檬/蜜柑」弘前劇場

2008.3.2 14:00

弘前劇場の新作。スズナリでの公演は終了。100分。

ビリヤード台とバーが併設された古書店。近くの大学の学生やそこの講師や新聞記者などが出入りしていてビリヤードに興じたり酒をのんだりしている。五十歳ほどの雇われ主人と、オーナーの息子が店番をする。その雇われ主人を訪ねて同じ年齢ほどの男が訪ねてくるが...

古書店とはいってるものの、本があるのは奥の部屋で、舞台中央には大きなビリヤード台、下手側にバーカウンタや、全体に点在する椅子。出入りする客たちのちょっと哲学めいた会話が続くのが全体のベースになります。雇われマスターとその娘と、死んだことになっている母親の話が物語らしいものにはなるのですが、これが具体的に形を表すのはすいぶん後半になってからです。

なんか会話の全体が全体に知識人の集まる場所、みたいな雰囲気をぷんぷんさせているのがまあ、ちょっと鼻につくといえば鼻につきます。そんなに難しい話をしているわけではないのだけど、哲学とかドストエスフキーとか、あるいは酒を浴びるように呑んでみたりと、まあ、そういう人が集まる場所場所ではあるのだろうけど、リアルな感じ、とはちょっと違います。風俗嬢がドストエフスキー読んでちゃいけない、なんてことは決してないのですが。

津軽弁を使ったテンションの強弱はこの劇団で強い手法。この部分をのぞくと、中盤までは特に静かな会話が全体のベースになっています。残念なのは、スズナリの規模ですら後ろの方からは聞こえにくい台詞がいくつもあって、上演台本を購入してわかったことがいくつも。「栄養士」が「養子」に聞こえたり。あるいはビリヤード台に風俗嬢がバックの中身をぶちまけてしまうシーンがあるのだけど、イソジンの小瓶はともかく、コンドームの袋をふりかけの袋といっているなんてのも、実は見ている最中はよくわかりませんでした。単にアタシの注意力散漫なのかもしれませんが、観る場所によってずいぶん印象が異なる気がします。

想像にすぎませんが、それぞれの役者の喋るあれこれのグチっぽいこととか、世間へのつっこみとか、全てが作家の分身のようなエッセイの集大成のような、そんな感じもします。

後半の父と娘のシーン、あるいは刑事のシーンはさすがに安定。物語らしきものの担っているのはこの部分なのだけど、それ自体が大きな驚きという感じではありません。が、なんせ年かさの役者の雰囲気とよくあった話は、そのシーンだけで説得力があります。

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